3月29日付で「医師確保計画策定ガイドライン及び外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190405_6.pdf)が出ているが、「外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン」p4「外来医療に係る医療提供体制の確保に関する協議の場」は、p6「当面は二次医療圏単位での協議の場の運営を行うよう努められたい。」、p7「協議の場の下にワーキング・チームや専門部会等を設置し、当該議題の関係者との間でより具体的な協議を進めていく方法も考えられる。」とあるが、新たな会議を設置するよりも、地域医療構想調整会議や圏域連携会議(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000066602.pdf)等を活用した方が良いように感じる。なお、「医師確保計画策定ガイドライン及び外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190405_6.pdf)の「外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン」p21~25「医療機器の効率的な活用に係る計画」について、p22「CT(全てのマルチスライスCT 及びマルチスライスCT 以外のCT)、MRI(1.5 テスラ未満、1.5 テスラ以上3.0 テスラ未満及び3.0 テスラ以上のMRI)、PET(PET 及びPET-CT)、放射線治療(リニアック及びガンマナイフ)並びにマンモグラフィに項目化してそれぞれ可視化。」、p23「厚生労働省において病床機能報告に基づき医療機器を有する病院及び有床診療所のマッピングを行い、その情報を提供することとする。」とあるが、CT、MRI、マンモグラフィ等は有床医療機関とは限らない。したがって、「外来医療に係る医療提供体制の確保に関する協議の場」では、「病床機能報告」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)とともに、「医療機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)からのデータ提供も必要である。なお、「医師確保計画策定ガイドライン及び外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190405_6.pdf)の「外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン」p25「放射線診断機器については診療用放射線の安全管理に係る体制の確保の一環として被ばく線量の管理及び記録を行うこととされているので、こうした契機を捉えて共同利用の検討を促すことも検討されたい。なお、医療機関においては、当該医療機器を共同利用するに際しては、これらの遵守についても改めて徹底する必要がある。」とされている。第7次医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)の医政局長通知(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000159901.pdf)p12「CT、MRI等の医療機器を有する診療所に対する当該機器の保守点検を含めた医療安全の取組状況の定期的な報告を求めること。」とあり、診療所も含めて機器の保守点検がどうか、きちんとしたデータに基づく議論をすべきと感じる。
M3「「公立・公的病院、代替・再編の可能性を議論」中川日医副会長第144回日医臨時代議員会、「地域医療構想、働き方改革、新専門医制は一体」」(https://www.m3.com/news/iryoishin/669007)。<以下引用>
<日本医師会副会長の中川俊男氏は、3月31日の第144回臨時代議員会で、「他の医療機関による役割の代替可能性」「再編統合の可能性」がある公立・公的医療機関等について、期限を切って地域医療構想調整会議で議論する仕組みが今後導入されると説明した。さらに地域医療構想の実現に向けて、公立医療機関を有する地方自治体の首長が調整会議の意向に沿わない判断をする時、それを防ぐ手立てのほか、公立・公的医療機関等への補助金等の投入状況の「見える化」も検討しているとし、公立・公的等と民間の医療機関が役割分担しながら、地域医療構想の実現を目指す方針を表明した。日医副会長の中川俊男氏 地域医療構想において、公立・公的医療機関等は、「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」を策定、その役割を明確化し、2019年3月末までに調整会議の合意を得るとされていた。ただし、形式的な合意で終わるケースが少なくないことから、新たな仕組みの導入につながった。厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」の議論を踏まえたもので、同省は具体的作業を進めている(『17項目で診療実績「見える化」、公立・公的病院の再編後押し』を参照)。「例えば、『民間と、公立・公的が競合している』『公立・公的しかない』『民間しかない』などの判断する基準を作っているので、早急に全国にお伝えしたい」。中川氏はその他、調整会議で医療機能に関する「定量的な基準」を導入する動きがある中、「病床機能報告制度と病床の必要量を、できるだけ一致させることが目的では全くない。構想区域の医療提供体制をより具体的に把握するだけのことだ」と説明。地域医療構想との関連で、都道府県別の診療報酬の導入も浮上するものの、現行の「高齢者の医療の確保に関する法律」(高確法)の下では導入のハードルは高い上に、「両者の関連はないと認識してもらいたい」と説明。ただし、「高確法を改正して、都道府県別の医療費抑制を狙う人達もいる」と述べ、注視していくとした。さらに地域医療構想、医師の働き方改革、新専門医制度は全て一連のものであり、縦割りにならないように、努めていく方針も表明した。地域医療構想について質問したのは、三重県代議員の馬岡晋氏。それに対し、日医常任理事の釜萢敏氏が答弁した後、関連質問が相次ぎ、中川副会長が回答した。地域医療構想に関する質問と答弁の概要 質問:三重県代議員の馬岡晋氏 (1)1年ごとの地域医療構想の策定、厚生労働省への報告は変更を検討できないか、(2)医療区分1の在宅への移行は、各地域に自由に設定させることは考えられないか、(3)病床区分における基本ルールの策定の是非の検討を含め、地域医療構想調整会議の活性化に取り組む意思は日医執行部にあるか――の3点を質問。答弁:日医常任理事の釜萢敏氏 調整会議では、年4回会議を行うことが示されている。協議内容は、地域の不足する医療機能の確認、それを補うための具体策、次年度の地域医療介護総合確保基金の活用などになる。こうした年間スケジュールを毎年繰り返すことで、各地域における病床の機能の構成が、自主的に収れんされ、地域医療構想で描いた姿に近付くことになる。調整会議は、定期開催と随時開催ができるよう、地域医療構想策定ガイドラインに記載されている。コアメンバーによる随時会議をあらかじめ行い、論点を整理するなど、医療職以外の委員の負担を軽減し、会議の効率を高めるようにしてもらいたい。2025年を見据え、議論を掘り下げていくことも必要。都道府県が短期的な目標のみならず、中期目標などを設定できるよう、国に働きかけていく。「医療区分1の70%」は、各地域において病床機能の分化により、在宅医療の追加的需要がどれだけ発生するか、その一つの目安にすぎず、それに縛られる必要はない。それから得られる数値は参考値にすぎない。病床の削減、在宅への移行を強いるものではない。高齢化に伴う在宅医療の需要の自然増にも対応しなければいけない。地域の実情に応じて、実現可能な方法で体制を構築していくことになるが、在宅での受け入れは、かかりつけ医の確保にかかっている。中小病院や診療所の医師偏在解消、在宅医療を担う医師の育成、介護施設の整備など、基盤が整って初めて在宅での受け入れが可能となる。これらの現状を確認し、地域の自主性をもって在宅医療を進めることになっている。病床の区分割り当てに関する各都道府県独自の判断基準の作成とは、昨年厚労省が通知で示した、地域医療構想調整会議の活性化のための地域の実情に応じた定量的な基準のことだと思う。都道府県独自の基準が診療報酬の都道府県化につながることを懸念しているが、そのようなことを決してない。日医は、国民皆保険の理念に合致しない、都道府県別診療報酬算定には断固反対する。日医は、急性期機能を全く発揮していないのに、急性期機能の病棟と報告するような極端な場合を除き、全国一律の定量的な基準を入れることにあまり意味がないと、一貫して主張してきた。この考え方は、厚労省からも了承されている。地域の実情に応じた定量的な基準は、厚労省が通知で説明している通り、調整会議の議論を活性化させる観点のもの。あくまでも各構想区域の実態を把握するツールであり、必ずしも導入しなければいけないものではない。最後に、公立・公的医療機関等は、「それらでなければ担えない機能」に重点化すべきである。一方、これらのプランがさしたる議論もないまま、調整会議で合意される実態もあると聞いている。日医は、その点を公の場で厳しく指摘してきた。その結果、厚労省も調整会議に対し、病床数に固執した機械的、形骸化した議論ではなく、公立・公的医療機関等の実績をしっかりと分析評価し、ダウンサイジングなどを進めることを求めていく方向。質問:三重県代議員の馬岡晋氏 調整会議の本質は、今まで中川副会長が何度も言われていたが、地域医療の再生、在宅医療の充実に向けて、いかに皆で手を携えるかという観点であり、住民全員を巻き込んだ議論をしなければいけないと思う。答弁:日医副会長の中川俊男氏
