3月14日通知「医療機能情報提供制度実施要領の一部改正及び医療機能情報提供制度の実施に当たっての留意事項の一部改正」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190416_4.pdf)が出ているが、「地域医療構想」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)では「病床機能報告」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)がメインの分析ツールとなっているように、「外来医療計画」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190405_6.pdf)(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000479929.pdf)では、「医療機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)がメインの分析ツールになるように感じる。「病床機能報告」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)は一般病床又は療養病床を有する医療機関のみだからである。医療政策研修会(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194369.html)や「全国医政関係主管課長会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=419341)でも医療法に基づく「医療機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)の見直し(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190416_4.pdf)が説明されていたであろうが、都道府県ごとのシステム改変が適切にされるか、気になるところかもしれない。そういえば、医薬品・医療機器等法に基づく「薬局機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kinoujouhou/index.html)の改正版の施行は今年1月だが、対応していない県がみられる。ところで、経済財政諮問会議(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の「「次世代型行政サービス」への改革に向けて ~高い経済波及効果と質・効率の高い行財政改革の同時実現~」(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019/0226/shiryo_01-1.pdf)p1「まずは国の財源で国及び自治体等の情報システムやデータを集約・標準化・共同化し、原則、オープンな形で誰もが利用できるようにすべきである。」とあったが、「外来医療計画」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190405_6.pdf)(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000479929.pdf)を機に、「病床機能報告」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)と同様に、「医療機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)や「薬局機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kinoujouhou/index.html)は、都道府県ごとではなく、国で一元化できないものであろうか。介護サービス情報(http://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/)、「障害福祉サービス等情報検索」(http://www.wam.go.jp/sfkohyoout/)、「サービス付き高齢者向け住宅情報」(http://www.satsuki-jutaku.jp/index.php)などは国で一元化されている。「医療機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)や「薬局機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kinoujouhou/index.html)を都道府県ごとに運用する理由がよくわからない方が少なくないかもしれない。
食育推進評価専門委員会(http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kaigi/suisin.html)から、「第3次食育推進基本計画フォローアップ中間取りまとめ」(http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kaigi/attach/pdf/suisin-148.pdf)が出ており、昨年末の「SDGsアクションプラン2019」(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sdgs/pdf/actionplan2019.pdf)(http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kaigi/attach/pdf/suisin-122.pdf)と連携されていることは認識したい。持続可能な開発目標;SDGs(Sustainable Development Goals)は幅広い分野にわたっているが、食育(http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/)は多くの部局(http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/link.html#fushou)にまたがる案件で、組織横断的な取り組みが欠かせない。ところで、「第3次食育推進基本計画における数値目標の達成状況」(http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kaigi/attach/pdf/suisin-94.pdf)では「推進計画を作成・実施している市町村の割合;平成29年度79.3%、目標値;2020年度100%」である。「都道府県・市町村における食育推進計画」(http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/shichoson.html)で自分たちの自治体の状況を認識したい。いまだに「食育推進計画」を策定していない自治体が少なくないことに驚かれるかもしれない。
先月の「事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き」(http://roumu.com/pdf/kenkokitei.pdf)では、職場の「健康情報等に関する取扱規程」の策定が要請されているが、どうなっているであろうか。働き方改革関連法で、今月から「産業医・産業保健機能」と「長時間労働者に対する面接指導等」も強化(https://www.lcgjapan.com/pdf/anei.pdf)されており、これも気になるところかもしれない。通知「過重労働による健康障害防止のための総合対策の改正について」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190409_2.pdf)が出ている。ところで、今年1月にリーフレット「外国人労働者に対する安全衛生教育には、適切な配慮をお願いします。」(https://www.mhlw.go.jp/content/000471827.pdf)が出ていたが、「新たな外国人材受入れ(在留資格「特定技能」の創設等)」(http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri01_00127.html)(https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000488894.pdf)を踏まえて周知徹底したいところである。
先月「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドラインの改訂について」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190405_3.pdf)が出ていたが、「順天堂発・がん患者就労支援ツール」(https://www.juntendo-caw.com/)は有用である。「治療と職業生活の両立」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000115267.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000199224.html)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/30.html)(https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/ryoritsushien/tabid/1055/Default.aspx)に関して、平成30年度診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html)の平成30年度診療報酬改定説明会(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352.html)の医科資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000198532.pdf)p125「がん患者の治療と仕事の両立の推進等の観点から、主治医が産業医から助言を得て、患者の就労の状況を踏まえて治療計画の見直し・再検討を行う等の医学管理を行った場合の評価を新設する。;療養・就労両立支援指導料1,000点」「専任の看護師等が、がん患者に対し、就労を含む療養環境の調整等に係る相談窓口を設置した場合の評価を設ける。;相談体制充実加算500点」が注目されているが、それぞれの地域における算定状況はどうなっているであろうか。
