愛され父さん

ある家庭、Ａ一家の１コマ。
夕食は、肉じゃが。
そこの家のお父さん、Ａ氏が、手がひっかかって、出された肉じゃがをひっくり返す。
お父さんも、ぼーっとせずに頑張って復旧作業、
そこに、言葉掛けもしないのに、娘さんが、一緒に拭き取ってくれる。
愛のヘルプ、温かい家族協力体制 。
「肉じゃがポトリ事件」、家族の愛がよくわかる。

別のある家庭、Ｂ一家。
夕食は、スキヤキ。
そこのお父さん、Ｂ氏が、生卵をかき混ぜるだけかき混ぜて、器をうっかりひっくり返す。
しーんと静まり返った中、お父さんはひとり、テーブルにぶっちゃけた生卵の後始末。
家族は非難こそしないものの、じっと見つめ、心の中で、舌打ち千回。

この「スキヤキの生卵ポトリ事件」に比べると、「肉じゃがポロリ事件」のお父さんは幸せだ。
優しく拾ってくれる家族。
そういう人は、愛されてる。間違いなし、太鼓判。
今までやってきたことが、形になって現れている。
よかった、よかった。
優しい心根、みんな家族はわかってくれてるんだ。

お互いに、絶対に捨てたり、捨てられたりしない家族。
目に見えない、強い絆。

それにしても、 「スキヤキの生卵ポトリ事件」のお父さん、気の毒だ。
が、ある日、突然、そんな一方的被害者になることはない。
長い時間の積み重ねの結果。

気づくのが、遅すぎる？？
今からでも遅くない？
もう、遅い？

オマエら、いったい誰のおかげで、何不自由なく、ここまで来れたんだ？
オレが、苦労して働いてきたからだろ？
それを感謝もせず、何を言う？

「スキヤキの生卵ポトリ事件」のＢ父さんは、なにもそんなことを思ってないかも知れない。
なにも、感じていないかも。
Ａ父さんと、まるっきり同じ心情かも。


「金持ち父さん」が、必ずしも「愛され父さん」ではないようだ。
お金で、ケリをつけるのは、一時しのぎかも？
根本的な見直しが必要なお父さんも、いる。
定年になる前なら、まだ間に合う？？？


しかし母子家庭も、厳しい。
世間の風は冷たい。
愛され父さんとまでは言わないにしても、せめて舌打ちは控え目に。


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