☆自分を米空軍の大佐と偽り、幾人もの女を結婚詐欺にかけた日本人の男の物語。
これ、十年ぐらい前に新聞の三面記事をにぎわした実際の事件から創作された話だ。
エリザベス女王と血縁で、カメハメハ大王の末裔だとか言っていた様で、新聞などでは「そんなんで騙されちゃうのか」などと書かれていたが、十年ほど前ならば、私も既に三十路で、「そんな客観的に見ておかしい話にも騙されちゃうのが、いざ自分に降りかかってもおかしいと思わない人間って奴なんだろうな」ぐらいの諦観は持っていた。
何よりも、私は未だに独身だが、当時も当然独身で、結婚を詐欺師にする「結婚詐欺師」と言う犯罪商売に感心するのだ。
だって、結婚出来るのは前提で、更に、それを餌に騙すってんだから恐れ入る。
舞台背景は、湾岸戦争(パパブッシュ)の時代の話だ。
この時の日本は、「出すのはお金だけ」と揶揄されていた。
その「出すのはお金だけ」がクライマックスで、騙される女の境遇とオーバーラップし、テーマに厚みを加えていた。
私のブログの連載「1991年の日記」シリーズの中で、湾岸戦争の記述があるので、是非、読んでみてね^^
[私の1991年のメモ日記・4「湾岸戦争」]
◇
かなり、映画的なクオリティで作られ撮られた良作であった。
私はてっきり、かなりのドタバタコメディだと思っていたのだが、クヒオ大佐が軍事的に無知な女に「結婚後のことを考えて『沈黙の艦隊』を熟読しろ!」などと言うところ以外は、それほどの無理矢理さを感じなかった。
『沈黙の艦隊』で色々学んだのは、クヒオ大佐、お前だろう!!^^;
最近、役者としてノリに乗っている堺雅人だが、胡散臭さを優しさでギリギリで隠す、ギリギリの演技をかましてくれる。
でも、このような演技って、ジム・キャリーみたいに、後々、顔面神経痛にでもならないか心配である。
◇
作中、クヒオ大佐の詐欺の対象になるのは3人。
しのぶ(松雪泰子)・・・心も金も奪われる。『容疑者Xの献身』に引き続き弁当屋勤務。
春(満島ひかり)・・・心と体を奪われる。学芸員(?)で、『プライド』に引き続きキャットファイト!
ミチコ(中村優子)・・・銀座のホステス。クヒオに騙されないはおろか、金をせびろうとさえする。
それぞれとのエピソードが、平行に語られるが、上記の注釈で分かるように、それぞれとの絡みを、クヒオの詐欺テクニックをカタログ的に語るのではなく、それぞれとクヒオは全く別個のコンゲームを繰り広げるので、物語に繰り返しの飽きはなかったし、故に、現実感が合った。
実際のところ、ナンパ師としてのクヒオは、作中で二人をものにしているが、詐欺師としてはしのぶをものにしているだけだ。
しのぶの弟には完全にバレ、ミチコにも刑事に相談され、春の元カレや同僚にも、その不自然さを暴かれている。
クヒオ大佐には、詐欺師の華麗さはなく、安普請の殺風景なアパートに帰っても、ラジカセから航空機の飛行中のエンジン音をかけ、しのぶから金を調達しようと電話をかける寂しい生活。
◇
私が成田空港に勤務していた頃、友人に、ナンパの名人・岡村君がいた。
実は我々は貨物地区で、貨物をフォークリフトで運んでいただけなのだが、
彼は、飛行機の誘導をするのが仕事だと、ナンパした女に吹かしていた。
で、女に電話をかける時、「今、飛行機を誘導してる最中なんだけどさ。お前の声が聞きたくてかけているんだ^^ お、おっと、しまった! 飛行機を間違ったほうに進めちまった!」とか嘘の電話をかけていた。
相手の女は、「凄い、凄い。凄ーい!^^」などと、岡村君に興味を持つのだ。
そもそもが嘘なのだが、仮に、駐機スポット役だったとしても、誘導中の携帯電話なんて言語道断である。