「医療機関における外国人旅行者及び在留外国人受入れ体制等の実態調査」の結果(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000173230_00001.html)が出ていたが、「訪日外国人旅行者等に対する医療の提供に関する検討会」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02137.html)で協議された「外国人患者の受入れのための医療機関向けマニュアル」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190416_1.pdf)が出ている。外国人患者の受入れに関しては、医療広告(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/index.html)の観点から、「医療機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)でも詳細に情報提供すべきと感じる。そういえば、PRESIDENT「「留学ビザ」で日本の医療費を食う中国人 「抜け道」を作った日本が悪いのか」(http://president.jp/articles/-/25207)が出ていたが、外国人に対する医療は観光客だけではない。厚労省資料(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000469066.pdf)p8「グローバル化が進展する中、医療保険に関して、・生活の拠点が日本にない親族までが健康保険の給付を受けることができるという在外被扶養者に関する課題・本来加入資格を有しない外国人が、不正な在留資格により、国保に加入し給付を受けている可能性があるという課題」は認識したい。「新たな外国人材受入れ(在留資格「特定技能」の創設等)」(http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri01_00127.html)を機に、医療保険の観点からの対策強化が必要であろう。昨年末の「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000468894.pdf)を踏まえて、医療保険部会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126706.html)の「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000469066.pdf)p8「被扶養者等の要件の見直し、国民健康保険の資格管理の適正化(法改正事項);①被扶養認定における国内居住要件 ○健康保険の被扶養者の認定において原則として国内に居住しているという要件を導入・被扶養者の要件に日本に住所を有する者であることを追加する ・留学生その他の日本に住所を有しないもののうち、日本に生活の基礎があると認められるものについても、例外的に要件を満たすこととする ※例外となる者の詳細は省令で規定するが、留学生や海外赴任に同行する家族など、日本から海外への渡航理由に照らし、これまで日本で生活しており、今後再び日本で生活する蓋然性の高い者等を例示する予定 ・いわゆる「医療滞在ビザ」等で来日して国内に居住する者を被扶養者の対象から除外する ※除外対象の詳細は省令で規定 ②市町村における調査対象の明確化・日本人を含む国保被保険者の資格管理等の観点から、市町村が関係者に報告を求めること等ができる対象として、被保険者の資格の得喪に関する情報を追加し、市町村における調査対象として明確化する ※関係者としては、例えば、外国人については、留学先である日本語学校等や経営管理を行う企業の取引先等、日本人については、勤務先である企業の雇用主等を想定。」が出ていたが、資料(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000469066.pdf)p1に示すように、「被用者保険の被扶養者等の要件について、一定の例外を設けつつ、原則として、国内に居住していること等を追加」の施行は来年4月である。これは少しでも早められないものであろうか。
「高齢者介護施設における感染対策マニュアル改訂版(2019年3月)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/ninchi/index_00003.html)が出ており、「結核院内(施設内)感染予防の手引き(平成26年版)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000046630.pdf)、改訂「インフルエンザ施設内感染予防の手引き」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/dl/tebiki.pdf)とセットで徹底したい。老人福祉法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S38/S38HO133.html)第8条で、保健所による老人福祉施設に対する栄養改善その他衛生事項に関する協力が規定されており、保健所の役割も重要である。集団発生時だけではなく、施設に対する平素からの支援が期待される。なお、「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/hoiku/index.html)が出ているが、児童福祉法(http://www.ron.gr.jp/law/law/jido_fuk.htm)第12条にも同様の規定がある。
医療安全地域連携シート(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190416_3.pdf)が出ている。平成30年度診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html)の平成30年度診療報酬改定説明会(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000198532.pdf)p145「医療安全対策加算における医療安全対策地域連携加算の新設」の医療安全対策地域連携加算1は「医療安全対策加算1の届出医療機関及び医療安全対策加算2の届出医療機関それぞれについて医療安全対策に関して評価を実施」、医療安全対策地域連携加算2は「医療安全対策加算1の届出医療機関から医療安全対策に関する評価を受けている」が要件であり、医療連携推進の一環として期待される。これまでも、平成30年度診療報酬改定説明会(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000198532.pdf)p142「感染防止対策加算」の「感染防止対策地域連携加算」を踏まえたい。感染症指定医療機関(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou15/02-02.html)の感染制御チーム(ICT)・抗菌薬適正使用支援チーム(AST)による地域連携の推進を期待したい。感染防止対策加算算定機関同士の年4回の会合は、医療機関のネットワーク化にも役立つであろう。厚生科学審議会感染症部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei.html?tid=127717)で協議された、抗微生物薬適正使用の手引き(http://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/yobo/kiki/yobo/kansen/idwr/information/tsuuchi/documents/tebiki.pdf)は、医療費適正化の観点からも積極的に推進すべきである。通知「医療機関における院内感染対策について」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20141219_01.pdf)では、「2-10. 地方自治体の役割 (1) 地方自治体はそれぞれの地域の実状に合わせて、保健所及び地方衛生研究所を含めた地域における院内感染対策のためのネットワークを整備し、積極的に支媛すること。」とあるが、どうなっているであろうか。医療安全対策地域連携加算でも保健所の役割が期待されるように感じる。
メディウォッチ「75歳以上の後期高齢者医療制度、2017年度は単年度で357億円のマイナス決算―厚労省」(https://www.medwatch.jp/?p=25957)。<以下引用>