調整会議は、ガイドラインの策定時から、定例会議と臨時会議に分け、地域住民も含めて大きな会議(定例会議)では、その構想区域のデータを共有する。しかし、踏み込んだ議論はたくさんの人が参加する会議では難しいので、利害関係者も含めて、(臨時会議で)しっかりと議論することから始まる。その使い分けを上手にやっていただきたい。また「定量的な基準」のことだが、2018年8月に(厚労省医政局)地域医療計画課から課長通知が出されたのは、当時、全国の構想区域で「回復期機能が不足している」ということが頻発したので、それに対して危機感を持ったため。独自の定量的基準を導入して、しっかり実情を把握してもらいたいという意味だ。その結果、全国で次第に回復期が不足しているという認識が改められてきたと思う。「定量的な基準」を導入する目的は、病床機能報告制度と病床の必要量を、できるだけ一致させることが目的では全くない。構想区域の医療提供体制をより具体的に把握する、それだけのことだ。質問:岐阜県代議員の川出靖彦氏 一番、今問題になっているのは、新専門医制度が始まり、医師が急激に不足しつつあること。中小病院では、医師の引き揚げが起きている。医師の働き方改革でも医師の不足が生じる。医師の確保と医師の働き方改革も、調整会議で議論してもらいたいが、これらを把握、評価するためのデータはない。答弁:日医副会長の中川俊男氏 医師がどのくらい必要なのかという把握が難しい状態。三師調査では、今回から「主たる勤務先」と「従たる勤務先」の両方を書くようにした。「従たる勤務先」で何日間働いているかも含めて、分析を始めている。精緻なことを始めているので、ぜひご提供したい。地域医療構想、医師の働き方改革、新専門医制度は全て一連のものであり、縦割りにならないように、しっかりと詰めていきたい。質問:宮城県代議員の橋本省氏 釜萢常任理事は「都道府県別の診療報酬にはつながらない」と回答したが、地域医療構想、現状には都道府県による差が大きい。そのような状況下だと何が出てくるか分からない。奈良県では昨年、都道府県別の診療報酬が出た(『地域別診療報酬の検討、奈良県が事実上凍結』を参照)。本当に大丈夫か。答弁:日医副会長の中川俊男氏 都道府県別診療報酬の特例に関する根拠法は、高齢者の医療の確保に関する法律、すなわち高確法だ。その中で、関係しているのは第13条と第14条だ。「第13条に基づいて都道府県が診療報酬の特例を要望して、第14条で厚労大臣が許可する」と考えている方も多いが、それは誤解。第13条は、都道府県が全国一律の診療報酬について、意見を提出することができるというだけの条文。一方、第14条は、厚生労働大臣が、医療費適正化を推進するために支障がある、都道府県別の診療報酬を導入した方がいいと判断した時に、実行ができる。厚生労働大臣の判断の基準は、全国の医療費適正化計画がうまく行っているかどうかだ。全国と都道府県の計画目標の両方がうまく行かない時に、初めて都道府県別の診療報酬導入の可能性が出てくる。この法律は、非常に精緻になっており、都道府県間の給付に不公平になってはいけないとまで書いている。実質的に導入は不可能。このことも認識して、地域医療構想と都道府県別の診療報酬の関連はないと認識してもらいたい。しかし、問題は、高確法を改正して、都道府県別まで医療費抑制を狙う人達もいる。日医は、しっかりと警戒して、注視していく。質問:愛媛県代議員の久野梧郎氏 民間に先立ち、公立・公的医療機関等の病床の議論が進んでいる。休床になっていることが多々ある。人口が減少する地域では、隣接地域の中間に基幹病院を作った方がいい場合もある。公立・公的医療機関等の問題は、調整会議のみに任せるのではなく、もう少し国として指導力を発揮してもいいのではないか。答弁:日医副会長の中川俊男氏 調整会議は法律上、強大な権限を持っているが、なかなか機能しにくいのはその通りだ。なぜ公立・公的医療機関を問題にするかだが、公立・公的医療機関と、民間病院の機能が競合する場合には、公立・公的医療機関がひくという文書が厚労省から出ている。公立病院には年間5000億円以上の税金が投入されているからだ。公的医療機関も県によって違うが、補助金や税制優遇など、いろいろな形で支援をしている。(厚労省の)地域医療構想に関するワーキンググループで、「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」が、全国の調整会議で「合意された」とされるが、ほとんどさしたる議論もなかった。それを検証し直すことにした。例えば、一般的な術式の手術について、競合していないかどうかを類型化して、そのデータを構想区域に返すことにした。さらにもっと踏み込み、「他の医療機関による役割の代替可能性がある公立・公的医療機関等」という名前を付けて分類し、そのことを調整会議で調整して、期限を切って結論を出すことにした。「他の医療機関と再編統合の必要性について、特に議論が必要な公立・公的医療機関等」という分類も行い、これについても期限を切って議論し、方策を得ることになっている。さらに大事なことは、補助金が公立・公的医療機関等にどのくらい入っているのか、トータルの額は分かるが、内容は全く分からない。それを「見える化」することも考えている。公立医療機関を有する地方自治体の首長が、調整会議の意向に沿わない判断をする時、それを何とか防ぐ手立てを考えようとまで踏み込んでいる。質問:兵庫県代議員の大江与喜子氏 「新公立病院改革プラン」等の合意だが、3月末までに合意しないと、補助金が減額されるという脅しがあり、あまり議論しなかった経緯がある。また公立病院等の医師は、地域医療構想をほとんど理解せず、勝手に自分たちが作りたい病院を作っているという姿勢がある。答弁:日医副会長の中川俊男氏 日医は、公立・公的医療機関等に対する何のうらみも持っていない。地域医療構想を進めていくのは、東京都や大阪府といった地域を除いて、ほとんど病床が間違いなく余ってくるからだ。その最初の役割、ダウンサイジングする、統廃合する役割は、公立・公的医療機関等が担うべきだと一貫して主張している。また基金等を減額することがないよう、厚労省に厳しく言っている。質問:長崎県代議員の釣船崇仁氏 公立・公的医療機関等しか担えないような機能を担っているかを判断するとされているが、それは誰が判断するのか。答弁:日医副会長の中川俊男氏 法的には地域医療構想調整会議が判断する。ただ判断すると言っても、基準がないと判断できない。先ほど言ったように、類型を作り、例えば「民間と、公立・公的が競合している」「公立・公的しかない」「民間しかない」などの判断する基準を作っているので、早急に全国にお伝えしたい。>
「地域医療構想」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_368422.html)については、「病床機能報告」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)を活用した「具体的対応方針の検証に向けた議論の整理(たたき台)」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000496231.pdf)にある「厚生労働省による分析」を踏まえて、「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)、「公的医療機関等2025プラン」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)の再検証が行われるようである。「地域医療構想に関するワーキンググループ」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_368422.html)の「具体的対応方針の検証に向けた議論の整理(たたき台)」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000490785.pdf)p2「厚生労働省において、診療実績等の一定の指標を設定し、各構想区域の医療提供体制の現状について分析を行うこととする。」「厚生労働省は、各都道府県に対し、この分析結果を踏まえ、一定の基準に合致した場合は、これまでの各構想区域の具体的対応方針に関する合意内容が、真に地域医療構想の実現に沿ったものとなっているか、地域医療構想調整会議において改めて検証するよう要請することとする。」、p3「具体的には、「地域医療構想策定ガイドライン」、「新公立病院改革ガイドライン」、「経済財政運営と改革の基本方針2018」において求められる役割や疾病との関係性を整理した一定の「領域」及び「分析項目」を設定し、分析項目ごとに病床機能報告のデータを活用して実績を分析することとする。」、「A 各分析項目について、構想区域内に、一定数以上の診療実績(診療実績とは、当該行為の実施件数や構想区域内の実施件数の占有率を含む。以下同じ。)を有する医療機関が2つ以上あり、かつ、お互いの所在地が近接している。B 各分析項目について、診療実績が特に少ない。」、p4「1つ以上の分析項目について、「代替可能性がある」と分析された公立公的医療機関等を、「他の医療機関による役割の代替可能性がある公立・公的医療機関等」と位置づける。」「「他の医療機関による役割の代替可能性がある公立・公的医療機関等」のうち、大半の分析項目について「代替可能性がある」と分析された公立・公的医療機関等については、「再編統合の必要性について特に議論が必要な公立・公的医療機関等」と位置づける。」「厚生労働省において、2019年年央までに分析を完了し、都道府県及び地域医療構想アドバイザーを通じ、公立・公的医療機関等をはじめとする関係医療機関等に対し、分析結果を提供することとする。また、地域医療構想調整会議の構成員以外の医療関係者等にも情報が行き届くよう、厚生労働省において、分析結果をわかりやすく可視化し、公表するよう努めることとする。」、p5「「他の医療機関による役割の代替可能性がある公立・公的医療機関等」は、構想区域の医療機関の診療実績や将来の医療需要の動向等を踏まえて、代替可能性があると分析された役割について、他の医療機関に機能を統合することの是非について協議し、遅くとも○年○月までに結論を得ること。」