☆本日は、朝5時に家を出る早番の仕事であったが、帰宅して、午後8:45からの<ワーナーマイカル・日の出>のレイトショーで、この作品を観た。
眠気との戦いが起こるかなと思いきや、私の心を、骨太の大河ドラマがグイグイと引っ張ってくれて、三時間半の長尺を全く飽きさせることなく見せてくれた。
だが、不思議と、感想を書く今となって、書くことがなくて困っている。
理由として、日本航空を模した<国民航空>の中で、最大公約数の幸せを願いつつ運動を起こした主人公・恩地(渡辺謙)の、管理サイドから下される不遇が、私自身のこれまでの境遇に重なるからだろう。
これは、私の「中二病」的な思い(ここでは、物語の主人公の、安易な自分への当て嵌め)からではなく、多くの会社員のほとんどが、それぞれの会社で同じ思いを感じていることだと思う。
だから、「物語のここが優れている」「ここの役者の演技が秀逸」などと、客観的に、[創作]として接せられなくて、論じにくいのである。
◇
小説『新宿鮫』では、主人公の、以下のようなセリフがあった。
「仕事に対して真面目な者ほど、転職を繰り返してしまう」
私は、プライベートでは女好きだが、そんなことはおくびにも出さず、仕事場では真面目である。
そして、なかなかの生真面目さゆえに、これまで転職を繰り返してきてしまった。
しかし、主人公・恩地は、どんなきつい人事を受けようとも、<国民航空>を辞すことはなかった。
それが、恩地の「矜持(プライド)」なのだそうだ。
それも、正しき道である。
◇
実は、私は、元JALグループの末端の一員であった。
成田勤務を辞したのは、長男として、東京都下に住む両親が気になったが故で、JALに愛想が尽きたとかではない。
この作品は、JAL批判の原作と言われているが、私はそうは思わなかった。
私がJALグループに勤めていた時期に完結した小説『沈まぬ太陽』は、JAL社内の掲示板でも、その広告が掲載されていたほどだ。
多くの者は、これを、どこにでも存在する「人間」の織り成す物語と捉えるのではなかろうか。
私は、結局は、最終的には、この世の事象の全ては、その問題に関係する人間の「人格」の問題だと思っている。
私が、よく、政治思想の問題で対象を「人格攻撃」するのはそれ故である。
だから、恩地が、自分の「矜持」を口にしたのは、この物語の真のテーマであろうし、
御巣鷹山の被害者及び遺族に対しての「気持ち」も、個々の登場人物の人格に由来すると思う。
◇
恩地が上層部に復帰する切っ掛けの新会長・国見(石坂浩二)の就任だが、
丸っきりの外部からの招聘ゆえに、利害関係を持たず、もともとの性格もあるのだろうが、至極真っ当な常識的な判断を社内で下していく。
だが、そんな国見も、もっと次元の異なる「利害関係」の果てに辞意を余儀なくされる。
だが、限られた権限の中で、やれるべきことはやっておくのである。
◇
渡辺謙は良かった。
太い毛筆で描いたような存在感である。
我慢し続ける強い男である。
だが、その横で、また異なる忍耐をし続ける家族(鈴木京香たち)がいる。
そして、御巣鷹山で、その自分以外の家族全てを失った男(宇津井健)がいる。
この男には、「矜持」を越えた「諦観」がある。
「諦観」は時に、「悟り」にも変化しよう。
そして、恩地には、自分の「矜持」を通すに際しての「諦観」がある・・・。
◇
アフリカの大地を這う恩「地」!
