それでも、カウンターに鎮座したお客さんは誉めてくれた。「魔術の如し捌きだなっ!」というお誉めである。ゆっくり素早くがモットーなので冷静なのだが、失敗が在るとその精神的ダメージと取り戻しに困窮し錯乱する。だから、ゆっくり素早くなのだ。あまりに気がヤラレタ場合は、食器洗いでもしたり、一服したりしてリセットするのだが一服も何か手抜きの休憩みたいで、お客さんは料理を待つし、コッソリ煙草をするのだ。しかし、煙が立つから誤魔化せない。だから、一服と言ってもホンの一息・二息の一服である。でも、これが効くのだ。
昨日の日曜は、驚く程の暇さ加減にてドッと疲れが出る。土曜は、その逆で大忙しで気持ちも翌日曜に流れていたのが外れた訳である。大忙しというのも、「同時多発注文」なのだ。つまり、同じ時間に20人以上が入店しアチコチのテーブルからマチマチのバラ注文が入るから作業が捗らない。結局、同じフライパン・鍋で同じ料理を造る方が合理的なので料理の仕上がり順の提供になる。要するに、4人がバラ注文なら同時に提供出来ないのである。ワザワザ全バラ注文なのか?と思われる程のメニュー総提供になる。ランチでも20種類だから大変だ。