、p6「「再編統合の必要性について特に議論が必要な公立・公的医療機関等」は、構想区域の医療機関の診療実績や将来の医療需要の動向等を踏まえて、他の医療機関と統合することの是非について協議し、遅くとも○年○月までに結論を得ること。」、p9「領域及び分析項目【がん】(手術)・肺・呼吸器・・・(1)・消化器(消化管/肝胆膵)・・・(2)・乳腺・・・(3)・泌尿器/生殖器・・・(4)(その他)・化学療法・・・(5)・放射線治療・・・(6)【心筋梗塞等の心血管疾患】・心筋梗塞・・・(7)・外科手術が必要な心疾患・・・(8)【脳卒中】・脳梗塞・・・(9)・脳出血(くも膜下出血を含む)・・・(10)【救急医療】・救急搬送等の医療・・・(11)・大腿骨骨折等・・・(12)【小児医療】・・・(13)【周産期医療】・・・(14)【災害医療】・・・(15)【へき地医療】・・・(16)【研修・派遣機能】・・・(17)」は理解しておきたい。例えば、医療機能情報(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)や病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)をみれば、がん手術実績が非常に小さい病院が少なくない。がん診療連携拠点病院(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/gan/gan_byoin.html)については、通知(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/gan_byoin_03.pdf)で、「院内がん登録数年間500件以上、悪性腫瘍の手術件数 年間400件以上、がんに係る化学療法のべ患者数 年間1000人以上、放射線治療のべ患者数 年間200人以上」の実績要件が設定されているが、それ以外の病院でどこまでの急性期診療機能を確保するか、医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)、「公的医療機関等2025プラン」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)、「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)等でしっかり検討されるべきである。専門スタッフ(医師だけではない!)や高度機器等を考慮すれば、急性期診療機能の集約化はやはり必要であろう。「医師確保計画策定ガイドライン及び外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190405_6.pdf)p17「個別の医療機関については、現在、各地域医療構想調整会議において、公立・公的医療機関等でなければ担えない機能に重点化が図られているか等をはじめとした医療機関の機能と役割について議論が行われているところであるが、その議論の結果に沿って地域において必要とされる医療が過不足なく提供されるよう医師の確保がなされなければならない。この目的を達成するためにも、地域医療構想調整会議においては、各医療機関について現在の機能を所与のものとせず、医療機関が地域の実情と比べて必要以上の機能と役割を担うことがないよう十分な議論を行う必要がある。」とある。しかし、まずは「病床利用率の低い一般病床(特に休棟)を有する病院」について、今後の方向をしっかり打ち出す必要があるように感じる。国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/t-page.asp)(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/3kekka/Municipalities.asp)に出ている「2045年までの市区町村の性・年齢階級推計人口」と政策医療を踏まえて、人口減少地域では、ダウンサイジング方向を打ち出すべきであろう。地域医療構想策定ガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000088511.pdf)p23に示すように、必要病床数を計算する際の稼働率は「急性期78%」であるが、医療機能情報提供制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)に出ている「医療機関ごとの病床種別の許可病床数と前年度一日平均入院患者数」をみれば、かなり利用率が低い一般病床を有する病院が少なくない。平成32年度までの計画期間である「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)に関する総務省通知(http://www.soumu.go.jp/main_content/000350493.pdf)p8では、「過去3年間連続して病床利用率が70%未満」である病院に対して、抜本的な検討が要請され、総務省資料(http://www.soumu.go.jp/main_content/000343695.pdf)p5「公立病院の運営費に係る地方交付税措置(病床当たり単価;707千円)の算定基礎を許可病床数から稼動病床数に見直す」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000350493.pdf)となった。医療政策研修会(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194369.html)の資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000349458.pdf)p7「平成30年2月7日付け医政地発0207第1号厚生労働省医政局地域医療計画課長通知」では「都道府県は、個別の医療機関ごと(病棟ごと)に、以下の内容を提示すること。①医療機能や診療実績 ②地域医療介護総合確保基金を含む各種補助金等の活用状況 ③公立病院・公的病院等について、病床稼働率、紹介・逆紹介率、救急対応状況、医師数、経営に関する情報など」とあり、各地域の地域医療構想調整会議でデータ・資料が示される必要がある。「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)、「公的医療機関等2025プラン」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)の再検証のためには、公立・公的病院への補助金投入状況の「見える化」が不可欠と感じる。資料「今後の社会保障改革について ー 2040年を見据えて ー」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000474989.pdf)p2「2040年を展望した社会保障改革についての国民的な議論の必要性」は同感であるが、それぞれの地域において徹底した情報公開が不可欠であろう。そういえば、経済財政諮問会議(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の「「次世代型行政サービス」への改革に向けて ~高い経済波及効果と質・効率の高い行財政改革の同時実現~」(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019/0226/shiryo_01-1.pdf)p1「まずは国の財源で国及び自治体等の情報システムやデータを集約・標準化・共同化し、原則、オープンな形で誰もが利用できるようにすべきである。」とあった。なお、地域医療構想調整会議の前に、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/t-page.asp)(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/3kekka/Municipalities.asp)に出ている「2045年までの市区町村の性・年齢階級推計人口」と、日医総研(http://www.jmari.med.or.jp/)の「地域の医療提供体制の現状 - 都道府県別・二次医療圏別データ集 - (2018 年度版)」(http://www.jmari.med.or.jp/research/research/wr_668.html)、「地域の医療介護提供体制の現状 - 市区町村別データ集(地域包括ケア関連) - (2018 年度版)」(http://www.jmari.med.or.jp/research/research/wr_669.html)にある二次医療圏別・市町村別の各項目の偏差値やを理解していただくことも必要であろう。例えば、介護保険主治医研修会や「A240 総合評価加算」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_1_2_2/a240.html)にかかる職員研修が活用されても良いように感じる。
