みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0685「しずく52~親交」

2019-10-15 18:33:52 | ブログ連載~しずく

 あずみは黙(だま)り込んでしまった。そんな彼女をみて千鶴(ちづる)はからかうように言った。
「ほんと面倒(めんど)くさいわね、あなたって…。そういうガチガチ頭(あたま)の性格(せいかく)、直(なお)した方がいいわよ。そんなんだから彼氏(かれし)とかできないんじゃないの?」
 あずみは膨(ふく)れっ面(つら)をして、「そんなこと、あなたには関係(かんけい)ないでしょ」
「言っとくけど」千鶴は真顔(まがお)になって、「あの時、私はあなたに助(たす)けてもらおうなんて思ってなかったわ。あの場にいた人、みんなそうよ。みんな、自分でできる最善(さいぜん)をつくして必死(ひっし)に戦(たたか)ったの。あなたが負(お)い目を感じることなんてないんだから…。それに、私には秘策(ひさく)があったのよ。あなたがいなくたって、私ひとりで――」
「なによ、何が秘策よ。そんなのないくせに。いい加減(かげん)なことばっか言わないで。あなたこそ、その性格直した方がいいんじゃないの」
 この二人、仲(なか)か良いんだか悪(わる)いんだか…。でも、言いたいことを言い合えるんだから、悪いということはないのだろう。ひとしきり口喧嘩(くちげんか)をし終えると千鶴が言った。
「あなたも少し休んだら? もう若(わか)くないんだし」
「余計(よけい)なお世話(せわ)よ。……でも、そうするわ。何か疲(つか)れちゃった」
「この娘(こ)が起(お)きたら、起こしに行ってあげるわ。それまでゆっくり休んで」
 千鶴が指(ゆび)さすと、扉(とびら)が現れた。あずみはその部屋(へや)へ入って行った。
<つぶやき>何でも腹(はら)を割(わ)って話せる相手(あいて)って、そう簡単(かんたん)には見つけられないのかもね。
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