彼は害虫を憎む人であり、害獣を憎む人であり、その延長上に弟を殺した

ある父親に男児が二人あったとしよう。　兄は父の会社を継ぎ、忠実にそれを守ろうとした。　弟はフリーターになった。父は会社を守ろうとずる兄を嫌い、弟を溺愛した。
その兄は、弟が会社に害を為している、犯罪行為をしていると父に訴えた。弟の方を良いとする父は兄を退けた。　兄は怒り弟を殺した。

上記プロットを何の前提もなく見せたら「第一に父親、第二に弟が悪い、兄は被害者だ」となるだろう。　カインとアベルの物語をカイン視点で現代風に書き直したものである。

エデン育ちアダムは害虫も害獣もその生を尊重されるべきものとしたが、地上生まれカインにはそれが無かった。　何故カインは害虫を憎む人になったのか。　彼が農家の跡取りに育ったからだろう。　アダムはカインを跡取りに育てたか。　これはyesだろう。　アダムはカインを跡取りにしようとしたか。　おそらくnoだろう。　アダムはカインに農業を教えただろうが跡継ぎ以外は許さないとはしていなかっただろう。　カインに「害虫を憎め」としたのは何か。　周囲の環境が、が一つの答えだが、もう一つある。　イブは蛇を憎む人間だった。