<日本医師会副会長の中川俊男氏は、3月31日の第144回臨時代議員会で、「他の医療機関による役割の代替可能性」「再編統合の可能性」がある公立・公的医療機関等について、期限を切って地域医療構想調整会議で議論する仕組みが今後導入されると説明した。さらに地域医療構想の実現に向けて、公立医療機関を有する地方自治体の首長が調整会議の意向に沿わない判断をする時、それを防ぐ手立てのほか、公立・公的医療機関等への補助金等の投入状況の「見える化」も検討しているとし、公立・公的等と民間の医療機関が役割分担しながら、地域医療構想の実現を目指す方針を表明した。日医副会長の中川俊男氏 地域医療構想において、公立・公的医療機関等は、「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」を策定、その役割を明確化し、2019年3月末までに調整会議の合意を得るとされていた。ただし、形式的な合意で終わるケースが少なくないことから、新たな仕組みの導入につながった。厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」の議論を踏まえたもので、同省は具体的作業を進めている(『17項目で診療実績「見える化」、公立・公的病院の再編後押し』を参照)。「例えば、『民間と、公立・公的が競合している』『公立・公的しかない』『民間しかない』などの判断する基準を作っているので、早急に全国にお伝えしたい」。中川氏はその他、調整会議で医療機能に関する「定量的な基準」を導入する動きがある中、「病床機能報告制度と病床の必要量を、できるだけ一致させることが目的では全くない。構想区域の医療提供体制をより具体的に把握するだけのことだ」と説明。地域医療構想との関連で、都道府県別の診療報酬の導入も浮上するものの、現行の「高齢者の医療の確保に関する法律」(高確法)の下では導入のハードルは高い上に、「両者の関連はないと認識してもらいたい」と説明。ただし、「高確法を改正して、都道府県別の医療費抑制を狙う人達もいる」と述べ、注視していくとした。さらに地域医療構想、医師の働き方改革、新専門医制度は全て一連のものであり、縦割りにならないように、努めていく方針も表明した。地域医療構想について質問したのは、三重県代議員の馬岡晋氏。それに対し、日医常任理事の釜萢敏氏が答弁した後、関連質問が相次ぎ、中川副会長が回答した。地域医療構想に関する質問と答弁の概要 質問:三重県代議員の馬岡晋氏 (1)1年ごとの地域医療構想の策定、厚生労働省への報告は変更を検討できないか、(2)医療区分1の在宅への移行は、各地域に自由に設定させることは考えられないか、(3)病床区分における基本ルールの策定の是非の検討を含め、地域医療構想調整会議の活性化に取り組む意思は日医執行部にあるか――の3点を質問。答弁:日医常任理事の釜萢敏氏 調整会議では、年4回会議を行うことが示されている。協議内容は、地域の不足する医療機能の確認、それを補うための具体策、次年度の地域医療介護総合確保基金の活用などになる。こうした年間スケジュールを毎年繰り返すことで、各地域における病床の機能の構成が、自主的に収れんされ、地域医療構想で描いた姿に近付くことになる。調整会議は、定期開催と随時開催ができるよう、地域医療構想策定ガイドラインに記載されている。コアメンバーによる随時会議をあらかじめ行い、論点を整理するなど、医療職以外の委員の負担を軽減し、会議の効率を高めるようにしてもらいたい。2025年を見据え、議論を掘り下げていくことも必要。都道府県が短期的な目標のみならず、中期目標などを設定できるよう、国に働きかけていく。「医療区分1の70%」は、各地域において病床機能の分化により、在宅医療の追加的需要がどれだけ発生するか、その一つの目安にすぎず、それに縛られる必要はない。それから得られる数値は参考値にすぎない。病床の削減、在宅への移行を強いるものではない。高齢化に伴う在宅医療の需要の自然増にも対応しなければいけない。地域の実情に応じて、実現可能な方法で体制を構築していくことになるが、在宅での受け入れは、かかりつけ医の確保にかかっている。中小病院や診療所の医師偏在解消、在宅医療を担う医師の育成、介護施設の整備など、基盤が整って初めて在宅での受け入れが可能となる。これらの現状を確認し、地域の自主性をもって在宅医療を進めることになっている。病床の区分割り当てに関する各都道府県独自の判断基準の作成とは、昨年厚労省が通知で示した、地域医療構想調整会議の活性化のための地域の実情に応じた定量的な基準のことだと思う。都道府県独自の基準が診療報酬の都道府県化につながることを懸念しているが、そのようなことを決してない。日医は、国民皆保険の理念に合致しない、都道府県別診療報酬算定には断固反対する。日医は、急性期機能を全く発揮していないのに、急性期機能の病棟と報告するような極端な場合を除き、全国一律の定量的な基準を入れることにあまり意味がないと、一貫して主張してきた。この考え方は、厚労省からも了承されている。地域の実情に応じた定量的な基準は、厚労省が通知で説明している通り、調整会議の議論を活性化させる観点のもの。あくまでも各構想区域の実態を把握するツールであり、必ずしも導入しなければいけないものではない。最後に、公立・公的医療機関等は、「それらでなければ担えない機能」に重点化すべきである。一方、これらのプランがさしたる議論もないまま、調整会議で合意される実態もあると聞いている。日医は、その点を公の場で厳しく指摘してきた。その結果、厚労省も調整会議に対し、病床数に固執した機械的、形骸化した議論ではなく、公立・公的医療機関等の実績をしっかりと分析評価し、ダウンサイジングなどを進めることを求めていく方向。質問:三重県代議員の馬岡晋氏 調整会議の本質は、今まで中川副会長が何度も言われていたが、地域医療の再生、在宅医療の充実に向けて、いかに皆で手を携えるかという観点であり、住民全員を巻き込んだ議論をしなければいけないと思う。答弁:日医副会長の中川俊男氏
調整会議は、ガイドラインの策定時から、定例会議と臨時会議に分け、地域住民も含めて大きな会議(定例会議)では、その構想区域のデータを共有する。しかし、踏み込んだ議論はたくさんの人が参加する会議では難しいので、利害関係者も含めて、(臨時会議で)しっかりと議論することから始まる。その使い分けを上手にやっていただきたい。また「定量的な基準」のことだが、2018年8月に(厚労省医政局)地域医療計画課から課長通知が出されたのは、当時、全国の構想区域で「回復期機能が不足している」ということが頻発したので、それに対して危機感を持ったため。独自の定量的基準を導入して、しっかり実情を把握してもらいたいという意味だ。その結果、全国で次第に回復期が不足しているという認識が改められてきたと思う。「定量的な基準」を導入する目的は、病床機能報告制度と病床の必要量を、できるだけ一致させることが目的では全くない。構想区域の医療提供体制をより具体的に把握する、それだけのことだ。質問:岐阜県代議員の川出靖彦氏 一番、今問題になっているのは、新専門医制度が始まり、医師が急激に不足しつつあること。中小病院では、医師の引き揚げが起きている。医師の働き方改革でも医師の不足が生じる。医師の確保と医師の働き方改革も、調整会議で議論してもらいたいが、これらを把握、評価するためのデータはない。答弁:日医副会長の中川俊男氏 医師がどのくらい必要なのかという把握が難しい状態。三師調査では、今回から「主たる勤務先」と「従たる勤務先」の両方を書くようにした。「従たる勤務先」で何日間働いているかも含めて、分析を始めている。精緻なことを始めているので、ぜひご提供したい。地域医療構想、医師の働き方改革、新専門医制度は全て一連のものであり、縦割りにならないように、しっかりと詰めていきたい。質問:宮城県代議員の橋本省氏 釜萢常任理事は「都道府県別の診療報酬にはつながらない」と回答したが、地域医療構想、現状には都道府県による差が大きい。そのような状況下だと何が出てくるか分からない。奈良県では昨年、都道府県別の診療報酬が出た(『地域別診療報酬の検討、奈良県が事実上凍結』を参照)。本当に大丈夫か。答弁:日医副会長の中川俊男氏 都道府県別診療報酬の特例に関する根拠法は、高齢者の医療の確保に関する法律、すなわち高確法だ。その中で、関係しているのは第13条と第14条だ。「第13条に基づいて都道府県が診療報酬の特例を要望して、第14条で厚労大臣が許可する」と考えている方も多いが、それは誤解。第13条は、都道府県が全国一律の診療報酬について、意見を提出することができるというだけの条文。一方、第14条は、厚生労働大臣が、医療費適正化を推進するために支障がある、都道府県別の診療報酬を導入した方がいいと判断した時に、実行ができる。厚生労働大臣の判断の基準は、全国の医療費適正化計画がうまく行っているかどうかだ。全国と都道府県の計画目標の両方がうまく行かない時に、初めて都道府県別の診療報酬導入の可能性が出てくる。この法律は、非常に精緻になっており、都道府県間の給付に不公平になってはいけないとまで書いている。実質的に導入は不可能。このことも認識して、地域医療構想と都道府県別の診療報酬の関連はないと認識してもらいたい。しかし、問題は、高確法を改正して、都道府県別まで医療費抑制を狙う人達もいる。日医は、しっかりと警戒して、注視していく。質問:愛媛県代議員の久野梧郎氏 民間に先立ち、公立・公的医療機関等の病床の議論が進んでいる。休床になっていることが多々ある。人口が減少する地域では、隣接地域の中間に基幹病院を作った方がいい場合もある。公立・公的医療機関等の問題は、調整会議のみに任せるのではなく、もう少し国として指導力を発揮してもいいのではないか。答弁:日医副会長の中川俊男氏 調整会議は法律上、強大な権限を持っているが、なかなか機能しにくいのはその通りだ。なぜ公立・公的医療機関を問題にするかだが、公立・公的医療機関と、民間病院の機能が競合する場合には、公立・公的医療機関がひくという文書が厚労省から出ている。公立病院には年間5000億円以上の税金が投入されているからだ。公的医療機関も県によって違うが、補助金や税制優遇など、いろいろな形で支援をしている。(厚労省の)地域医療構想に関するワーキンググループで、「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」が、全国の調整会議で「合意された」とされるが、ほとんどさしたる議論もなかった。それを検証し直すことにした。例えば、一般的な術式の手術について、競合していないかどうかを類型化して、そのデータを構想区域に返すことにした。さらにもっと踏み込み、「他の医療機関による役割の代替可能性がある公立・公的医療機関等」という名前を付けて分類し、そのことを調整会議で調整して、期限を切って結論を出すことにした。