<75歳以上の方が加入する「後期高齢者医療制度」は、2017年度には単年度で357億円の支出超過(いわば赤字)となった。収支がマイナスの広域連合は22で、前年度から9増加した―。このような状況が、厚生労働省が4月12日に公表した2017年度の「後期高齢者医療制度(後期高齢者医療広域連合)の財政状況等について―速報―」から明らかになりました。75歳以上の後期高齢者の医療費、公費5:若年者4:保険料1という財源構成で支える 我が国では、すべての国民が何らかの医療保険制度に加入します(国民皆保険制度)。大企業のサラリーマンやその家族はおもに健康保険組合に、中小企業のサラリーマンとその家族はおもに協会けんぽに、公務員とその家族は共済組合に、自営業者や無職者は市町村国民健康保険(2018年度から都道府県の国民健康保険となります)に加入することになります。ただし75歳以上の後期高齢者は、現役で企業勤めをしていても、自営業を営んでいても、無職で年金生活であっても、都道府県単位の「後期高齢者医療制度(後期高齢者医療広域連合)」に加入します。2008年の医療保険制度改革において、「若人全体で高齢者を支えていく必要がある」との考えの下に設立されたものです。このように後期高齢者医療制度は、いわば「75歳以上の高齢者のための医療保険制度」と考えることもできます。ただし、一般に「高齢者は所得水準が低い一方で、傷病になりやすく、かつ治療が長期間に及ぶことが多いため、医療費が高くなってしまう」という特性があることから、単独での運営は困難です(仮に単独で運営するとなれば、極めて高額な保険料を設定するか、保険給付範囲を極めて狭くしなければならなくない)。このため若人からの支援が不可欠となり、財政構造は▼公費:約5割(国が25%、都道府県と市町村が12.5%ずつ)▼若人の医療保険(健康保険組合や市町村国保)からの支援金:約4割▼高齢者自身の保険料:約1割―となっています。公費・支援金が収入の9割を占めており、厳密には「医療保険制度」ではありません(名称にも「保険」の文字は使われていない)。2017年度における後期高齢者医療全体の収入(前年度からの繰越金などを除く単年度収入)は15兆1891億円で、前年度に比べて4901億円・3.3%増加しました。一方、支出(同じく単年度)は15兆2248億円で、前年度に比べて5996億円・4.1%の増加となっています。結果、2017年度(単年度)の収支差はマイナス357億円(前年度から1095億円減少)となりました。支出が公費・支援金収入等を大きく上回ってしまっています。公費や若人からの支援金が9割を占めている点を踏まえた、適切な「マネジメント」が、運営者である後期高齢者広域連合(都道府県単位の市町村の連合体)に求められます。なお、ここに国庫支出金の精算分を加味した「精算後単年度収支差引額」は180億円の黒字となりました。前年度は321億円の黒字だったので、財政状況は悪化してしまっています。赤字広域連合は前年度から9増加し、22に(47広域連合の47%) 医療保険制度を運営していく上では、突発的な事態に備えておく必要があります。たとえば、強毒性の新興・再興感染症が蔓延し(パンデミック)、医療ニーズが急増することも考えられますし、また天災によって保険料(収入)が十分に確保できなくなるにもかかわらず、医療ニーズが増加するケースも考えられます。こうした場合、医療機関に「医療費が急増して支払いきれませんので、我慢してください」と依頼することはできません。医療従事者にも生活があるからです。そこで国は、医療保険者に対して「一定の期間、収入が確保できなくなるなどの事態が生じても保険制度を持続できる(つまり医療費の支払いが可能な)ように、積立金を保有する」よう求めています。後期高齢者医療制度も同様で、2017年度の積立金は2261億円となり、前年度の2012億円から249億円・12.4%の積み増しとなりました。なお、支出が収益を超えている(いわば赤字)の広域連合は2017年度には22となりました(前年度に比べて9増加)。健保組合の2割は、収入の半分超を高齢者の医療費に充てている ところで後期高齢者医療制度を巡っては、健康保険組合など若人の医療保険者から「支援金負担が重過ぎる」との指摘があります。2018年度の健康保険組合全体の予算では、後期高齢者(75歳以上、若人の医療保険全体で支援する)と前期高齢者(70-74歳、若人の医療保険に加入しており、前期高齢者の多い国民健康保険等へ、前期高齢者の少ない健保組合から財政支援を行う)に対する拠出金の合計が保険料収入に占める割合は、▼0.4%の組合では60%以上▼20.6%の組合では50パーセント以上▼60.5%の組合では40-50%▼18.9%の組合では40%未満—となっています。2割超の健保組合では、「収入の半分以上を高齢者のために支出している」格好です。こうした状況から、「75歳以上の後期高齢者の医療をどのように支えていくか」が重要課題となっていますが、少子高齢化が進展する中では「支え方の見直し」ではいずれ対応しきれなくなることは確実です。そう遠くない将来、「保険給付範囲をどう考えていくのか」という難しいテーマについて正面から議論しなければならない時期がくるでしょう。>
「平成29年度後期高齢者医療制度(後期高齢者医療広域連合)の財政状況等について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000500805.pdf)p3「後期高齢者医療広域連合の収支状況」は、p7「都道府県後期高齢者医療広域連合別の滞納被保険者数等」のように都道府県別に公表すべきであろう。医療保険データベース(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/index.html)の「医療費の地域差分析」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/iryomap/index.html)では、後期高齢者医療制度の地域差、.市町村国民健康保険+後期高齢者医療制度の地域差、二次医療圏別・市区町村別の地域差などが出ていることは知っておきたい。日医総研「医療費の地域差について (都道府県別データ)」(http://www.jmari.med.or.jp/research/research/wr_644.html)(http://www.jmari.med.or.jp/download/WP405.pdf)も参考になる。しかし、後期高齢者医療制度の実態は、介護保険とセットでみる必要がある。例えば、3月8日事務連絡「第7期介護保険事業( 支援)計画期間に係る医療療養病床を有する医療機関及び介護療養型医療施設からの転換意向の把握」(http://www.toyama.med.or.jp/wp/wp-content/uploads/2019/04/osirase_iryoukikan_7kikaigohokenzigyou_tenkanikou.pdf)が行われているが、「医療療養病床から介護医療院(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196478.html)への転換」は「後期高齢者医療・国保⇒介護保険」となり、「介護療養病床から医療療養病床への転換」は「介護保険⇒後期高齢者医療・国保」となる。療養病床の転換は、「地域医療構想」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)のテーマの一つである。なお、介護保険については、「地域包括ケア「見える化」システム」(http://mieruka.mhlw.go.jp/)で、保険者別のデータが出ていることは常識としたい。さて、今国会(https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/198.html)の「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案」(https://www.mhlw.go.jp/content/198-01.pdf)では「NDB、介護DB等の連結解析」「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」がテーマになっている。「NDB、介護DB等の連結解析」では「医療保険レセプト情報等のデータベース(NDB)と介護保険レセプト情報等のデータベース(介護DB)について、各DBの連結解析を可能とするとともに、公益目的での利用促進のため、研究機関等への提供に関する規定の整備」とあり、都道府県や大学などでのNDBと介護DBの連結解析が期待される。この際、NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177182.html)を参考に、介護DBオープンデータが必要と感じる。NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177182.html)や介護DBオープンデータは少なくとも圏域単位での公表が欲しい。経済財政諮問会議(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の「「次世代型行政サービス」への改革に向けて ~高い経済波及効果と質・効率の高い行財政改革の同時実現~」(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019/0226/shiryo_01-1.pdf)p1「まずは国の財源で国及び自治体等の情報システムやデータを集約・標準化・共同化し、原則、オープンな形で誰もが利用できるようにすべきである。」とあったではないか。また、「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」について、保険者による健診・保健指導等に関する検討会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken_129197.html)の「高齢者の健康状態等の包括的な把握のための基礎資料(特別集計結果)」(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000494449.pdf)に出ているように、高齢者のフレイル・生活支援ニーズは小さくない。資料「高齢者の保健事業について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000494444.pdf)p16~に出ているように、令和2年度から「後期高齢者の質問票の見直し」が行われ、KDBにも収載されるが、3年毎、介護部門で実施されている「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138618.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138620.pdf)や「在宅介護実態調査」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000154928.html)とセットの分析が必要である。まさに、広域連合、市町村保健センター、地域包括支援センター・介護保険担当部署などの組織横断的な取り組みが不可欠で、分析ツールでは、国保データベース(KDB)システム(https://www.kokuho.or.jp/hoken/kdb.html)や「地域包括ケア「見える化」システム」(http://mieruka.mhlw.go.jp/)は組織横断で活用される必要がある。「全国高齢者医療主管課(部)長及び国民健康保険主管課(部)長並びに後期高齢者医療広域連合事務局長会議」資料(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken_252919.html)もみておきたい。
