ギターの別注なんかは、ギター自体が複合素材の結集であり尚勝つ製作後の何十年先の音色まで想像して注文するから楽しい。幾種類もの木の組み合わせとそのそれぞれの木の厚み、弦の止め駒の材質・糸巻きの素材、そして仕上げのニス。単純だからこそ奥深く追求して、次から次へと別注し増殖する。オイラの仲間のクラシコ弾きなんて経済的に余裕があるから、年柄年中に別注だっ!先日完成していたギターなんて留め具は銀製、つまみは象牙、表面板の螺澱は貝とベッコウでした。楽器でありながら、工芸品の如く、しかも音色までも素晴らしい。
別注・特注とは言っても、最初からオーダーするのは難しい。まず製作者との人間関係の構築に時間が必要、それから依頼者のライフスタイルへの理解、双方の意思の円滑な疎通が行き届かないと感動の作品は産まれません。それよりも、依頼者が市販品を使い倒して要不要を熟知し自らの本当に必要で欲しい機能・素材を見極められなくば全く意味の無い見栄と自慢の品でしかありません。いわゆる、「叩き台」です。何十・何百も叩き台を叩いてこそ産まれる自らの必要、特にオイラはギターの別注はかなりの数をこなしてきた。その時は、欲でした。