「他の医療機関と再編統合の必要性について、特に議論が必要な公立・公的医療機関等」という分類も行い、これについても期限を切って議論し、方策を得ることになっている。さらに大事なことは、補助金が公立・公的医療機関等にどのくらい入っているのか、トータルの額は分かるが、内容は全く分からない。それを「見える化」することも考えている。公立医療機関を有する地方自治体の首長が、調整会議の意向に沿わない判断をする時、それを何とか防ぐ手立てを考えようとまで踏み込んでいる。質問:兵庫県代議員の大江与喜子氏 「新公立病院改革プラン」等の合意だが、3月末までに合意しないと、補助金が減額されるという脅しがあり、あまり議論しなかった経緯がある。また公立病院等の医師は、地域医療構想をほとんど理解せず、勝手に自分たちが作りたい病院を作っているという姿勢がある。答弁:日医副会長の中川俊男氏 日医は、公立・公的医療機関等に対する何のうらみも持っていない。地域医療構想を進めていくのは、東京都や大阪府といった地域を除いて、ほとんど病床が間違いなく余ってくるからだ。その最初の役割、ダウンサイジングする、統廃合する役割は、公立・公的医療機関等が担うべきだと一貫して主張している。また基金等を減額することがないよう、厚労省に厳しく言っている。質問:長崎県代議員の釣船崇仁氏 公立・公的医療機関等しか担えないような機能を担っているかを判断するとされているが、それは誰が判断するのか。答弁:日医副会長の中川俊男氏 法的には地域医療構想調整会議が判断する。ただ判断すると言っても、基準がないと判断できない。先ほど言ったように、類型を作り、例えば「民間と、公立・公的が競合している」「公立・公的しかない」「民間しかない」などの判断する基準を作っているので、早急に全国にお伝えしたい。>
「地域医療構想」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_368422.html)については、「病床機能報告」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)を活用した「具体的対応方針の検証に向けた議論の整理(たたき台)」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000496231.pdf)にある「厚生労働省による分析」を踏まえて、「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)、「公的医療機関等2025プラン」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)の再検証が行われるようである。「地域医療構想に関するワーキンググループ」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_368422.html)の「具体的対応方針の検証に向けた議論の整理(たたき台)」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000490785.pdf)p2「厚生労働省において、診療実績等の一定の指標を設定し、各構想区域の医療提供体制の現状について分析を行うこととする。」「厚生労働省は、各都道府県に対し、この分析結果を踏まえ、一定の基準に合致した場合は、これまでの各構想区域の具体的対応方針に関する合意内容が、真に地域医療構想の実現に沿ったものとなっているか、地域医療構想調整会議において改めて検証するよう要請することとする。」、p3「具体的には、「地域医療構想策定ガイドライン」、「新公立病院改革ガイドライン」、「経済財政運営と改革の基本方針2018」において求められる役割や疾病との関係性を整理した一定の「領域」及び「分析項目」を設定し、分析項目ごとに病床機能報告のデータを活用して実績を分析することとする。」、「A 各分析項目について、構想区域内に、一定数以上の診療実績(診療実績とは、当該行為の実施件数や構想区域内の実施件数の占有率を含む。以下同じ。)を有する医療機関が2つ以上あり、かつ、お互いの所在地が近接している。B 各分析項目について、診療実績が特に少ない。」、p4「1つ以上の分析項目について、「代替可能性がある」と分析された公立公的医療機関等を、「他の医療機関による役割の代替可能性がある公立・公的医療機関等」と位置づける。」「「他の医療機関による役割の代替可能性がある公立・公的医療機関等」のうち、大半の分析項目について「代替可能性がある」と分析された公立・公的医療機関等については、「再編統合の必要性について特に議論が必要な公立・公的医療機関等」と位置づける。」「厚生労働省において、2019年年央までに分析を完了し、都道府県及び地域医療構想アドバイザーを通じ、公立・公的医療機関等をはじめとする関係医療機関等に対し、分析結果を提供することとする。また、地域医療構想調整会議の構成員以外の医療関係者等にも情報が行き届くよう、厚生労働省において、分析結果をわかりやすく可視化し、公表するよう努めることとする。」、p5「「他の医療機関による役割の代替可能性がある公立・公的医療機関等」は、構想区域の医療機関の診療実績や将来の医療需要の動向等を踏まえて、代替可能性があると分析された役割について、他の医療機関に機能を統合することの是非について協議し、遅くとも○年○月までに結論を得ること。」、p6「「再編統合の必要性について特に議論が必要な公立・公的医療機関等」は、構想区域の医療機関の診療実績や将来の医療需要の動向等を踏まえて、他の医療機関と統合することの是非について協議し、遅くとも○年○月までに結論を得ること。」、p9「領域及び分析項目【がん】(手術)・肺・呼吸器・・・(1)・消化器(消化管/肝胆膵)・・・(2)・乳腺・・・(3)・泌尿器/生殖器・・・(4)(その他)・化学療法・・・(5)・放射線治療・・・(6)【心筋梗塞等の心血管疾患】・心筋梗塞・・・(7)・外科手術が必要な心疾患・・・(8)【脳卒中】・脳梗塞・・・(9)・脳出血(くも膜下出血を含む)・・・(10)【救急医療】・救急搬送等の医療・・・(11)・大腿骨骨折等・・・(12)【小児医療】・・・(13)【周産期医療】・・・(14)【災害医療】・・・(15)【へき地医療】・・・(16)【研修・派遣機能】・・・(17)」は理解しておきたい。例えば、医療機能情報(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)や病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)をみれば、がん手術実績が非常に小さい病院が少なくない。がん診療連携拠点病院(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/gan/gan_byoin.html)については、通知(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/gan_byoin_03.pdf)で、「院内がん登録数年間500件以上、悪性腫瘍の手術件数 年間400件以上、がんに係る化学療法のべ患者数 年間1000人以上、放射線治療のべ患者数 年間200人以上」の実績要件が設定されているが、それ以外の病院でどこまでの急性期診療機能を確保するか、医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)、「公的医療機関等2025プラン」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)、「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)等でしっかり検討されるべきである。専門スタッフ(医師だけではない!)や高度機器等を考慮すれば、急性期診療機能の集約化はやはり必要であろう。「医師確保計画策定ガイドライン及び外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190405_6.pdf)p17「個別の医療機関については、現在、各地域医療構想調整会議において、公立・公的医療機関等でなければ担えない機能に重点化が図られているか等をはじめとした医療機関の機能と役割について議論が行われているところであるが、その議論の結果に沿って地域において必要とされる医療が過不足なく提供されるよう医師の確保がなされなければならない。この目的を達成するためにも、地域医療構想調整会議においては、各医療機関について現在の機能を所与のものとせず、医療機関が地域の実情と比べて必要以上の機能と役割を担うことがないよう十分な議論を行う必要がある。」とある。しかし、まずは「病床利用率の低い一般病床(特に休棟)を有する病院」について、今後の方向をしっかり打ち出す必要があるように感じる。国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/t-page.asp)(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/3kekka/Municipalities.asp)に出ている「2045年までの市区町村の性・年齢階級推計人口」と政策医療を踏まえて、人口減少地域では、ダウンサイジング方向を打ち出すべきであろう。地域医療構想策定ガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000088511.pdf)p23に示すように、必要病床数を計算する際の稼働率は「急性期78%」であるが、医療機能情報提供制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)に出ている「医療機関ごとの病床種別の許可病床数と前年度一日平均入院患者数」をみれば、かなり利用率が低い一般病床を有する病院が少なくない。