<75歳以上の方が加入する「後期高齢者医療制度」は、2017年度には単年度で357億円の支出超過(いわば赤字)となった。収支がマイナスの広域連合は22で、前年度から9増加した―。このような状況が、厚生労働省が4月12日に公表した2017年度の「後期高齢者医療制度(後期高齢者医療広域連合)の財政状況等について―速報―」から明らかになりました。75歳以上の後期高齢者の医療費、公費5:若年者4:保険料1という財源構成で支える 我が国では、すべての国民が何らかの医療保険制度に加入します(国民皆保険制度)。大企業のサラリーマンやその家族はおもに健康保険組合に、中小企業のサラリーマンとその家族はおもに協会けんぽに、公務員とその家族は共済組合に、自営業者や無職者は市町村国民健康保険(2018年度から都道府県の国民健康保険となります)に加入することになります。ただし75歳以上の後期高齢者は、現役で企業勤めをしていても、自営業を営んでいても、無職で年金生活であっても、都道府県単位の「後期高齢者医療制度(後期高齢者医療広域連合)」に加入します。2008年の医療保険制度改革において、「若人全体で高齢者を支えていく必要がある」との考えの下に設立されたものです。このように後期高齢者医療制度は、いわば「75歳以上の高齢者のための医療保険制度」と考えることもできます。ただし、一般に「高齢者は所得水準が低い一方で、傷病になりやすく、かつ治療が長期間に及ぶことが多いため、医療費が高くなってしまう」という特性があることから、単独での運営は困難です(仮に単独で運営するとなれば、極めて高額な保険料を設定するか、保険給付範囲を極めて狭くしなければならなくない)。このため若人からの支援が不可欠となり、財政構造は▼公費:約5割(国が25%、都道府県と市町村が12.5%ずつ)▼若人の医療保険(健康保険組合や市町村国保)からの支援金:約4割▼高齢者自身の保険料:約1割―となっています。公費・支援金が収入の9割を占めており、厳密には「医療保険制度」ではありません(名称にも「保険」の文字は使われていない)。2017年度における後期高齢者医療全体の収入(前年度からの繰越金などを除く単年度収入)は15兆1891億円で、前年度に比べて4901億円・3.3%増加しました。一方、支出(同じく単年度)は15兆2248億円で、前年度に比べて5996億円・4.1%の増加となっています。結果、2017年度(単年度)の収支差はマイナス357億円(前年度から1095億円減少)となりました。支出が公費・支援金収入等を大きく上回ってしまっています。公費や若人からの支援金が9割を占めている点を踏まえた、適切な「マネジメント」が、運営者である後期高齢者広域連合(都道府県単位の市町村の連合体)に求められます。なお、ここに国庫支出金の精算分を加味した「精算後単年度収支差引額」は180億円の黒字となりました。前年度は321億円の黒字だったので、財政状況は悪化してしまっています。赤字広域連合は前年度から9増加し、22に(47広域連合の47%) 医療保険制度を運営していく上では、突発的な事態に備えておく必要があります。たとえば、強毒性の新興・再興感染症が蔓延し(パンデミック)、医療ニーズが急増することも考えられますし、また天災によって保険料(収入)が十分に確保できなくなるにもかかわらず、医療ニーズが増加するケースも考えられます。こうした場合、医療機関に「医療費が急増して支払いきれませんので、我慢してください」と依頼することはできません。医療従事者にも生活があるからです。そこで国は、医療保険者に対して「一定の期間、収入が確保できなくなるなどの事態が生じても保険制度を持続できる(つまり医療費の支払いが可能な)ように、積立金を保有する」よう求めています。後期高齢者医療制度も同様で、2017年度の積立金は2261億円となり、前年度の2012億円から249億円・12.4%の積み増しとなりました。なお、支出が収益を超えている(いわば赤字)の広域連合は2017年度には22となりました(前年度に比べて9増加)。健保組合の2割は、収入の半分超を高齢者の医療費に充てている ところで後期高齢者医療制度を巡っては、健康保険組合など若人の医療保険者から「支援金負担が重過ぎる」との指摘があります。2018年度の健康保険組合全体の予算では、後期高齢者(75歳以上、若人の医療保険全体で支援する)と前期高齢者(70-74歳、若人の医療保険に加入しており、前期高齢者の多い国民健康保険等へ、前期高齢者の少ない健保組合から財政支援を行う)に対する拠出金の合計が保険料収入に占める割合は、▼0.4%の組合では60%以上▼20.6%の組合では50パーセント以上▼60.5%の組合では40-50%▼18.9%の組合では40%未満—となっています。2割超の健保組合では、「収入の半分以上を高齢者のために支出している」格好です。こうした状況から、「75歳以上の後期高齢者の医療をどのように支えていくか」が重要課題となっていますが、少子高齢化が進展する中では「支え方の見直し」ではいずれ対応しきれなくなることは確実です。そう遠くない将来、「保険給付範囲をどう考えていくのか」という難しいテーマについて正面から議論しなければならない時期がくるでしょう。>
「平成29年度後期高齢者医療制度(後期高齢者医療広域連合)の財政状況等について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000500805.pdf)p3「後期高齢者医療広域連合の収支状況」は、p7「都道府県後期高齢者医療広域連合別の滞納被保険者数等」のように都道府県別に公表すべきであろう。医療保険データベース(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/index.html)の「医療費の地域差分析」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/iryomap/index.html)では、後期高齢者医療制度の地域差、.市町村国民健康保険+後期高齢者医療制度の地域差、二次医療圏別・市区町村別の地域差などが出ていることは知っておきたい。日医総研「医療費の地域差について (都道府県別データ)」(http://www.jmari.med.or.jp/research/research/wr_644.html)(http://www.jmari.med.or.jp/download/WP405.pdf)も参考になる。しかし、後期高齢者医療制度の実態は、介護保険とセットでみる必要がある。例えば、3月8日事務連絡「第7期介護保険事業( 支援)計画期間に係る医療療養病床を有する医療機関及び介護療養型医療施設からの転換意向の把握」(http://www.toyama.med.or.jp/wp/wp-content/uploads/2019/04/osirase_iryoukikan_7kikaigohokenzigyou_tenkanikou.pdf)が行われているが、「医療療養病床から介護医療院(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196478.html)への転換」は「後期高齢者医療・国保⇒介護保険」となり、「介護療養病床から医療療養病床への転換」は「介護保険⇒後期高齢者医療・国保」となる。療養病床の転換は、「地域医療構想」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)のテーマの一つである。なお、介護保険については、「地域包括ケア「見える化」システム」(http://mieruka.mhlw.go.jp/)で、保険者別のデータが出ていることは常識としたい。さて、今国会(https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/198.html)の「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案」(https://www.mhlw.go.jp/content/198-01.pdf)では「NDB、介護DB等の連結解析」「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」がテーマになっている。「NDB、介護DB等の連結解析」では「医療保険レセプト情報等のデータベース(NDB)と介護保険レセプト情報等のデータベース(介護DB)について、各DBの連結解析を可能とするとともに、公益目的での利用促進のため、研究機関等への提供に関する規定の整備」とあり、都道府県や大学などでのNDBと介護DBの連結解析が期待される。