双子(ふたご)の姉妹(しまい)が出て行くと、千鶴(ちづる)はソファーに寝(ね)かされているつくねの様子(ようす)を見に行った。そして、つくねの顔を覗(のぞ)き込んで呟(つぶや)いた。「この娘(こ)、私たちに似(に)てるわね。そう思わない?」
あずみは何だか落ち着かない感じで答(こた)えた。「ぜんぜん違(ちが)うわよ。私たちは、ほら…」
「ねえ、いつまでそうやって引きずってるのよ。いい加減(かげん)にしてほしいわ」
「私は、別に、何も……」
「じゃあ、なぜ私を避(さ)けるの? あれ以来(いらい)、ずいぶんご無沙汰(ぶさた)よね」
「それは、忙(いそが)しかったのよ。いろいろ、ほら、やらないといけないことがあったから」
「まあいいわ。私は、ずっとあなたのこと見てたから…。だって、あなた、何するか分かんないんだもの。誰(だれ)かが見てないと――」
「もう、やめてよ。人を監視(かんし)するようなこと…。私は、一人でも大丈夫(だいじょうぶ)だから」
「私には、それくらいのことしか出来ないの。あなたを助けられる能力(ちから)ないから…」
千鶴はあずみの側(そば)へ行くと、彼女の手を取り言った。
「あなたは私たちを守ってくれたのよ。あなたがいなかったら――」
「やめてよ! 私は、何も出来なかった。あなただって知ってるでしょ…」
「ほら、やっぱり引きずってる。私がこうなったのは、あなたのせいじゃないわ。あの時、みんな殺(ころ)されてもおかしくなかった。そうでしょ?――少し不自由(ふじゆう)になったけど、こんなの何でもないことよ。私は生きてる。あなたが生かしてくれたのよ」
<つぶやき>この二人の過去(かこ)に、何があったのでしょう。そして、二人の絆(きずな)は今でも…。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。