平成32年度までの計画期間である「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)に関する総務省通知(http://www.soumu.go.jp/main_content/000350493.pdf)p8では、「過去3年間連続して病床利用率が70%未満」である病院に対して、抜本的な検討が要請され、総務省資料(http://www.soumu.go.jp/main_content/000343695.pdf)p5「公立病院の運営費に係る地方交付税措置(病床当たり単価;707千円)の算定基礎を許可病床数から稼動病床数に見直す」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000350493.pdf)となった。医療政策研修会(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194369.html)の資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000349458.pdf)p7「平成30年2月7日付け医政地発0207第1号厚生労働省医政局地域医療計画課長通知」では「都道府県は、個別の医療機関ごと(病棟ごと)に、以下の内容を提示すること。①医療機能や診療実績 ②地域医療介護総合確保基金を含む各種補助金等の活用状況 ③公立病院・公的病院等について、病床稼働率、紹介・逆紹介率、救急対応状況、医師数、経営に関する情報など」とあり、各地域の地域医療構想調整会議でデータ・資料が示される必要がある。「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)、「公的医療機関等2025プラン」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)の再検証のためには、公立・公的病院への補助金投入状況の「見える化」が不可欠と感じる。資料「今後の社会保障改革について ー 2040年を見据えて ー」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000474989.pdf)p2「2040年を展望した社会保障改革についての国民的な議論の必要性」は同感であるが、それぞれの地域において徹底した情報公開が不可欠であろう。そういえば、経済財政諮問会議(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の「「次世代型行政サービス」への改革に向けて ~高い経済波及効果と質・効率の高い行財政改革の同時実現~」(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019/0226/shiryo_01-1.pdf)p1「まずは国の財源で国及び自治体等の情報システムやデータを集約・標準化・共同化し、原則、オープンな形で誰もが利用できるようにすべきである。」とあった。なお、地域医療構想調整会議の前に、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/t-page.asp)(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/3kekka/Municipalities.asp)に出ている「2045年までの市区町村の性・年齢階級推計人口」と、日医総研(http://www.jmari.med.or.jp/)の「地域の医療提供体制の現状 - 都道府県別・二次医療圏別データ集 - (2018 年度版)」(http://www.jmari.med.or.jp/research/research/wr_668.html)、「地域の医療介護提供体制の現状 - 市区町村別データ集(地域包括ケア関連) - (2018 年度版)」(http://www.jmari.med.or.jp/research/research/wr_669.html)にある二次医療圏別・市町村別の各項目の偏差値やを理解していただくことも必要であろう。例えば、介護保険主治医研修会や「A240 総合評価加算」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_1_2_2/a240.html)にかかる職員研修が活用されても良いように感じる。
メディウォッチ「2020年1月に向け、難病対策・小児慢性特定疾患対策の見直しを検討―厚科審・疾病対策部会」(https://www.medwatch.jp/?p=25770)。<以下引用>
<4月4日に厚生科学審議会・疾病対策部会が開催され、医療費助成の対象となる指定難病に、新たに▼膠様滴状角膜ジストロフィー▼ハッチンソン・ギルフォード症候群―の2疾患を追加することを了承するとともに、2020年1月に向けて難病対策等の見直し論議を行っていく方針を確認しました。新たな指定難病2疾患に罹患し、重症度基準を満たす患者には7月上旬から医療費助成が行われる予定です。指定難病は333疾患に、重症者には医療費助成 難病は、▼発症の機構が明らかでない▼治療方法が確立していない▼希少な疾病である▼長期の療養が必要である—という要件を満たす疾病と定義されます。さらに、難病のうち、▼患者数が我が国で一定数(現在は18万人、人口の0.142%未満)に達していない▼客観的な診断基準、またはそれに準ずる基準が確立している—という要件を満たした【指定難病】については、患者の置かれている状況に鑑みて、重症の場合には医療費助成が行われます。これまでに331疾患(2015年1月実施分:110疾患、2015年7月実施分:196疾患、2017年4月実施分:24疾患、2018年4月実施分:1疾患(あわせて5疾患を他の指定難病と統合))が指定難病に該当すると判断されています。今般、研究班や関係学会から38疾患について「指定難病に追加すべきでないか」との情報提供が行われ、疾病対策部会の下部組織である「指定難病検討委員会」での詳細な検討の結果、次の2疾患が上記の指定難病の要件を満たすと判断されました(指定難病は2019年度から合計333疾患となる)。【膠様滴状角膜ジストロフィー】角膜実質にアミロイドが沈着することにより、眼痛などの不快感とともに著明な視力低下を来たす遺伝性の眼疾患。視力維持のために若年から生涯にわたり角膜移植を繰り返す必要があり、角膜移植の合併症や移植後の緑内障の発症により失明に至るケースも多い。我が国の推定患者数は400名程度。【ハッチンソン・ギルフォード症候群】遺伝性の早老症の1つ。生後半年から2年で、▼水頭症様顔貌▼禿頭▼脱毛▼小顎▼強皮症―を呈するが、精神運動機能や知能は正常である。▼脳梗塞▼冠動脈疾患▼心臓弁膜症▼高血圧▼耐糖能障害▼性腺機能障害―を合併し、対症療法のみ。平均寿命は14.6歳と報告されるが、国内では20歳を超えた生存例も報告されている。我が国の推定患者数は100人未満。疾病対策部会では、この内容を了承。これを受け、厚生労働省は5月上旬に告示改正等を行い、7月上旬から医療費助成を開始する考えです。なお、患者代表である森幸子参考人(日本難病・疾病団体協議会代表理事、疾病対策部会・難病対策委員会委員)は、さまざまなルートを使って、2疾患の患者に「指定難病に追加され、重症度基準を満たせば医療費助成が行われる」情報を確実に伝わるよう求めています。2020年1月に向けて難病対策見直しを検討、軽症患者の臨床情報収集などが課題 4月4日の疾病対策部会では、「難病対策の見直し」に向けた議論の進め方を確認しています。「指定難病への医療費助成」や「難病医療体制の構築」などの難病対策は、2015年1月に施行された難病法(難病の患者に対する医療等に関する法律)に基づいて実施されています。難病法では、附則において「施行後5年以内を目途に、施行状況を勘案して必要があれば見直しに向けた検討を行う」旨が規定されていることから、厚労省は施行から5年後である「2020年1月」を目途に、見直しに向けた検討を開始する考えを示しました。小児の難病である「小児慢性特定疾患」対策を規定する児童福祉法についても、同様に「2020年1月」に向けて必要な見直しの検討が求められており、「難病対策委員会」(疾病対策部会の下部組織)と「小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会」(社会保障審議会・児童部会の下部組織)が合同で議論を行っていきます。難病対策や小児慢性特定疾患対策の課題を洗い出し、対応案を検討していくことになりますが、例えば(1)効果的な患者臨床情報の収集とその活用(2)小児慢性疾患患者の成人期医療への移行支援(3)指定難病における重症度分類・基準の在り方(4)指定難病の要件を満たさなくなった場合の取り扱い―などが検討項目案として既に浮上しています。このうち(1)の「患者臨床情報の収集」については、とくに軽症患者の臨床情報をどのように収集するか、という点に注目が集まっています。指定難病等に罹患している患者のうち、重症者については医療費助成の申請と併せて、患者臨床情報を収集する仕組みが設けられています(臨床調査個人票)。収集された患者臨床情報はデータベース(指定難病患者データベース、小児慢性特定疾病児童等データベース)に格納され、治療法の研究開発などに活用されます。しかし、軽症患者では医療費助成がなされないことから、患者臨床情報が提出されないケースも少なくありません。このため、「指定難病患者データベース等が不完全なものになってしまっている」との指摘があるのです。4月4日の疾病対策部会でも、「小児に対しては自治体が医療費助成を行うこともあり、小児慢性特定疾患の申請をしないケースもある。当然、患者臨床情報も収集されない」(錦織千佳子委員:神戸大学大学院医学研究科教授)、「軽症者への臨床情報提出に向けたインセンティブや、軽症者であっても臨床情報提出を求める仕組みなどを検討する必要がある」(水澤英洋部会長代理:国立精神・神経医療研究センター理事長)といった意見が出されました。