この際、NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177182.html)を参考に、介護DBオープンデータが必要と感じる。NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177182.html)や介護DBオープンデータは少なくとも圏域単位での公表が欲しい。経済財政諮問会議(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の「「次世代型行政サービス」への改革に向けて ~高い経済波及効果と質・効率の高い行財政改革の同時実現~」(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019/0226/shiryo_01-1.pdf)p1「まずは国の財源で国及び自治体等の情報システムやデータを集約・標準化・共同化し、原則、オープンな形で誰もが利用できるようにすべきである。」とあったではないか。また、「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」について、保険者による健診・保健指導等に関する検討会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken_129197.html)の「高齢者の健康状態等の包括的な把握のための基礎資料(特別集計結果)」(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000494449.pdf)に出ているように、高齢者のフレイル・生活支援ニーズは小さくない。資料「高齢者の保健事業について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000494444.pdf)p16~に出ているように、令和2年度から「後期高齢者の質問票の見直し」が行われ、KDBにも収載されるが、3年毎、介護部門で実施されている「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138618.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138620.pdf)や「在宅介護実態調査」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000154928.html)とセットの分析が必要である。まさに、広域連合、市町村保健センター、地域包括支援センター・介護保険担当部署などの組織横断的な取り組みが不可欠で、分析ツールでは、国保データベース(KDB)システム(https://www.kokuho.or.jp/hoken/kdb.html)や「地域包括ケア「見える化」システム」(http://mieruka.mhlw.go.jp/)は組織横断で活用される必要がある。「全国高齢者医療主管課(部)長及び国民健康保険主管課(部)長並びに後期高齢者医療広域連合事務局長会議」資料(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken_252919.html)もみておきたい。
朝日新聞「がんの疑い、担当医見落とす 死亡との因果関係「なし」」(https://www.asahi.com/articles/ASM4J5776M4JPUZB00H.html?iref=com_apitop)。<以下引用>
<富山大付属病院は16日、患者のコンピューター断層撮影(CT)の画像診断報告書について、がんの疑いがあるとの指摘を担当医が見落としていたことを明らかにした。患者はがんが進行して死亡した。見落としと死亡との因果関係は「ない」と説明している。同病院によると、患者は数年前に泌尿器科でがんの手術をし、定期的に検査を受けていた。昨年春にCT検査を受け、放射線科の医師が新たながんの疑いを報告書で指摘したが、泌尿器科の担当医が見落とした。患者は夏に腹痛や食欲不振を訴え、秋にCT検査を受けたところ、疑いが指摘されたがんが進行していることが判明。同病院は患者と家族に謝罪したが、患者は今年春に亡くなった。長島久・病院長補佐は記者会見で、がんの進行が早く、全身に広がっていた可能性もあるため、見落としていなくても「恐らく救えない状況だった」と説明した。>
昨年の日本医学放射線学会「画像診断報告書の確認不足等に関する医療安全対策についての見解」(http://www.radiology.jp/jrs_about/message.html)をみると、システム上のチェック体制の強化が急務と感じる。医療部会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126719.html)の「画像診断報告書等の確認不足に関する医療安全対策について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000340006.pdf)、「画像診断報告書等の確認不足に関する医療安全対策について(再周知のお願い)」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000340014.pdf)が毎年発出されているようではいけない。
<富山大付属病院は16日、患者のコンピューター断層撮影(CT)の画像診断報告書について、がんの疑いがあるとの指摘を担当医が見落としていたことを明らかにした。患者はがんが進行して死亡した。見落としと死亡との因果関係は「ない」と説明している。同病院によると、患者は数年前に泌尿器科でがんの手術をし、定期的に検査を受けていた。昨年春にCT検査を受け、放射線科の医師が新たながんの疑いを報告書で指摘したが、泌尿器科の担当医が見落とした。患者は夏に腹痛や食欲不振を訴え、秋にCT検査を受けたところ、疑いが指摘されたがんが進行していることが判明。同病院は患者と家族に謝罪したが、患者は今年春に亡くなった。長島久・病院長補佐は記者会見で、がんの進行が早く、全身に広がっていた可能性もあるため、見落としていなくても「恐らく救えない状況だった」と説明した。>
昨年の日本医学放射線学会「画像診断報告書の確認不足等に関する医療安全対策についての見解」(http://www.radiology.jp/jrs_about/message.html)をみると、システム上のチェック体制の強化が急務と感じる。医療部会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126719.html)の「画像診断報告書等の確認不足に関する医療安全対策について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000340006.pdf)、「画像診断報告書等の確認不足に関する医療安全対策について(再周知のお願い)」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000340014.pdf)が毎年発出されているようではいけない。
メディウォッチ「3割程度の救急病院で医師の働き方改革が「困難」、医師増員での対応は実現可能か―日医」(https://www.medwatch.jp/?p=25942)。<以下引用>
<2024年4月から医師の時間外労働上限(原則960時間以下、救急病院等では1860時間以下など)が適用される。しかし、「年間960時間以下」が適用される、年間救急車受け入れ台数1000台未満の2次救急では、3割程度が「年間960時間以下の達成」が難しい。また3次救急等の3割程度では「9時間以上の勤務間インターバル確保」が難しい―。日本医師会が4月10日に公表した「医師の働き方改革と救急医療に関する日本医師会緊急調査の結果」から、こういった状況が明らかになりました。多くの救急医療機関では「医師の増員」で対応する考えを示していますが、医師の少ない地域では難しく、また多くの医療機関で「医師の増員」に動くため、競争が激化する可能性もあります。地域で「医療提供体制の再編・統合」等を進めていくことが、これまで以上に求められそうです。救急車1000台未満の2次救急、3割程度で年間960時間以下の達成が困難 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」が3月末(2019年3月末)に報告書をとりまとめ、次のような方針が明確になりました。▽2024年4月から「医師の時間外労働上限」を適用し、原則として年間960時間以下とする(すべての医療機関で960時間以下を目指す)▽ただし、「3次救急病院」や「年間に救急車1000台以上を受け入れる2次救急病院」など地域医療確保に欠かせない機能を持つ医療機関で、労働時間短縮等に限界がある場合には、期限付きで医師の時間外労働を年間1860時間以下までとする▽また研修医など短期間で集中的に症例経験を積む必要がある場合には、時間外労働を年間1860時間以下までとする▽2024年4月までの間、全医療機関で「労務管理の徹底」(いわゆる36協定の適切な締結など)、「労働時間の短縮」(タスク・シフティングなど)を進める 日医では、▼2次救急医療機関等(救急告示病院などを含む)▼3次救急医療機関および小児救命救急センター▼総合周産期母子医療センターおよび地域周産期母子医療センター―を対象に、「今後5年間で、医師の時間外労働を年間960時間以下にすることは可能か」などの点について緊急調査を実施。1739施設が回答を寄せています(2次救急等:1568施設、3次救急や周産期母子医療センター:171施設)。まず「今後5年間で、医師の時間外労働を年間960時間以下にすることは可能か」という点については、次のように40-70%の医療機関で「すでに概ね対応できている」と答えていますが、難しい医療機関、さらに「分からない」との回答も少なくありません。