みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0594「謎の荷物」

2019-07-08 19:00:41 | ブログ短編

「お前、本当(ほんとう)に心当(こころあ)たりはないのか? よく思い出してみろよ」
 宅配(たくはい)の段(だん)ボール箱(ばこ)を囲(かこ)んで、男たちが見つめ合っていた。荷物(にもつ)を受け取った男は、
「ほんと、知らないよ。北海道(ほっかいどう)に知り合いなんかいないし…」
 別の男が面白半分(おもしろはんぶん)に言った。「爆弾(ばくだん)が入ってるかもな。開けたらドカーン!って」
「脅(おど)かすなよ。もう、変なこと言わないでくれ。それでなくても…」
 別の男が、「心配(しんぱい)すんなって。お前は、誰(だれ)かに狙(ねら)われるほどの男じゃないよ。ただのフリーターじゃないか。ちゃんと、お前の名前(なまえ)と住所(じゅうしょ)が書いてあるんだから、開けてみようぜ」
「ちょっと待てよ! もし違(ちが)ってたらどうすんだよ。俺(おれ)、責任(せきにん)とれないぞ」
「何の責任だよ。気の小せえ奴(やつ)だな。そんなんだからな――」
「なあ、本当に、この高木涼子(たかぎりょうこ)って知らないのか? 親戚(しんせき)とかさ、いるんじゃないのか?」
「高木、涼子、りょうこ…、りょう――」
 しばらく考えて、「あっ! そういえば…。彼女かもしれない」
「おい、何だよ。お前、そんな女、いつ作ったんだよ」
「そんなんじゃ…。ほら高校(こうこう)の時、同級生(どうきゅうせい)にいただろ、涼子って。けっこう可愛(かわい)かった娘(こ)が。――二か月ぐらい前かな、ばったり街(まち)で会って…。何か、遠くへ引っ越(こ)すとかで…」
「それで、連絡先(れんらくさき)教えたのか? だったら、ちゃんと覚(おぼ)えてろよ! 人騒(ひとさわ)がせな奴だ」
<つぶやき>可愛い娘のことは忘れちゃだめですよ。でも、何が入っているんでしょう。
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コメント
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