みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0609「お嫁さんごっこ」

2019-07-23 18:32:07 | ブログ短編

 小学生の娘(むすめ)が男の子を連(つ)れて帰って来た。こんなことは初(はじ)めてだ。私は目を丸(まる)くした。娘はソファに深々(ふかぶか)と座(すわ)ると、その男の子に言った。
「よっちゃん。あたし、おなか空(す)いちゃった。なにか作ってよ」
 私は驚(おどろ)いた。ママと同じことを言うなんて…。私は、娘に言った。
「あかね、そんなこと頼(たの)んじゃだめだよ。お客(きゃく)さんなんだから」
 娘は嬉(うれ)しそうに、「あら、あたし、よっちゃんのお嫁(よめ)さんになるのよ。いいでしょ」
 娘の口からお嫁さんなんて言葉(ことば)を聞くなんて。それも、こんなに早(はや)く。父親(ちちおや)としては、何とも複雑(ふくざつ)な心持(こころも)ちになった。だが、そんなこと言ってる場合(ばあい)じゃない。いけないことはいけないと、はっきり娘に教(おし)えてやらなくては…。そうだ、父親として。
 私が娘に向(む)き直(なお)ったとき、後ろから男の子が言った。
「いいよ。僕(ぼく)、たまにママのお手伝(てつだ)いしてるから。なにが食べたいの?」
「そうねえ…。じゃあ、ホットケーキがいいわ」
 その時だ。ママが帰って来た。娘はママに駆(か)け寄(よ)ると、自慢(じまん)するようによっちゃんのことを話した。ママは娘を抱(だ)きしめると、
「よかったわねぇ。ママも、パパと結婚(けっこん)したからこんなに幸(しあわ)せになれたのよ。あかねも、絶対(ぜったい)に逃(に)がしちゃだめだからね。分からないことがあったら、何でもママに訊(き)きなさい」
<つぶやき>子供は親に似(に)るといいますが、たくましい娘に育(そだ)つんじゃないかと思います。
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