【すでに概ね対応できている】▼救急車1000台未満の2次救急等:70.9%▼救急車1000台以上の2次救急等:48.4%▼3次医療救急・小児救急:41.4%▼周産期母子医療センター:44.4%▼その他:70.1%【医師の半数程度は可能】▼救急車1000台未満の2次救急等:7.8%▼救急車1000台以上の2次救急等:18.2%▼3次医療救急・小児救急:20.4%▼周産期母子医療センター:22.2%▼その他:11.9%【医師の3分の1程度は可能】▼救急車1000台未満の2次救急等:3.1%▼救急車1000台以上の2次救急等:6.2%▼3次医療救急・小児救急:3.7%▼周産期母子医療センター:11.1%▼その他:1.5%【ほぼ不可能】▼救急車1000台未満の2次救急等:4.9%▼救急車1000台以上の2次救急等:7.2%▼3次医療救急・小児救急:12.3%▼周産期母子医療センター:―▼その他:7.5%【わからない】▼救急車1000台未満の2次救急等:13.3%▼救急車1000台以上の2次救急等:20.1%▼3次医療救急・小児救急:22.2%▼周産期母子医療センター:22.2%▼その他:9.0% 年間960時間以下が適用される「救急車1000台未満の2次救急等」でも、3割が「5年間での960時間以下達成が難しい」状況が再確認できます。国や都道府県、医療勤務環境改善支援センターによる支援が求められるほか、地域の医療提供体制の再編を進めていく必要がありそうです。例えば、地域において、患者のアクセスに配慮した上で、複数の「救急車1000台未満の2次救急等」の救急医療機能を特定の病院に集約(救急医も集約)することなどを、地域医療構想調整会議などで検討していくことが重要でしょう。半数近くの救急病院が「医師増員で対応」するとしているが、実現可能性は? 「5年間での960時間以下の達成が難しい」救急部門に対し、今後の対応方針を聞いたところ、▼現状維持:25%▼医師の増員:48%▼救急患者の受入制限、救急対応時間の制限:17%▼救急医療機関の返上:1%▼その他(医師間の業務調整、タスク・シフティングなど):3%▼未回答:6%―となっています(2次救急等に限定しても同様の傾向)。また、多くの勤務医は「他院での勤務」(アルバイト等)を行っています。この点、「自院と他院の勤務時間を通算するのか」という点については今後の検討課題に位置付けられていますが、仮に「通算」が行われた場合には、「今後5年間で、医師の時間外労働を年間960時間以下にすること」への見通しは少し厳しいものとなり、▼現状維持:17%▼医師の増員:52%▼救急患者の受入制限、救急対応時間の制限:21%▼救急医療機関の返上:0%▼その他(医師間の業務調整、タスク・シフティングなど):3%▼未回答:7%―となっています。医師の増員を検討している救急部門がありますが、地域によっては医師確保が困難なこともあり、また多くの病院で「医師確保」競争を行うことになるため、今後、救急医療の制限(患者受入れ制限や救急医療機関の返上)をする医療機関が増えてくることも予想されます。これは、地域の住民・患者にとっては不幸な状況を生むことになります。個別医療機関ではなく、地域の医療機関・行政(広域の都道府県や国も含めて)全体で適切な医療提供体制の確保に向けた検討を急ぐ必要があるでしょう。3次救急等の3割、「9時間以上の勤務間インターバル確保」が困難 また、医師の時間外労働上限は一般の労働者より長くなる(年間960時間であっても、いわゆる過労死ラインに近い)ことから、医療機関には▼連続勤務時間は28時間以内とする▼勤務と勤務との間に9時間以上のインターバルを設ける―ことが求められます(年間960時間以下の医療機関では努力義務、年間1860時間以下の医療機関では義務)。「9時間以上の勤務間インターバル」の実現可能性については、次のような状況が分かりました。【すでに概ね対応できている】▼救急車1000台未満の2次救急等:68.2%▼救急車1000台以上の2次救急等:51.5%▼3次医療救急・小児救急:51.2%▼周産期母子医療センター:44.4%▼その他:62.7%【医師の半数程度は可能】▼救急車1000台未満の2次救急等:6.5%▼救急車1000台以上の2次救急等:12.2%▼3次医療救急・小児救急:14.2%▼周産期母子医療センター:22.2%▼その他:4.5%【医師の3分の1程度は可能】▼救急車1000台未満の2次救急等:2.0%▼救急車1000台以上の2次救急等:6.2%▼3次医療救急・小児救急:6.2%▼周産期母子医療センター:―%▼その他:1.5%【ほぼ不可能】▼救急車1000台未満の2次救急等:10.7%▼救急車1000台以上の2次救急等:12.9%▼3次医療救急・小児救急:6.8%▼周産期母子医療センター:11.1%▼その他:19.4%【わからない】▼救急車1000台未満の2次救急等:12.6%▼救急車1000台以上の2次救急等:17.3%▼3次医療救急・小児救急:21.6%▼周産期母子医療センター:22.2%▼その他:11.9% 「救急車1000台以上の2次救急等」「3次医療救急・小児救急」「周産期母子医療センター」の多くでは、「9時間以上の勤務間インターバル」が義務化されると考えられますが、現状では3割程度で「難しい」状況が伺えます。勤務間インターバルの確保が難しいと答えた医療機関を対象に、今後の対応方針を聞いたところ、▼現状維持:28%▼医師の増員:46%▼救急患者の受入制限、救急対応時間の制限:13%▼救急医療機関の返上:1%▼その他(医師間の業務調整、タスク・シフティングなど):2%▼未回答:10%―となっています。しかし、前述のように「医師増員」はそう容易ではなく(医師数がそもそも少ない地域もあり、また各医療機関が医師増員を考えるため競争が激化する)、やはり救急医療の制限を考える医療機関が今後増加してくる可能性があります。救急病院の3-7割、大学病院の医師引きあげで救急医療に支障が出る可能性 また、大学病院からは多くの医師が地域の医療機関へ派遣されています。この点、大学病院でも時間外労働上限規制や勤務間インターバルの確保などが求められることから、医師の増員が必要となり、「地域への医師派遣を制限する(医師を引きあげる)のではないか」とみられています。この点について救急医療機関の3-7割程度で、「救急医療に支障が出るような引きあげが行われるおそれがある」と見通していることが分かりました。【医師引きあげで自院の救急医療が成り立たなくなる恐れあり】▼2次救急等:11.4%▼3次救急等:2.4%▼周産期母子医療センター:0%▼その他:4.5%【医師引きあげで自院の救急医療を相当程度縮小せざるを得ない恐れあり】▼2次救急等:17.8%▼3次救急等:12.1%▼周産期母子医療センター:22.2%▼その他:10.4%【医師引きあげで自院の救急医療に支障を来す恐れあり】▼2次救急等:27.4%▼3次救急等:21.2%▼周産期母子医療センター:22.2%▼その他:23.9%【影響なし、大学からの医師派遣なし】▼2次救急等:29.6%▼3次救急等:32.7%▼周産期母子医療センター:33.3%▼その他:47.8%【自院が大学病院で派遣元である】▼2次救急等:0.8%▼3次救急等:15.1%▼周産期母子医療センター:11.1%▼その他:―%【不明】▼2次救急等:13.0%▼3次救急等:14.5%▼周産期母子医療センター:11.1%▼その他:13.4% この点、個別医療機関と大学病院との交渉・依頼等に委ねていたのでは、地域の救急医療が確保できなくなる恐れもあり、自治体等も交えた協議等が必要となってきそうです。7割の救急病院、タスク・シフティングについて「十分な検討が必要」との考え さらに、労働時間短縮に向けたタスク・シフティング(医師でなくとも可能な業務を看護師等の他職種へ移管する)の可能性については、下図のように、7割程度の医療機関が「どのような業務を、どのように委ねるのか、十分な検討が必要」と考えていることが分かりました。この点、「特定行為研修を修了した看護師」へのタスク・シフティングが注目を集めていますが、研修修了者は2018年3月時点で1006名にとどまっており、厚労省の目標値「2025年までに10万人」とは大きな隔たりがあります。研修機関は2019年2月には39都道府県・113機関に増えていますが、さらなる研修施設の増加等が待たれます。>
日本医師会「医師の働き方改革と救急医療に関する日本医師会緊急調査の結果について」(http://www.med.or.jp/nichiionline/article/008560.html)が出ているが、それぞれの都道府県ではどうなのか、問われる。医師の働き方改革に関する検討会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_469190.html)の報告書(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04273.html)(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190401_17.pdf)に関して、医師の時間外労働上限規制の施行は2024年度からであるが、医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)における救急医療、周産期医療、へき地医療などの政策医療を崩壊させてはならない。医師の時間外労働上限規制は、今年度策定の「医師確保計画、外来医療計画」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190405_6.pdf)でも話題になるであろうが、看護師の特定行為(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077077.html)(https://www.nurse.or.jp/nursing/education/tokuteikenshu/portal/index.html)のようなタスクシフティングで対応できるようなレベルではなく、事態を深刻に捉える必要がある。