みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0674「初対面」

2019-10-01 18:31:22 | ブログ短編

 友だちの紹介(しょうかい)でお見合(みあ)いをすることになった彼。初めは嫌々(いやいや)って感じだったのだが、彼女の顔を見て、どうやら惚(ほ)れてしまったようだ。自己紹介(じこしょうかい)の後、彼女は唐突(とうとつ)に言った。
「あたし、子供(こども)が欲(ほ)しいんです。前は三人ぐらいって思ってたんですが、今は、もうあたしもいい歳(とし)ですし、一人だけでもなんとかって…」
 初めて会った人からこんなことを言われて、彼はびっくりしたような顔をした。彼女は、
「ごめんなさい。会ったばかりなのに、あたしったら……。あたしのこと何か聞いてます?」
「いえ。ただ、ここへ来れば分かるから、とだけ…」
「お見合いだったら、結婚(けっこん)したい人同士(どうし)だからうまく行くのかなって…。あたし、結婚したいんです。今すぐにでも……。こんなこと言ったら、引(ひ)いちゃいますよね」
 彼女は彼の顔を伏(ふ)し目がちに見つめる。彼が黙(だま)っているので、不安(ふあん)になった彼女は、
「…でも、誰(だれ)でもいいとか、そんなんじゃないんですよ。あの、今日お目にかかって、あなたなら、うまく行くかもって…」
「あの、僕(ぼく)なんかでいいんですか? だって、僕は――」
「知ってます。バツイチで、子供なし。離婚(りこん)したのは、奥(おく)さんが出て行ったからって」
「あいつ、そんなことまで話したんですか? そんなことひと言(こと)も…」
「ごめんなさい。聞かなかったことにしろって言われてたのに。あたしったら…」
<つぶやき>友だちは、どうしてこの二人を引き合わせてのでしょうか。この先(さき)どうなる?
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