保健福祉の現場から

感じるままに

地域連携パスのIT化

2011年06月24日 | Weblog
昨日、所内担当保健師、中核市保健所担当者とともに、某中核病院の地域連携室を訪問した。医療圏の地域医療対策協議会を進める一環として、順次、各病院を回っている。やはり、直接話を聞かないと詳細はわからないものである。この病院は、以前から脳卒中、大腿骨頚部骨折の地域連携パスに積極的に取り組んでいるが、印象に残ったのは、①急性期、回復期、維持期というが、実際には退院の約4割が直接在宅に行くこと。これは、回復期病床が少ないのと回復期病床の回転が良くないことによるが、急性期病院でも地域包括支援センターとの直接的な連携が重要になっていること。②脳卒中は一方向連携パスだけではなく、再発予防としての循環型連携パスも必要で、賛同してくれる5病院との定例勉強会で作業を進めていること。③連携医療機関との協議では、電子カルテの共有よりも、必要情報の共有が求められており、SharePoint Workspace(http://office.microsoft.com/ja-jp/sharepoint-workspace/)を使った地域連携パスの運用を進めており、将来的には在宅医療連携でも導入を予定していること、等である。そういえば、以前の講演で、医療連携のIT構築の4条件として、①楽になること、②簡単であること、③安価であること、④セキュリティ確保、が挙げられていたが、SharePoint Workspace(http://office.microsoft.com/ja-jp/sharepoint-workspace/)の旧モデルのMicrosoft Office Groove(http://www.sophia-it.com/content/Microsoft+Office+Groove)で在宅IT連携を行っている県内N地域でも、「4条件を満たしリアルタイムの連携が図れる、情報伝達が容易、画像情報が取り込める、ディスカッションが行える」等のメリットがあり、「多職種が患者に対して同じ目的と同じ意識をもって接することができる」と聞いたことがある。病院では今年夏頃からIT連携パスが稼働するとのことであり、注目される。しかし、地域連携パスのIT連携が進められるのは、病院の経営戦略が明確なことと、平素から「信頼関係に基づく顔の見えるヒューマンネットワーク」が構築されているからであろう。経営母体が異なる5病院との定例勉強会が案外カギになっており、信頼関係による医療機関の系列化といえるかもしれない。政府の「新たな情報通信技術戦略工程表」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/100622.pdf)p22の「シームレスな地域連携医療の実現 工程表」では、情報連携の「在宅における医療介護連携モデル」は2014年度からとなっているが、すでに各地でいろいろな動きが起こってるのは間違いない。
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