まさに国民的な議論が必要と感じる。この際、例えば、①平成30年度診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html)の平成30年度診療報酬改定説明会(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000198532.pdf)p155~166「チーム医療等の推進等の勤務環境の改善」にあるp160「常勤配置要件緩和」、p161「専従要件緩和」、p163「勤務場所要件緩和」のような規制緩和の徹底、②「医療勤務環境改善支援センター」(https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/outline/work-improvement-support-center/)、「地域医療支援センター」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/chiiki_iryou/index.html)、「地域医療対策協議会」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000349469.pdf)の取り組みの見える化、③「上手な医療のかかり方」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_01491.html)の普及徹底のほか、今後、未来投資会議(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/index.html)の厚労相資料(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai25/siryou3-1.pdf)p3「医療・福祉サービス改革プラン」による、①ロボット・AI・ICT等、データヘルス改革、②タスクシフティング、シニア人材の活用推進、③組織マネジメント改革、④経営の大規模化・協働化も重要になるように感じる。また、「地域医療構想」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_368422.html)は、「病床機能報告」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)を活用した「具体的対応方針の検証に向けた議論の整理(たたき台)」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000496231.pdf)にある「厚生労働省による分析」を踏まえて、特に「公的医療機関等2025プラン」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)、「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)の再検証が行われるようであるが、総務省「自治体戦略2040構想研究会」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/jichitai2040/index.html)の資料(http://www.soumu.go.jp/main_content/000548065.pdf)p17「2040年頃を見据えた自治体戦略の基本的方向性」にある「個々の市町村が行政のフルセット主義を排し、圏域単位で、あるいは圏域を越えた都市・地方の自治体間で、有機的に連携することで都市機能等を維持確保する」も認識する必要があるのかもしれない。
<2024年4月から医師の時間外労働上限(原則960時間以下、救急病院等では1860時間以下など)が適用される。しかし、「年間960時間以下」が適用される、年間救急車受け入れ台数1000台未満の2次救急では、3割程度が「年間960時間以下の達成」が難しい。また3次救急等の3割程度では「9時間以上の勤務間インターバル確保」が難しい―。日本医師会が4月10日に公表した「医師の働き方改革と救急医療に関する日本医師会緊急調査の結果」から、こういった状況が明らかになりました。多くの救急医療機関では「医師の増員」で対応する考えを示していますが、医師の少ない地域では難しく、また多くの医療機関で「医師の増員」に動くため、競争が激化する可能性もあります。地域で「医療提供体制の再編・統合」等を進めていくことが、これまで以上に求められそうです。救急車1000台未満の2次救急、3割程度で年間960時間以下の達成が困難 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」が3月末(2019年3月末)に報告書をとりまとめ、次のような方針が明確になりました。▽2024年4月から「医師の時間外労働上限」を適用し、原則として年間960時間以下とする(すべての医療機関で960時間以下を目指す)▽ただし、「3次救急病院」や「年間に救急車1000台以上を受け入れる2次救急病院」など地域医療確保に欠かせない機能を持つ医療機関で、労働時間短縮等に限界がある場合には、期限付きで医師の時間外労働を年間1860時間以下までとする▽また研修医など短期間で集中的に症例経験を積む必要がある場合には、時間外労働を年間1860時間以下までとする▽2024年4月までの間、全医療機関で「労務管理の徹底」(いわゆる36協定の適切な締結など)、「労働時間の短縮」(タスク・シフティングなど)を進める 日医では、▼2次救急医療機関等(救急告示病院などを含む)▼3次救急医療機関および小児救命救急センター▼総合周産期母子医療センターおよび地域周産期母子医療センター―を対象に、「今後5年間で、医師の時間外労働を年間960時間以下にすることは可能か」などの点について緊急調査を実施。1739施設が回答を寄せています(2次救急等:1568施設、3次救急や周産期母子医療センター:171施設)。まず「今後5年間で、医師の時間外労働を年間960時間以下にすることは可能か」という点については、次のように40-70%の医療機関で「すでに概ね対応できている」と答えていますが、難しい医療機関、さらに「分からない」との回答も少なくありません。【すでに概ね対応できている】▼救急車1000台未満の2次救急等:70.9%▼救急車1000台以上の2次救急等:48.4%▼3次医療救急・小児救急:41.4%▼周産期母子医療センター:44.4%▼その他:70.1%【医師の半数程度は可能】▼救急車1000台未満の2次救急等:7.8%▼救急車1000台以上の2次救急等:18.2%▼3次医療救急・小児救急:20.4%▼周産期母子医療センター:22.2%▼その他:11.9%【医師の3分の1程度は可能】▼救急車1000台未満の2次救急等:3.1%▼救急車1000台以上の2次救急等:6.2%▼3次医療救急・小児救急:3.7%▼周産期母子医療センター:11.1%▼その他:1.5%【ほぼ不可能】▼救急車1000台未満の2次救急等:4.9%▼救急車1000台以上の2次救急等:7.2%▼3次医療救急・小児救急:12.3%▼周産期母子医療センター:―▼その他:7.5%【わからない】▼救急車1000台未満の2次救急等:13.3%▼救急車1000台以上の2次救急等:20.1%▼3次医療救急・小児救急:22.2%▼周産期母子医療センター:22.2%▼その他:9.0% 年間960時間以下が適用される「救急車1000台未満の2次救急等」でも、3割が「5年間での960時間以下達成が難しい」状況が再確認できます。国や都道府県、医療勤務環境改善支援センターによる支援が求められるほか、地域の医療提供体制の再編を進めていく必要がありそうです。例えば、地域において、患者のアクセスに配慮した上で、複数の「救急車1000台未満の2次救急等」の救急医療機能を特定の病院に集約(救急医も集約)することなどを、地域医療構想調整会議などで検討していくことが重要でしょう。半数近くの救急病院が「医師増員で対応」するとしているが、実現可能性は? 「5年間での960時間以下の達成が難しい」救急部門に対し、今後の対応方針を聞いたところ、▼現状維持:25%▼医師の増員:48%▼救急患者の受入制限、救急対応時間の制限:17%▼救急医療機関の返上:1%▼その他(医師間の業務調整、タスク・シフティングなど):3%▼未回答:6%―となっています(2次救急等に限定しても同様の傾向)。また、多くの勤務医は「他院での勤務」(アルバイト等)を行っています。この点、「自院と他院の勤務時間を通算するのか」という点については今後の検討課題に位置付けられていますが、仮に「通算」が行われた場合には、「今後5年間で、医師の時間外労働を年間960時間以下にすること」への見通しは少し厳しいものとなり、▼現状維持:17%▼医師の増員:52%▼救急患者の受入制限、救急対応時間の制限:21%▼救急医療機関の返上:0%▼その他(医師間の業務調整、タスク・シフティングなど):3%▼未回答:7%―となっています。医師の増員を検討している救急部門がありますが、地域によっては医師確保が困難なこともあり、また多くの病院で「医師確保」競争を行うことになるため、今後、救急医療の制限(患者受入れ制限や救急医療機関の返上)をする医療機関が増えてくることも予想されます。これは、地域の住民・患者にとっては不幸な状況を生むことになります。個別医療機関ではなく、地域の医療機関・行政(広域の都道府県や国も含めて)全体で適切な医療提供体制の確保に向けた検討を急ぐ必要があるでしょう。3次救急等の3割、「9時間以上の勤務間インターバル確保」が困難 また、医師の時間外労働上限は一般の労働者より長くなる(年間960時間であっても、いわゆる過労死ラインに近い)ことから、医療機関には▼連続勤務時間は28時間以内とする▼勤務と勤務との間に9時間以上のインターバルを設ける―ことが求められます(年間960時間以下の医療機関では努力義務、年間1860時間以下の医療機関では義務)。