10日の「保険者による健診・保健指導等に関する検討会資料」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001f0mk.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001f0mk-att/2r9852000001f0rf.pdf)には目を通しておきたい。今回は特定保健指導実施率の向上に向けて議論されている。しかし、特定保健指導の対象者は、腹囲又はBMIの肥満基準以上が絶対条件であり、しかも、服薬中の者は対象とならない。つまり、特定保健指導でカバーできるのは一部であるということはもっと認識したい。国保中央会から「治療中の者に対する保健指導の効果に関するワーキンググループに関する報告書」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001f0mk-att/2r9852000001f0s1.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001f0mk-att/2r9852000001f0sc.pdf)が出ているが、こうした取組みが各保険者において戦略的に取り組まれるようにしたい。厚労省資料(http://nk.jiho.jp/servlet/nk/release/pdf/1226502959300)p90~に出ているように、「健診データとレセプトデータの突合分析」があまり実施されていないのが気になる。戦略的な取組みのためには、データ分析が不可欠と感じるところである。
先日の緩和ケア専門委員会資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001eozn-att/2r9852000001ep4k.pdf)で示されているように、地域がん緩和ケアには、①病院が取り組んでいる場合、②在宅特化型診療所が取り組んでいる場合、③医師会が取り組んでいる場合、④在宅特化型診療所と医師会が協力して取り組んでいる場合など、いろいろなケースがある。資料に示す「形態ではなく機能が重要である」は当然で、1)基盤となる「顔の見える関係」の構築、2)緩和ケアの技術や知識の向上、3)病院と地域との連携の促進、4)地域内の連携の促進、5)地域内のリソーズの最大利用、6)緩和ケア専門家・相談窓口へのアクセスの確保、7)患者・家族の緩和ケアについての認識の向上、はいずれも重要である。とにかく、それぞれの地域にあった体制を構築するしかないが、地域における医療資源・介護資源をもとに、機能について、どれほど議論されているであろうか。形態に囚われてはいけない。
先週、原因不明の食中毒についてブログ(http://blog.goo.ne.jp/miraikibou/e/2008dd2c2db1c31337fe0e45de57412c)ったが、17日に厚労省から「生食用生鮮食品による病因物質不明有症事例への対応について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001fz6e.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001fz6e-att/2r9852000001fzae.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001fz6e-att/2r9852000001fzl8.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001fz6e-att/2r9852000001fzlf.pdf)が出た。本県の衛生研究所では、この寄生虫検査は可能とのことであるが、今後、全国的に、養殖ヒラメや馬刺による寄生虫食中毒件数に注目かもしれない。これもリスクコミュニケーションが重要であろう。
国立保健医療科学院の健康危機管理支援ライブラリー;H-Crisis(http://h-crisis.niph.go.jp/)の年間ログインアクセス件数が2万件程度らしい。平成17年5月の地域保健対策検討会中間報告(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/05/s0523-4.html)に示された12分野ごとに詳細な資料がタイムリーに掲載されており、もっと閲覧されるべきである。できれば、国(通知・事務連絡)のほか、全国の自治体(都道府県、保健所設置市)衛生部局の記者発表資料の掲載を期待したいところである。今、どこで、どんな健康危機管理事例が発生しているか、把握できるからである。そうなれば、少なくとも全国各地の保健所が連日アクセスすることになるかもしれない。そういえば、先般の焼肉チェーン店の広域O111集団感染は記憶に新しいが、広域散発事例は最初から広域とわかるわけではない。自治体を超えた迅速な情報共有が不可欠であり、H-Crisisによる全国保健所ネットワーク支援の役割が期待される。ところで、以前の地方分権推進委員会(http://www8.cao.go.jp/bunken/bunken-iinkai/index-bu.html)では、自治体における保健所の必置規制の廃止が論じられ、最近では、地方分権改革推進委員会(http://www.cao.go.jp/bunken-kaikaku/iinkai/iinkai-index.html)において、「保健所長は、医師でなくても公衆衛生行政に精通した職員が遂行可能であり、医師資格要件を廃止すべき。」(http://www.cao.go.jp/bunken-kaikaku/iinkai/torimatome/081208torimatome01.pdf)とされてきた。全国の保健所の名称(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/02/dl/h0201-3a.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/01/dl/h0131-3a.pdf)をみると、保健所は全国各地で、保健福祉事務所、健康福祉事務所、保健福祉環境事務所、健康福祉センター、保健福祉センター、福祉保健センター、厚生センター、福祉保健所など、様々であるが、これは、地方分権推進委員会第2次勧告(http://www8.cao.go.jp/bunken/bunken-iinkai/index-bu.html)で、「保健所については、福祉事務所等他の行政機関との統合が可能であり、その統合組織の一部を地域保健法の保健所とする条例の制定は地域保健法上は禁じられていないこと、地域保健法に基づく保健所の事務以外の事務をその統合組織に附加することが可能であり、その事務については統合組織の長が指揮・監督権限を有すること及びその統合組織の施設において保健・衛生部門を保健所としたときは保健・衛生部門に保健所の名称を表示することを通例とするが必ずしも義務付けるものではないことなど、地方公共団体における弾力的な設置形態が可能である趣旨を明確にする。」(http://www8.cao.go.jp/bunken/bunken-iinkai/2ji/3.html)とされたことによる。自治体によっては保健所予算が削減され、人員確保も厳しくなっている。地方分権・行政改革によって、保健所全国ネットワークに影響がでないようにしなければならない。感染症や食品衛生等は一つの自治体で完結しないことが少なくない。全国各地の保健所(http://www.phcd.jp/HClist/HClist-top.html)が常日頃から連携して対応にあたっている。一つの保健所管内の問題が全国に波及するのである。地方分権の基本理念は、地方分権改革推進法(http://www.ron.gr.jp/law/law/tiho_bun.htm)第二条で「地方分権改革の推進は、国及び地方公共団体が共通の目的である国民福祉の増進に向かって相互に協力する関係にあることを踏まえ、それぞれが分担すべき役割を明確にし、地方公共団体の自主性及び自立性を高めることによって、地方公共団体が自らの判断と責任において行政を運営することを促進し、もって個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図ることを基本として行われるものとする。」とある。とにかく、全国ネットワークを意識した地方分権であってほしいところである。