神崎(かんざき)つくねは、柊(ひいらぎ)あずみの意外(いがい)な面(めん)を見てしまって、このことをどう理解(りかい)すればいいのか戸惑(とまど)っていた。あずみは、そんなことまったく気にしない様子(ようす)で、
「なに? 何か問題(もんだい)でもあるの?」
「いえ、そう言うわけじゃ…。でも、どうして…」
「ああ…」あずみは携帯(けいたい)をつくねに見せて、「これね。私たちと同じ能力者(のうりょくしゃ)よ。千里眼(せんりがん)の能力(ちから)があって、とっても頼(たよ)りになる人よ。…性格(せいかく)には、問題あるけどね」
あずみの言い方に、ちょっと刺(とげ)があるように感じたつくねは、これ以上訊(き)かない方がいいのかと思った。あずみは、つくねの心中(しんちゅう)を察(さっ)したのか、
「イヤだ、そういうんじゃないのよ。この人とは腐(くさ)れ縁(えん)でね。ちょうど、あなたとしずくみたいなもんよ。出会ったときからいろんな……。もう止めましょ。今は、昔(むかし)の話をしてる時じゃないから。しずくが待ってるわ」
つくねは肯(うなず)くと、窓(まど)の方へ向かった。そこから外へ出ようとしたのだ。でも、あずみはつくねの肩(かた)に手を置(お)いて、自分の方へ引き寄(よ)せると言った。
「時間が無いわ。飛(と)ぶわよ。いい、私にしっかりつかまってて」
つくねがあずみの身体(からだ)に手を回すと、二人の姿(すがた)は忽然(こつぜん)と消えた。後に残(のこ)されたのは、窓の外に転(ころ)がっているつくねの靴(くつ)だけだった。
<つぶやき>どうでもいいことなんですが、この靴ってどうなっちゃうの? 気になる。
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