「9時間以上の勤務間インターバル」の実現可能性については、次のような状況が分かりました。【すでに概ね対応できている】▼救急車1000台未満の2次救急等:68.2%▼救急車1000台以上の2次救急等:51.5%▼3次医療救急・小児救急:51.2%▼周産期母子医療センター:44.4%▼その他:62.7%【医師の半数程度は可能】▼救急車1000台未満の2次救急等:6.5%▼救急車1000台以上の2次救急等:12.2%▼3次医療救急・小児救急:14.2%▼周産期母子医療センター:22.2%▼その他:4.5%【医師の3分の1程度は可能】▼救急車1000台未満の2次救急等:2.0%▼救急車1000台以上の2次救急等:6.2%▼3次医療救急・小児救急:6.2%▼周産期母子医療センター:―%▼その他:1.5%【ほぼ不可能】▼救急車1000台未満の2次救急等:10.7%▼救急車1000台以上の2次救急等:12.9%▼3次医療救急・小児救急:6.8%▼周産期母子医療センター:11.1%▼その他:19.4%【わからない】▼救急車1000台未満の2次救急等:12.6%▼救急車1000台以上の2次救急等:17.3%▼3次医療救急・小児救急:21.6%▼周産期母子医療センター:22.2%▼その他:11.9% 「救急車1000台以上の2次救急等」「3次医療救急・小児救急」「周産期母子医療センター」の多くでは、「9時間以上の勤務間インターバル」が義務化されると考えられますが、現状では3割程度で「難しい」状況が伺えます。勤務間インターバルの確保が難しいと答えた医療機関を対象に、今後の対応方針を聞いたところ、▼現状維持:28%▼医師の増員:46%▼救急患者の受入制限、救急対応時間の制限:13%▼救急医療機関の返上:1%▼その他(医師間の業務調整、タスク・シフティングなど):2%▼未回答:10%―となっています。しかし、前述のように「医師増員」はそう容易ではなく(医師数がそもそも少ない地域もあり、また各医療機関が医師増員を考えるため競争が激化する)、やはり救急医療の制限を考える医療機関が今後増加してくる可能性があります。救急病院の3-7割、大学病院の医師引きあげで救急医療に支障が出る可能性 また、大学病院からは多くの医師が地域の医療機関へ派遣されています。この点、大学病院でも時間外労働上限規制や勤務間インターバルの確保などが求められることから、医師の増員が必要となり、「地域への医師派遣を制限する(医師を引きあげる)のではないか」とみられています。この点について救急医療機関の3-7割程度で、「救急医療に支障が出るような引きあげが行われるおそれがある」と見通していることが分かりました。【医師引きあげで自院の救急医療が成り立たなくなる恐れあり】▼2次救急等:11.4%▼3次救急等:2.4%▼周産期母子医療センター:0%▼その他:4.5%【医師引きあげで自院の救急医療を相当程度縮小せざるを得ない恐れあり】▼2次救急等:17.8%▼3次救急等:12.1%▼周産期母子医療センター:22.2%▼その他:10.4%【医師引きあげで自院の救急医療に支障を来す恐れあり】▼2次救急等:27.4%▼3次救急等:21.2%▼周産期母子医療センター:22.2%▼その他:23.9%【影響なし、大学からの医師派遣なし】▼2次救急等:29.6%▼3次救急等:32.7%▼周産期母子医療センター:33.3%▼その他:47.8%【自院が大学病院で派遣元である】▼2次救急等:0.8%▼3次救急等:15.1%▼周産期母子医療センター:11.1%▼その他:―%【不明】▼2次救急等:13.0%▼3次救急等:14.5%▼周産期母子医療センター:11.1%▼その他:13.4% この点、個別医療機関と大学病院との交渉・依頼等に委ねていたのでは、地域の救急医療が確保できなくなる恐れもあり、自治体等も交えた協議等が必要となってきそうです。7割の救急病院、タスク・シフティングについて「十分な検討が必要」との考え さらに、労働時間短縮に向けたタスク・シフティング(医師でなくとも可能な業務を看護師等の他職種へ移管する)の可能性については、下図のように、7割程度の医療機関が「どのような業務を、どのように委ねるのか、十分な検討が必要」と考えていることが分かりました。この点、「特定行為研修を修了した看護師」へのタスク・シフティングが注目を集めていますが、研修修了者は2018年3月時点で1006名にとどまっており、厚労省の目標値「2025年までに10万人」とは大きな隔たりがあります。研修機関は2019年2月には39都道府県・113機関に増えていますが、さらなる研修施設の増加等が待たれます。>
日本医師会「医師の働き方改革と救急医療に関する日本医師会緊急調査の結果について」(http://www.med.or.jp/nichiionline/article/008560.html)が出ているが、それぞれの都道府県ではどうなのか、問われる。医師の働き方改革に関する検討会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_469190.html)の報告書(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04273.html)(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190401_17.pdf)に関して、医師の時間外労働上限規制の施行は2024年度からであるが、医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)における救急医療、周産期医療、へき地医療などの政策医療を崩壊させてはならない。医師の時間外労働上限規制は、今年度策定の「医師確保計画、外来医療計画」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190405_6.pdf)でも話題になるであろうが、看護師の特定行為(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077077.html)(https://www.nurse.or.jp/nursing/education/tokuteikenshu/portal/index.html)のようなタスクシフティングで対応できるようなレベルではなく、事態を深刻に捉える必要がある。まさに国民的な議論が必要と感じる。この際、例えば、①平成30年度診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html)の平成30年度診療報酬改定説明会(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000198532.pdf)p155~166「チーム医療等の推進等の勤務環境の改善」にあるp160「常勤配置要件緩和」、p161「専従要件緩和」、p163「勤務場所要件緩和」のような規制緩和の徹底、②「医療勤務環境改善支援センター」(https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/outline/work-improvement-support-center/)、「地域医療支援センター」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/chiiki_iryou/index.html)、「地域医療対策協議会」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000349469.pdf)の取り組みの見える化、③「上手な医療のかかり方」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_01491.html)の普及徹底のほか、今後、未来投資会議(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/index.html)の厚労相資料(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai25/siryou3-1.pdf)p3「医療・福祉サービス改革プラン」による、①ロボット・AI・ICT等、データヘルス改革、②タスクシフティング、シニア人材の活用推進、③組織マネジメント改革、④経営の大規模化・協働化も重要になるように感じる。また、「地域医療構想」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_368422.html)は、「病床機能報告」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)を活用した「具体的対応方針の検証に向けた議論の整理(たたき台)」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000496231.pdf)にある「厚生労働省による分析」を踏まえて、特に「公的医療機関等2025プラン」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)、「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)の再検証が行われるようであるが、総務省「自治体戦略2040構想研究会」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/jichitai2040/index.html)の資料(http://www.soumu.go.jp/main_content/000548065.pdf)p17「2040年頃を見据えた自治体戦略の基本的方向性」にある「個々の市町村が行政のフルセット主義を排し、圏域単位で、あるいは圏域を越えた都市・地方の自治体間で、有機的に連携することで都市機能等を維持確保する」も認識する必要があるのかもしれない。