みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0692「更なる難題」

2019-10-22 18:16:54 | ブログ短編

 先輩(せんぱい)の無理難題(むりなんだい)は、今に始まったことではありません。大学にいた頃(ころ)からのことなんで…。その対処法(たいしょほう)も、それなりにつかんでいます。でも、問題は他にも有ったんです。
 とりあえず僕(ぼく)は、新人(しんじん)の歓迎会(かんげいかい)を開くことにしました。知っているお店に無理を言って、なんとか会場(かいじょう)も押(お)さえました。当然(とうぜん)のことですが、同じ職場(しょくば)の人には全員(ぜんいん)に声をかけました。急なことなので全員参加(さんか)とはいきませんが、それでも二十人くらいは参加することに…。先輩は不機嫌(ふきげん)な顔をしましたが、芳恵(よしえ)ちゃんも参加することを伝えたら何とか納得(なっとく)してくれました。
 歓迎会は、思いのほか盛況(せいきょう)なものになりました。宴(えん)たけなわのころ、芳恵ちゃんが僕の隣(となり)へやって来ました。どうやら、しつこい先輩から逃(に)げて来たようです。先輩の方を見ると、別の後輩(こうはい)社員を捕(つか)まえてグチグチと説教(せっきょう)をしているようです。――彼女は…、どうやら酔(よ)っているみたいで、とろんとした目で僕を見つめて言いました。
「あの、あたし、ちょっと、言いたいことがあるんですけど…。いいですか?」
 ちょっと、ろれつが回ってないぞ。誰(だれ)だよ、こんなに飲ませちゃったのは? 僕は、彼女にお水の入ったコップを手渡(てわた)すと、彼女はそれを一気(いっき)に飲み干(ほ)して言いました。
「あたし、先輩のこと…、好きです。先輩は、あたしのこと、好きになってくれますか?」
 僕は、突然(とつぜん)のことに、どう対処(たいしょ)したらいいのか思考(しこう)が停止(ていし)してしまいました。彼女は、僕にもたれかかって動かなくなりました。どうやら、眠(ねむ)ってしまったみたいです。
<つぶやき>彼女は女性社員が家まで送り届(とど)けました。果(は)たして告白(こくはく)したこと覚えてる?
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする