みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0700「しずく55~エネルギー」

2019-10-30 18:25:17 | ブログ連載~しずく

「でもその前に…」あずみはお腹(なか)に手を当(あ)てて言った。「何か食べさせて。エネルギーを補給(ほきゅう)しないと、もう動けないわ」
 千鶴(ちづる)とつくねは、顔を見合わせて声を上げて笑(わら)った。千鶴はまるで母親にでもなったように、
「仕方(しかた)ないわね。じゃあ、私の特製(とくせい)カレーを食べさせてあげる。昔(むかし)より腕(うで)を上げてるから、あまりの美味(おい)しさにびっくりして奇声(きせい)をあげたりしないでね」
「なに言ってるのよ。カレーでしょ、私が、そんなことするわけないじゃない」
 ――千鶴はカレーを盛(も)り付けたお皿(さら)をテーブルの上に置いた。そこへ、あのハル、アキ姉妹(しまい)がやって来て、同時に声をあげた。「ワア、あたしも食べたい!」
 千鶴は嬉(うれ)しそうに言った。「あなたたちの分もちゃんとあるわよ。一緒(いっしょ)に食べなさい」
 その時だ、奇声(きせい)が上がったのは。「うわぁーっ、うまっ! ウソでしょ、何これ!」
 それはあずみの声だった。みんなに注目(ちゅうもく)されているのにも気づかないようで、一心不乱(いっしんふらん)にカレーを口の中に押(お)し込んだ。
 食事も終わり一息(ひといき)つくと、あずみはいつもの顔になっていた。そして千鶴に言った。
「私は戻(もど)るわ。学校の中に紛(まぎ)れ込んでいる敵(てき)を見つけ出さないと。二人のこと、お願(ねが)いね」
「それはいいけど…。あなた一人で大丈夫(だいじょうぶ)なの? 無茶(むちゃ)しないでよ」
<つぶやき>誰(だれ)でもエネルギーの補給は必要(ひつよう)です。でも、食べ過ぎには注意(ちゅうい)しましょうね。
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