蚊を見ると悩む。
最近覚えている分だと十回くらい血を吸うのを見逃した。
数回殺した。
どっちがいいのかとやはり悩む。
さてベーシックインカムだ。
私はこれをインフレを喚起するのに最良の制度なのでは
と見ていたりする。
一言で言うと働かなくとも収入が有るという制度だ。
それで生活できるのなら誰も働かなくなるだろうと言う人が居ると。
真だろう。
ではそれだけでは生活できないレベルだとどうなるか。
社会の三分の二が労働者だとする。
とりあえず人口3000人で一地域を構成している所で考えてみる。
地域内で必要なものの大半はそこで作っていて、外部との交易は
無くとも当面は困らないような状況、つまり収入の大半は地域内で
使われる。
労働者の平均年収を300万円とする。
労働者以外も合わせて平均すると一人当たりの消費は毎年200万円。
ここに一人当たり年30万円のベーシックインカムを導入したと。
労働者の収入は330万円となり、彼ら以外の収入は年30万円。
四人家族、父親が外で働いて母親が専業主婦、子供が二人
といった家庭なら300万円の経済労働に対し420万円の家庭収入。
家庭に有る労働外収入。
これに近い状況がバブルだろう。
当時は労働外固定収入を持つ家庭が多数有り、彼らはそれが
永続する事を見込んだ生活をしていた。
それが終わった瞬間から借金をしていた人たちには借金だけが
残り、していなかった人たちも生活水準の切り下げをしなければ
ならないという状況に陥った。
想定した3000人の地域に戻る。
労働量が2000人分。 60億円で回っていた経済規模が、どういう
わけだか69億円に増えたと。 15%の増加。
食料生産は増えなかったが消費だけが増える。
もちろん胃袋が増えたわけではないので食糧消費量は増えず、
増加分はそれ以外の分野に回る事になる。
100円と500円のケーキを売っていたケーキ屋があったとする。
元々の一日の売り上げが100円のケーキ100個と500円のケーキ
20個で2万円だったとする。
胃袋が増えないのにこれが15%増しになると個数は変わらず売れる
物が高い方にシフトすることになり、15%増に相当するのは
100円のケーキが92個に500円のケーキが28個、9200円と14000円で
一日23200円の売り上げ。
ケーキ屋の店主は売り上げが増えた事を喜ぶわけだ。
100円のと500円のとでは作る労働量に差はあるだろう、
だがその分は元々それに見合う価格設定になっているはず。
ケーキ屋個人の収入は売り上げ15%増のベーシックインカム分10%増、
合計で25%の増加となった。
ベーシックインカムとして配られるお金はどこから来たのだろうか。
お札を刷ったのでなければもちろん税金だろう。
導入翌年から増税となったとする。 徴税しないと配れないから。
税金を取られた結果労働者の収入が減ったとする。
どのくらい減るのか。 もちろんベーシックインカムの分減る。
300万円の年収だった人は税金で45万円取られ一人当たりの
ベーシックインカム30万円受け取って結果285万円。
地域全体の経済としては消費は元通りに。
労働量も相変わらず300万円分。
搾取されるようになっただけ、とも言える。
金持ちから取る(盗る?)んだと言ったところで働いていない人たちに
配ることには変わりなし。
ではお札を刷ったのならどうなるか。
無収入の人には一割相当の収入、労働者は25%増し。
労働者一人当たりの労働量は収入増の内容に応じて増える。
翌年はどうなるか。
労働者の収入60億円の25%増で75億円と労働者以外の収入が3億円、
合計30%増が消費に回る。
本来なら収入が消費に回る速度を考慮しないといけないはずなのだが
ここではそれはしない。
翌々年には売り上げ30%増とベーシックインカム15%増で労働者が
40%増、84億円と労働者以外の収入が3億円。
87億円、地域経済は金額ベースで元々の145%の規模になる。
毎年元々の15%ずつ増えるのだからそうなるわけか。
ここで食糧生産者を見てみる事にする。
食料消費量は増えていない。 食料の値段も上がっていないとする。
売り物の内容も米生産者なら米、小麦生産者なら小麦で変化なし。
そうすると労働収入の増加が発生しない。
地域経済が毎年膨れ上がっていくのに大して食糧生産者の収入は
導入初年度にベーシックインカム分増えただけでおしまい。
これは農業を止めて他の仕事を始めた方が賢い、という事になる。
ではその結果食料生産が足りなくなったらどうなるか。
多分まあインフレになるのだろう。
この制度が公務員という形で実行されたのがジンバブエなのでは
とも思ったり。