雨が降る予報だったので、早めに作業を切り上げた。午後６時になってもまだ、雨は降って来ない。こんなことならもう少し作業していればよかったと思う。鉢をひっくり返してチューリップの抜き、球根を取り出し、残っている根を取り除く。これに新しく肥料を加えて鉢に戻す。作業をしながらふと、こんなていねいに残った根をきれいに取り除くことに意味があるのだろうかと思ってしまう。
古い根は他の植物を繁栄させないように、何かを地中に残している。そんな気がして取り除いているが、果たしてそうなのだろうか。畑なら一緒に鋤きこんで肥料にしてしまうのだから、このまま腐らせてもいいはずだと思う。思うのに、なぜか出来なくて、何時間もかけて新しい土づくりをしている。思いと行動が一致しないことがよくある。
昨夜は宴会だった。アメリカにいるお姉さんが帰国するので、その歓迎会のはずだったが、熊本の地震で中止になった。それでは寂しいと、６月の誕生日会を前倒しで行うことになった。要は集まって、飲んで食べてしゃべってワイワイしたいのだ。１品持ち寄りの原則は崩れ、３品も持ち寄るので食べきれない。それぞれの家庭の味があって、楽しみになっているのだ。
ひとり暮らしの女性は、娘さんには「何も期待していない」と繰り返す。長女は近くに住んでいるのに、「電話ひとつよこさない。ダンナが長期出張でいないのだから、たまには一緒に食べないと誘ってもいいのに」と言う。長女はきっと、母親のことは心配しているが、ダンナのこと、遠くに住むダンナの両親のこと、母親を心配して長女より世話をする次女のこと、そして何よりも愚痴っぽい母親にどのように接することが母親のためか、そんなことを考え、なかなか行動できないと思う。
熊本出身の先輩も、親戚を心配して連絡は取っているけれど、出かけることがいいのかと悩む。行かなければ薄情のように思われるし、行ったところで何も出来ず迷惑になってしまう。相手を思いやっているが、思いだけでは届かない。思いと行動が一致しないことで苦しむことはよくある。それもまた仕方がない。
