3月19日(土)から全国ロードショーの
いぬのえいがの予告編をテレビで
見て、もうそれだけでウルウルきてしまいました。
写真の犬は、大学の研究室に入った頃から飼い始めた“マヤ”君です。
秋のある日、もう十●年昔のこと・・・・。
私は彼を連れて近くの谷に出かけました。
大学の卒業研究で、自然界から脂質(油)を有用物質に変換する菌を探
すため。
自然界には目に見えない数多(あまた)の微生物が棲息していて、その
中には未知のユニークな性質、優れた物質生産力を持つものが、ひそんで
いるに違いないと言われています。
微生物を探し、選別することを「微生物のスクリーニング」と呼びます。
探すといっても、別に虫眼鏡を持ってあちこち覗いて見つけるわけでは
ないのですが。
まずは目的とする微生物の棲息していそうなサンプル(排水、腐葉土、
そのへんの溜まり水でもOK)を採取し、そこから微生物を分離します。
分離にあたっては、一般に、試験管に培地(水に種々の栄養分を加えた
もの)を入れて滅菌し、そこにサンプルを耳掻き1杯程度加えます。
たいていは28度とか36度とかの培養条件で、3~5日程度振とう培養
します(注:揺すって酸素を供給するため)。
すると、複数の微生物が生育してきます。
培地組成を工夫すると、目的にかなった微生物群だけを選択的に生育さ
せることもできます。生育してきた微生物を1種類ずつ純粋分離して、ス
トックしておき、後の実験に使います。
一種の「宝探し」めいて、わくわくするけど、これがはずれも多い、い
たって地道な作業です。
さて、当時生後5カ月のマヤは、山道を嗅ぎ回りながら随分歩き、疲れ
てしまったのか、坂の途中でしゃがみ込み、前足をあごに乗せて全く動か
なくなってしまいました。
そして目の前の腐葉土を鼻先でつつき、意味ありげに「ワン!」と吠え
ました。
私は「花咲かじいさん」ならぬ「花咲か嬢ちゃん(注:当時。今は知ら
ん!)」
をきどって、その土を採取して帰りました。
はたしてその土からは、なかなかの、いい微生物が取れてきたってわけ。
全ては、ここ掘れワンワンしてくれたマヤのお陰!
その後、微生物のスクリーニングには、必ずマヤを連れていき、
「マヤ、吠えろ!!」と強要するのでありました。
もちろん、これは単なる偶然?!だよね?!
けどね、もしかして。
動物の能力には計り知れないものがあるから、あるいはマヤは、彼の優
れた嗅覚で、あるいは特殊な能力で、有用な微生物のひそんだ場所を探り
あてることができるのかもしれないんです。
・・・・そんな話を思い出して、ウルウルきてしまったのでした。
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