でも、ナンパされた、可愛いけど愚かな女は騙されていたものだ^^;
◇
3人の女について語りたい。
銀座の店に出るシーンの中村優子は、非常に美しかった。
でも、こんな女は、はなっから私などを相手にしてはくれまい。
私も、はなっから興味を持たないようにしている^^;
松雪泰子は、美しい。
特に、このような弁当屋勤務などの役柄を演じさせると、美しさが際立つ。
もし、彼女が、銀座の女ならば、私などは歯牙にもかけられないが、弁当屋勤務ならば、「あるいは」の可能性を秘めていて、身近に魅力的に感じられるものである^^;
問題は、満島ひかりである。
この子、私、育ちが悪そうで嫌いなのであるが、でも、同時に、好きなのである(なんやねん!)。
「なんで私なんだよ!(金もなく、それほどに美人でもない私を騙そうとした)」
と、クヒオに食って掛かる子供っぽさと、叫んだ時の声の張り具合が実にいいのである。
◇
最終的に、しのぶにも詐欺の全てがばれた様で、クヒオは大人しく、自分の過去を話し始める。
しかし、それはすぐに、虚構が混じっていく。
私は見ていて、少しゾッとした。
話を聞いてくれる・・・、それだけで、クヒオは「まだ騙せる」と立ち直ってしまうのだ。
こういうのは、病気なんだろう。
染色体に欠損がある、一種の脳障害なのだろう。
◇
クヒオの詐欺をいち早く見抜いた、しのぶの弟役を演じた新井浩文は、そのヤサグレ具合が非常に格好良かった。
なんだかんだで、姉に迷惑をかけつつも、姉を非常に気遣っているという役どころも良かった。
(2009/10/19)
これ、十年ぐらい前に新聞の三面記事をにぎわした実際の事件から創作された話だ。
エリザベス女王と血縁で、カメハメハ大王の末裔だとか言っていた様で、新聞などでは「そんなんで騙されちゃうのか」などと書かれていたが、十年ほど前ならば、私も既に三十路で、「そんな客観的に見ておかしい話にも騙されちゃうのが、いざ自分に降りかかってもおかしいと思わない人間って奴なんだろうな」ぐらいの諦観は持っていた。
何よりも、私は未だに独身だが、当時も当然独身で、結婚を詐欺師にする「結婚詐欺師」と言う犯罪商売に感心するのだ。
だって、結婚出来るのは前提で、更に、それを餌に騙すってんだから恐れ入る。
舞台背景は、湾岸戦争(パパブッシュ)の時代の話だ。
この時の日本は、「出すのはお金だけ」と揶揄されていた。
その「出すのはお金だけ」がクライマックスで、騙される女の境遇とオーバーラップし、テーマに厚みを加えていた。
私のブログの連載「1991年の日記」シリーズの中で、湾岸戦争の記述があるので、是非、読んでみてね^^
[私の1991年のメモ日記・4「湾岸戦争」]
◇
かなり、映画的なクオリティで作られ撮られた良作であった。
私はてっきり、かなりのドタバタコメディだと思っていたのだが、クヒオ大佐が軍事的に無知な女に「結婚後のことを考えて『沈黙の艦隊』を熟読しろ!」などと言うところ以外は、それほどの無理矢理さを感じなかった。
『沈黙の艦隊』で色々学んだのは、クヒオ大佐、お前だろう!!^^;
最近、役者としてノリに乗っている堺雅人だが、胡散臭さを優しさでギリギリで隠す、ギリギリの演技をかましてくれる。
でも、このような演技って、ジム・キャリーみたいに、後々、顔面神経痛にでもならないか心配である。
◇
作中、クヒオ大佐の詐欺の対象になるのは3人。
しのぶ(松雪泰子)・・・心も金も奪われる。『容疑者Xの献身』に引き続き弁当屋勤務。
春(満島ひかり)・・・心と体を奪われる。学芸員(?)で、『プライド』に引き続きキャットファイト!
