みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0691「無理難題」

2019-10-21 18:12:54 | ブログ短編

 同じ職場(しょくば)に大学の先輩(せんぱい)がいるのですが、この先輩にはちょっと困(こま)ったところがあって…。僕(ぼく)が新入社員(しんにゅうしゃいん)の指導(しどう)をすることになった時のことです。その先輩は僕を呼(よ)び出して、
「なあ、最近(さいきん)、芳恵(よしえ)ちゃんと仲(なか)いいじゃねえかよ。どうしてだ?」
 芳恵ちゃんというのは新入社員の一人で、僕が仕事(しごと)を教えているのです。別に親密(しんみつ)な関係(かんけい)になっているわけではなく、仕事のことで話しをすることが多いだけで…。先輩は、
「いいよなぁ。俺(おれ)なんか、仕事手伝(てつだ)ってもらおうかなって話しかけても、無視(むし)されるし」
 僕にそんなことを言われても…。返事(へんじ)のしようがありません。先輩は僕の肩(かた)に腕(うで)を回して、僕の耳元(みみもと)でささやきました。
「今度さあ、芳恵ちゃんの歓迎会(かんげいかい)やろうぜ。もちろん、声をかけるのは芳恵ちゃんだけだけどなぁ。お前、分かってるよな? 俺の言ってること」
「でも、それは、まずいですよ」さすがに、そんなことできません。
 先輩は僕の首(くび)を絞(し)めながら、「お前が、この会社に入れたのは、誰(だれ)のおかげだ?」
 これだけははっきり言えるのですが、先輩のおかげだなんてまったく思ってません。たまたま僕が入った会社に先輩がいただけで…。先輩は僕から離(はな)れると、気持ち悪(わる)いくらい優(やさ)しい声で言いました。「お前、幹事(かんじ)やってくれるよな? 今夜、良い店予約(よやく)しといてくれよ。もちろん、先輩思いのお前のことだから、費用(ひよう)はお前もちってことで――」
<つぶやき>人間関係(にんげんかんけい)は難(むずか)しいものが有りますよね。彼はこのピンチを乗(の)り切れるのか?
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