厚労省は「臨床情報収集に協力してくれた患者には、当該疾病の研究等に関する最新情報を提供する」ことなどを検討してはどうか、どの考えを示しています。さらに、患者臨床情報を収集するための臨床調査個人票(臨個票)について、「記載項目が膨大で医師の負担が大きい」「過去のカルテからのコピーペーストで済ませてしまっているケースもある」「医療費助成のために症状を重く書いてしまうこともある」といった課題が指摘されており、この点の見直しも検討されることになるでしょう。データベースの利活用(成人(指定難病)データと小児データとの突合なども含めて)も検討課題の1つですが、その前提として「正しく広範な(偏りのない)データの収集」が不可欠となるため、さまざまな角度から検討が行われる見込みです。なお、患者臨床情報を活用するためには、患者の同意が必要です。この点、▼成人(指定難病)と小児では同意書の内容が異なっている▼活用先(データの提供先)に文部科学省の研究班(科学研究費)が含まれていない―といった課題を踏まえた「同意書の見直し」が行われます。この見直しは、難病対策等の見直しを待たずに行われ、厚労省健康局難病対策課の川野宇宏課長から「各自治体で新たな同意書に移行し、2020年3月にまでに移行が完了する見込みである」とのスケジュールが報告されました。また、医療・医学等の進展にともなって小児慢性特定疾患児の予後が改善しています。小児慢性特定疾患児が成人になれば「指定難病」の対象となることから、(2)の「移行期支援」などが重要となります。すでに難病対策委員会等では一定の方向性(都道府県における移行期医療支援センターの設置など)が示されていますが、さらなる支援策も検討課題となりそうです。(3)の重症度分類・基準については、指定難病検討委員会において「厳しすぎるのではないか」「疾病によってバラつきがあるのではないか」との指摘も出ており、どういった検討が行われるのか注目があつまります。なお、指定難病の指定要件(患者数が我が国で一定数(現在は18万人、人口の0.142%未満)に達していない、など)見直しが検討されるかは不透明です。ところで、医学・医療等の進展で、ある疾病について、例えば効果的な治療法が明らかになってきたり、日常生活が相当程度行えるようになってきたような場合でも、現在は「指定難病」から除外する規定が整備されていません(「指定難病に追加する」規定のみ整備されている)。この点も(4)として検討されることになるでしょう。見直し内容は年内(2019年内)を目途に取りまとめられる見込みで、難病対策委員会等の議論によっては「難病対策等を大幅に見直す必要がある」と判断され、難病法等の改正が行われる可能性もあります。>
疾病対策部会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei_127744.html)の「難病の患者に対する医療等に関する法律附則に基づく検討の進め方について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000498557.pdf)「難病法の附則において、「この法律の施行後5年以内を目途として、この法律の規定について、その施行の状況等を勘案しつつ、特定医療費の支給に係る事務の実施主体の在り方その他の事項について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」こととされている。難病法の施行は2015年1月であり、2020年1月に施行後5年を迎えることから、上記附則の規定に基づく検討を開始する必要がある。」が注目される。指定難病患者データ及び小児慢性特定疾患児童データの提供に関する有識者会議(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou_128641_00001.html)の「難病DB・小慢DBにおける提供範囲の見直し」(https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000404847.pdf)で提供先に「都道府県、指定都市、中核市(※中核市は小児慢性特性疾病のみ)」が追加されている。中核市は子どもの難病(http://www.shouman.jp/)の医療費助成事務を有しているが、大人の難病(http://www.nanbyou.or.jp/)は有していない。そういえば、「難病対策委員会」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei_127746.html)の「都道府県における移行期医療支援体制の構築に係るガイド」(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000176340.pdf)が出ていたが、この際、子どもの難病(http://www.shouman.jp/)と大人の難病(http://www.nanbyou.or.jp/)の窓口一体化は図れないものであろうか。ところで、平成27年9月の「難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針」(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000099473.pdf)では、p2「国は、指定難病患者データの収集を行うため、医療費助成の対象とならない指定難病の患者を含む指定難病患者データに係るデータベース(以下「指定難病患者データベース」という。以下同じ。)を構築する。指定難病患者データベースの構築及び運用に当たっては、国及び都道府県は、個人情報の保護等に万全を期すとともに、難病の患者は、必要なデータの提供に協力し、指定医(法第6条第1項に規定する指定医をいう。以下同じ。)は、正確な指定難病患者データの登録に努める。」、p4「国は、指定難病患者データベースを構築し、医薬品(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第2条第1項に規定する医薬品をいう。以下同じ。)、医療機器(同条第4項に規定する医療機器をいう。以下同じ。)及び再生医療等製品(同条第9項に規定する再生医療等製品をいう。以下同じ。)の開発を含めた難病の研究に有効活用できる体制に整備する。指定難病患者データベースの構築に当たっては、小児慢性特定疾病のデータベースや欧米等の希少疾病データベース等、他のデータベースとの連携について検討する。」、「研究者及び製薬企業等は、指定難病患者データベースに集められた指定難病患者データ等を活用しつつ、医薬品、医療機器及び再生医療等製品に関する研究開発、副作用等の安全性情報収集に積極的に取り組む。」とあった。すでに外科系専門医制度と連携した症例データベース;NCD(http://www.ncd.or.jp/)が運用されているが、指定医の入力による指定難病患者データベースに切り替える必要があるように感じる。現在の指定難病患者データベースと小児慢性特定疾病児童等データベース(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000196379.pdf)では弱いように感じる。
<4月4日に厚生科学審議会・疾病対策部会が開催され、医療費助成の対象となる指定難病に、新たに▼膠様滴状角膜ジストロフィー▼ハッチンソン・ギルフォード症候群―の2疾患を追加することを了承するとともに、2020年1月に向けて難病対策等の見直し論議を行っていく方針を確認しました。新たな指定難病2疾患に罹患し、重症度基準を満たす患者には7月上旬から医療費助成が行われる予定です。指定難病は333疾患に、重症者には医療費助成 難病は、▼発症の機構が明らかでない▼治療方法が確立していない▼希少な疾病である▼長期の療養が必要である—という要件を満たす疾病と定義されます。さらに、難病のうち、▼患者数が我が国で一定数(現在は18万人、人口の0.142%未満)に達していない▼客観的な診断基準、またはそれに準ずる基準が確立している—という要件を満たした【指定難病】については、患者の置かれている状況に鑑みて、重症の場合には医療費助成が行われます。これまでに331疾患(2015年1月実施分:110疾患、2015年7月実施分:196疾患、2017年4月実施分:24疾患、2018年4月実施分:1疾患(あわせて5疾患を他の指定難病と統合))が指定難病に該当すると判断されています。今般、研究班や関係学会から38疾患について「指定難病に追加すべきでないか」との情報提供が行われ、疾病対策部会の下部組織である「指定難病検討委員会」での詳細な検討の結果、次の2疾患が上記の指定難病の要件を満たすと判断されました(指定難病は2019年度から合計333疾患となる)。【膠様滴状角膜ジストロフィー】角膜実質にアミロイドが沈着することにより、眼痛などの不快感とともに著明な視力低下を来たす遺伝性の眼疾患。視力維持のために若年から生涯にわたり角膜移植を繰り返す必要があり、角膜移植の合併症や移植後の緑内障の発症により失明に至るケースも多い。我が国の推定患者数は400名程度。【ハッチンソン・ギルフォード症候群】遺伝性の早老症の1つ。生後半年から2年で、▼水頭症様顔貌▼禿頭▼脱毛▼小顎▼強皮症―を呈するが、精神運動機能や知能は正常である。▼脳梗塞▼冠動脈疾患▼心臓弁膜症▼高血圧▼耐糖能障害▼性腺機能障害―を合併し、対症療法のみ。平均寿命は14.6歳と報告されるが、国内では20歳を超えた生存例も報告されている。我が国の推定患者数は100人未満。疾病対策部会では、この内容を了承。これを受け、厚生労働省は5月上旬に告示改正等を行い、7月上旬から医療費助成を開始する考えです。なお、患者代表である森幸子参考人(日本難病・疾病団体協議会代表理事、疾病対策部会・難病対策委員会委員)は、さまざまなルートを使って、2疾患の患者に「指定難病に追加され、重症度基準を満たせば医療費助成が行われる」情報を確実に伝わるよう求めています。