ミチコ(中村優子)・・・銀座のホステス。クヒオに騙されないはおろか、金をせびろうとさえする。
それぞれとのエピソードが、平行に語られるが、上記の注釈で分かるように、それぞれとの絡みを、クヒオの詐欺テクニックをカタログ的に語るのではなく、それぞれとクヒオは全く別個のコンゲームを繰り広げるので、物語に繰り返しの飽きはなかったし、故に、現実感が合った。
実際のところ、ナンパ師としてのクヒオは、作中で二人をものにしているが、詐欺師としてはしのぶをものにしているだけだ。
しのぶの弟には完全にバレ、ミチコにも刑事に相談され、春の元カレや同僚にも、その不自然さを暴かれている。
クヒオ大佐には、詐欺師の華麗さはなく、安普請の殺風景なアパートに帰っても、ラジカセから航空機の飛行中のエンジン音をかけ、しのぶから金を調達しようと電話をかける寂しい生活。
◇
私が成田空港に勤務していた頃、友人に、ナンパの名人・岡村君がいた。
実は我々は貨物地区で、貨物をフォークリフトで運んでいただけなのだが、
彼は、飛行機の誘導をするのが仕事だと、ナンパした女に吹かしていた。
で、女に電話をかける時、「今、飛行機を誘導してる最中なんだけどさ。お前の声が聞きたくてかけているんだ^^ お、おっと、しまった! 飛行機を間違ったほうに進めちまった!」とか嘘の電話をかけていた。
相手の女は、「凄い、凄い。凄ーい!^^」などと、岡村君に興味を持つのだ。
そもそもが嘘なのだが、仮に、駐機スポット役だったとしても、誘導中の携帯電話なんて言語道断である。
でも、ナンパされた、可愛いけど愚かな女は騙されていたものだ^^;
◇
3人の女について語りたい。
銀座の店に出るシーンの中村優子は、非常に美しかった。
でも、こんな女は、はなっから私などを相手にしてはくれまい。
私も、はなっから興味を持たないようにしている^^;
松雪泰子は、美しい。
特に、このような弁当屋勤務などの役柄を演じさせると、美しさが際立つ。
もし、彼女が、銀座の女ならば、私などは歯牙にもかけられないが、弁当屋勤務ならば、「あるいは」の可能性を秘めていて、身近に魅力的に感じられるものである^^;
問題は、満島ひかりである。
この子、私、育ちが悪そうで嫌いなのであるが、でも、同時に、好きなのである(なんやねん!)。
「なんで私なんだよ!(金もなく、それほどに美人でもない私を騙そうとした)」
と、クヒオに食って掛かる子供っぽさと、叫んだ時の声の張り具合が実にいいのである。
◇
最終的に、しのぶにも詐欺の全てがばれた様で、クヒオは大人しく、自分の過去を話し始める。
しかし、それはすぐに、虚構が混じっていく。
私は見ていて、少しゾッとした。
話を聞いてくれる・・・、それだけで、クヒオは「まだ騙せる」と立ち直ってしまうのだ。
こういうのは、病気なんだろう。
染色体に欠損がある、一種の脳障害なのだろう。
◇
クヒオの詐欺をいち早く見抜いた、しのぶの弟役を演じた新井浩文は、そのヤサグレ具合が非常に格好良かった。
なんだかんだで、姉に迷惑をかけつつも、姉を非常に気遣っているという役どころも良かった。
(2009/10/19)
>>「愛のむきだし」
見てないんですよね。
でも、満島ひかりは、これと『プライド』でかなり私の中で印象に残っています。
長い作品のようなので躊躇していますが、おっぱいもむき出しにしているのでしょうか?^^;
松雪さんは、めきめきいいですね。
弁当屋が、やけに似合います。
春ちゃんと、安藤二世が共演している「愛のむきだし」は、ごらんになりました?
すんごい一本です。