時間調整のため、映画を観た。
なににしようかと思ったが、時間的にぴったりだったことと、
ある日、東京の上娘が、「よかったよ」とメールで言っていたことで、
スタジオジブリ制作の「コクリコ坂から」を選んだ。
ストーリーはいたって、よくあるハナシで、あれ?どこかで、こんな展開、見たよなあ・・・と
なにかのリメークか、はたまたデジャブか、と不思議に思っていたが、
時代設定が1963年ということもあり、
懐かしさもあいまって、ぐんぐん引き寄せられた。
その時代はわたしは、まだ小学校に上がったばかりの子供だったので、
当時の高校生の様子は、あんまりピンと来ないけれど。
学生運動をがんがんやってた人のハシリの世代なんだろう。
ガスコンロにマッチで火をつける、あのしぐさ、小学校の高学年頃、住んでいた、町にあった家を思い出した。
お釜でご飯を炊くときに、ガスコンロっていうのは、うちの場合は記憶がなくて、
(覚えているのは、いきなり1升炊きの大型炊飯器)
その一方で、田舎では祖母が、お釜は、おくどさん(カマド)で薪や小枝をくべて、炊いていた。
(わたしは、通学と、父の仕事の関係で、田舎と町の両方に、暮らしていた)
ま、その時代背景は、なつかしいな~、としても・・・
いやあ・・まあ・・・泣けた、泣けた。
なんで、こう泣けるのか、わけがわからないけれど、
はじめは、じわ~っ、だったのが、だんだん、ぽろぽろ、になり、
こんどは、ぽろぽろが、スピードアップ&大量になり、
ハンカチで拭いていたが、やがて、拭いても拭いても、おいつかなくなった。
まわりにわかったら、恥ずかしいなあ・・・と、映画終了後、目を伏せながら
急いでトイレに行って、顔を見たら、目のまわりは、化粧はすべて溶けていた。
目のふちも、目も、赤く、鼻水は、なかなかおさまらず、もとに復元するのに手間取った。
流した涙で、わたしの不浄なものが洗い流されたような気がした。
ほんとうに、洗い落とされていたらいいのだが、その一瞬だけでも、そう感じた。
まっすぐで、美しい、ひたむきなこころ・・・
わたしにも、ほんとうは、あるんだ(ろう)けれど、余計な知恵がつき、アウトプットできない。
その、もどかしさ。
いつの間に、こんなにヒネまがってしまったんだろう。
絡んだ糸をほぐすように、もう一度、自分のこころを、まっすぐに、まっしろに、もどしたい。
そこから、また、やり直したい。
そう思って、あれこれ反省し、これをこう直そう、あれをああしよう・・・と、決心したのだが、
しばらくすると、また、モトの自分に戻ってしまった。
情けないというか、人間は、一度、曲がったクセは、なかなか戻らないようだ。
流した涙の分だけ、清らかに美しくなったものの、
また、わたしは、排気ガスが充満した、人ごみでごった返す、ごちゃごちゃした街の中に消えていった。