2020年1月に向けて難病対策見直しを検討、軽症患者の臨床情報収集などが課題 4月4日の疾病対策部会では、「難病対策の見直し」に向けた議論の進め方を確認しています。「指定難病への医療費助成」や「難病医療体制の構築」などの難病対策は、2015年1月に施行された難病法(難病の患者に対する医療等に関する法律)に基づいて実施されています。難病法では、附則において「施行後5年以内を目途に、施行状況を勘案して必要があれば見直しに向けた検討を行う」旨が規定されていることから、厚労省は施行から5年後である「2020年1月」を目途に、見直しに向けた検討を開始する考えを示しました。小児の難病である「小児慢性特定疾患」対策を規定する児童福祉法についても、同様に「2020年1月」に向けて必要な見直しの検討が求められており、「難病対策委員会」(疾病対策部会の下部組織)と「小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会」(社会保障審議会・児童部会の下部組織)が合同で議論を行っていきます。難病対策や小児慢性特定疾患対策の課題を洗い出し、対応案を検討していくことになりますが、例えば(1)効果的な患者臨床情報の収集とその活用(2)小児慢性疾患患者の成人期医療への移行支援(3)指定難病における重症度分類・基準の在り方(4)指定難病の要件を満たさなくなった場合の取り扱い―などが検討項目案として既に浮上しています。このうち(1)の「患者臨床情報の収集」については、とくに軽症患者の臨床情報をどのように収集するか、という点に注目が集まっています。指定難病等に罹患している患者のうち、重症者については医療費助成の申請と併せて、患者臨床情報を収集する仕組みが設けられています(臨床調査個人票)。収集された患者臨床情報はデータベース(指定難病患者データベース、小児慢性特定疾病児童等データベース)に格納され、治療法の研究開発などに活用されます。しかし、軽症患者では医療費助成がなされないことから、患者臨床情報が提出されないケースも少なくありません。このため、「指定難病患者データベース等が不完全なものになってしまっている」との指摘があるのです。4月4日の疾病対策部会でも、「小児に対しては自治体が医療費助成を行うこともあり、小児慢性特定疾患の申請をしないケースもある。当然、患者臨床情報も収集されない」(錦織千佳子委員:神戸大学大学院医学研究科教授)、「軽症者への臨床情報提出に向けたインセンティブや、軽症者であっても臨床情報提出を求める仕組みなどを検討する必要がある」(水澤英洋部会長代理:国立精神・神経医療研究センター理事長)といった意見が出されました。厚労省は「臨床情報収集に協力してくれた患者には、当該疾病の研究等に関する最新情報を提供する」ことなどを検討してはどうか、どの考えを示しています。さらに、患者臨床情報を収集するための臨床調査個人票(臨個票)について、「記載項目が膨大で医師の負担が大きい」「過去のカルテからのコピーペーストで済ませてしまっているケースもある」「医療費助成のために症状を重く書いてしまうこともある」といった課題が指摘されており、この点の見直しも検討されることになるでしょう。データベースの利活用(成人(指定難病)データと小児データとの突合なども含めて)も検討課題の1つですが、その前提として「正しく広範な(偏りのない)データの収集」が不可欠となるため、さまざまな角度から検討が行われる見込みです。なお、患者臨床情報を活用するためには、患者の同意が必要です。この点、▼成人(指定難病)と小児では同意書の内容が異なっている▼活用先(データの提供先)に文部科学省の研究班(科学研究費)が含まれていない―といった課題を踏まえた「同意書の見直し」が行われます。この見直しは、難病対策等の見直しを待たずに行われ、厚労省健康局難病対策課の川野宇宏課長から「各自治体で新たな同意書に移行し、2020年3月にまでに移行が完了する見込みである」とのスケジュールが報告されました。また、医療・医学等の進展にともなって小児慢性特定疾患児の予後が改善しています。小児慢性特定疾患児が成人になれば「指定難病」の対象となることから、(2)の「移行期支援」などが重要となります。すでに難病対策委員会等では一定の方向性(都道府県における移行期医療支援センターの設置など)が示されていますが、さらなる支援策も検討課題となりそうです。(3)の重症度分類・基準については、指定難病検討委員会において「厳しすぎるのではないか」「疾病によってバラつきがあるのではないか」との指摘も出ており、どういった検討が行われるのか注目があつまります。なお、指定難病の指定要件(患者数が我が国で一定数(現在は18万人、人口の0.142%未満)に達していない、など)見直しが検討されるかは不透明です。ところで、医学・医療等の進展で、ある疾病について、例えば効果的な治療法が明らかになってきたり、日常生活が相当程度行えるようになってきたような場合でも、現在は「指定難病」から除外する規定が整備されていません(「指定難病に追加する」規定のみ整備されている)。この点も(4)として検討されることになるでしょう。見直し内容は年内(2019年内)を目途に取りまとめられる見込みで、難病対策委員会等の議論によっては「難病対策等を大幅に見直す必要がある」と判断され、難病法等の改正が行われる可能性もあります。>
疾病対策部会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei_127744.html)の「難病の患者に対する医療等に関する法律附則に基づく検討の進め方について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000498557.pdf)「難病法の附則において、「この法律の施行後5年以内を目途として、この法律の規定について、その施行の状況等を勘案しつつ、特定医療費の支給に係る事務の実施主体の在り方その他の事項について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」こととされている。難病法の施行は2015年1月であり、2020年1月に施行後5年を迎えることから、上記附則の規定に基づく検討を開始する必要がある。」が注目される。指定難病患者データ及び小児慢性特定疾患児童データの提供に関する有識者会議(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou_128641_00001.html)の「難病DB・小慢DBにおける提供範囲の見直し」(https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000404847.pdf)で提供先に「都道府県、指定都市、中核市(※中核市は小児慢性特性疾病のみ)」が追加されている。中核市は子どもの難病(http://www.shouman.jp/)の医療費助成事務を有しているが、大人の難病(http://www.nanbyou.or.jp/)は有していない。そういえば、「難病対策委員会」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei_127746.html)の「都道府県における移行期医療支援体制の構築に係るガイド」(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000176340.pdf)が出ていたが、この際、子どもの難病(http://www.shouman.jp/)と大人の難病(http://www.nanbyou.or.jp/)の窓口一体化は図れないものであろうか。ところで、平成27年9月の「難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針」(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000099473.pdf)では、p2「国は、指定難病患者データの収集を行うため、医療費助成の対象とならない指定難病の患者を含む指定難病患者データに係るデータベース(以下「指定難病患者データベース」という。以下同じ。)を構築する。指定難病患者データベースの構築及び運用に当たっては、国及び都道府県は、個人情報の保護等に万全を期すとともに、難病の患者は、必要なデータの提供に協力し、指定医(法第6条第1項に規定する指定医をいう。以下同じ。)は、正確な指定難病患者データの登録に努める。」、p4「国は、指定難病患者データベースを構築し、医薬品(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第2条第1項に規定する医薬品をいう。以下同じ。)、医療機器(同条第4項に規定する医療機器をいう。以下同じ。)及び再生医療等製品(同条第9項に規定する再生医療等製品をいう。以下同じ。)の開発を含めた難病の研究に有効活用できる体制に整備する。指定難病患者データベースの構築に当たっては、小児慢性特定疾病のデータベースや欧米等の希少疾病データベース等、他のデータベースとの連携について検討する。」、「研究者及び製薬企業等は、指定難病患者データベースに集められた指定難病患者データ等を活用しつつ、医薬品、医療機器及び再生医療等製品に関する研究開発、副作用等の安全性情報収集に積極的に取り組む。」とあった。すでに外科系専門医制度と連携した症例データベース;NCD(http://www.ncd.or.jp/)が運用されているが、指定医の入力による指定難病患者データベースに切り替える必要があるように感じる。現在の指定難病患者データベースと小児慢性特定疾病児童等データベース(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000196379.pdf)では弱いように感じる。