テレビ画面(がめん)を見たつくねが思わず叫(さけ)んだ。「これ、しずくよ…。えっ、何で?」
千鶴(ちづる)がおもむろに呟(つぶや)いた。「先手(せんて)を打たれたわね。死(し)んだことにすれば――」
「死んでない!」つくねは抗議(こうぎ)するように、「しずくは死んでないわ。それに、叔父(おじ)さんだって、貴志(たかし)君もあそこにはいなかったはずよ。叔母(おば)さんも…、やられたりしないわ」
あずみは震(ふる)えるつくねを優(やさ)しく抱(だ)きしめて、「そうよ、おばさんは、きっと生きてる。あの人がそう簡単(かんたん)にやられるわけないじゃない。私も、信じてるから…」
千鶴はテレビを消(け)すと、二人を元気(げんき)づけるように言った。
「そうね、希望(きぼう)はまだあるわ。でも変ね。いつもなら隠蔽(いんぺい)するはずなのに」
つくねがこれに答えて、「あたしの両親(りょうしん)の時は、ニュースにもならなかったわ」
あずみはつくねから離(はな)れて何かを考え込むようにしばらく歩き回ると、不安(ふあん)な表情(ひょうじょう)で振(ふ)り返って言った。「これは、あくまでも仮定(かてい)の話よ。あいつら、本気(ほんき)でしずくのこと消そうとしてるのかもしれないわ。しずくの、まだ覚醒(かくせい)していない能力(ちから)に気づいて…」
「それはあり得るわね。シマばあちゃんの予言(よげん)は外(はず)れたことないからなぁ」
つくねは何のことか分からず二人に訊(き)いた。「予言って、何の話しですか?」
あずみはわずかに微笑(ほほえ)むと言った。「そうか、あなたは知らないのね。いつか話してあげるわ。今は、これからどうするか、わたしたちに何ができるか考えなきゃ」
<つぶやき>楓(かえで)さんは生きているんでしょうか? そして、これから何が起きるのか…。
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