日本のナショナル・フラッグ・キャリアの頂点を目指す行「天」(三浦友和)・・・。
分かりやすいネーミングの対比である。
(2009/10/25)
眠気との戦いが起こるかなと思いきや、私の心を、骨太の大河ドラマがグイグイと引っ張ってくれて、三時間半の長尺を全く飽きさせることなく見せてくれた。
だが、不思議と、感想を書く今となって、書くことがなくて困っている。
理由として、日本航空を模した<国民航空>の中で、最大公約数の幸せを願いつつ運動を起こした主人公・恩地(渡辺謙)の、管理サイドから下される不遇が、私自身のこれまでの境遇に重なるからだろう。
これは、私の「中二病」的な思い(ここでは、物語の主人公の、安易な自分への当て嵌め)からではなく、多くの会社員のほとんどが、それぞれの会社で同じ思いを感じていることだと思う。
だから、「物語のここが優れている」「ここの役者の演技が秀逸」などと、客観的に、[創作]として接せられなくて、論じにくいのである。
◇
小説『新宿鮫』では、主人公の、以下のようなセリフがあった。
「仕事に対して真面目な者ほど、転職を繰り返してしまう」
私は、プライベートでは女好きだが、そんなことはおくびにも出さず、仕事場では真面目である。
そして、なかなかの生真面目さゆえに、これまで転職を繰り返してきてしまった。
しかし、主人公・恩地は、どんなきつい人事を受けようとも、<国民航空>を辞すことはなかった。
それが、恩地の「矜持(プライド)」なのだそうだ。
それも、正しき道である。
◇
実は、私は、元JALグループの末端の一員であった。
成田勤務を辞したのは、長男として、東京都下に住む両親が気になったが故で、JALに愛想が尽きたとかではない。
この作品は、JAL批判の原作と言われているが、私はそうは思わなかった。
私がJALグループに勤めていた時期に完結した小説『沈まぬ太陽』は、JAL社内の掲示板でも、その広告が掲載されていたほどだ。
多くの者は、これを、どこにでも存在する「人間」の織り成す物語と捉えるのではなかろうか。
私は、結局は、最終的には、この世の事象の全ては、その問題に関係する人間の「人格」の問題だと思っている。
私が、よく、政治思想の問題で対象を「人格攻撃」するのはそれ故である。
だから、恩地が、自分の「矜持」を口にしたのは、この物語の真のテーマであろうし、
御巣鷹山の被害者及び遺族に対しての「気持ち」も、個々の登場人物の人格に由来すると思う。
◇
恩地が上層部に復帰する切っ掛けの新会長・国見(石坂浩二)の就任だが、
丸っきりの外部からの招聘ゆえに、利害関係を持たず、もともとの性格もあるのだろうが、至極真っ当な常識的な判断を社内で下していく。
だが、そんな国見も、もっと次元の異なる「利害関係」の果てに辞意を余儀なくされる。
だが、限られた権限の中で、やれるべきことはやっておくのである。
◇
渡辺謙は良かった。
太い毛筆で描いたような存在感である。
我慢し続ける強い男である。
だが、その横で、また異なる忍耐をし続ける家族(鈴木京香たち)がいる。
そして、御巣鷹山で、その自分以外の家族全てを失った男(宇津井健)がいる。
この男には、「矜持」を越えた「諦観」がある。
「諦観」は時に、「悟り」にも変化しよう。
そして、恩地には、自分の「矜持」を通すに際しての「諦観」がある・・・。
◇
アフリカの大地を這う恩「地」!
日本のナショナル・フラッグ・キャリアの頂点を目指す行「天」(三浦友和)・・・。
分かりやすいネーミングの対比である。
(2009/10/25)
骨太で壮大なドラマでした。日航機事故は今でもはっきり覚えていますよね。私も日航批判とかには感じませんでした。というより、かの企業に生きる2人の男の対照的な生きざまを見せられたと思っています。原作既読の方はまた違った見方もあるかもしれませんが、未読の私としては十分満足。ただむしろ、もっと観たかった位なんで、連ドラや年末の三夜連続トラマにならないかなと思ったりしてます。さて、そろそろ時間なんで失礼しますね。(笑)
私も、もっと、この分厚い物語を見ていたかった。
エピローグが、やや「尻切れ」の印象ですよね。
あれは、恩地の物語は生きている限り続く、と言う意味合いと捉えましたが、
行天の失脚後、恩地が新社長として招聘されるとの終幕かと思っていたので物足りなかったかな。
でも、安易な勝利にはしないのでしょう。
・・・「パイレーツロック」、見たいなあ^^
恩地はともかく、「行天」と言う名前は俗な作りに思えましたね。
私も、この3時間20分にはグイグイ引き付けられたのですが、いざコメントとなると、なるほどいつもより何を書いてよいのかとまどいました。
作品としては凄い1本だと思うのですが・・。
私も、蘭さんと同様(生真面目さ故かどうかは別として)何度か仕事を変わった経験があります。
この映画の恩地が生きた時代であったら、できなかったかもしれません。
私なぞは恩地が再びケニアに行く歳にはまだ程
遠いのですが、蘭さんがおっしゃった「諦観」的な感覚が少しずつ出てきて、「まずいなぁ」と思っています・・。
何にしろ、1本の映画として見れば、「沈まぬ太陽」は力作であるとおもいます。
P.S.間違ってTB2つ入れてしまいました。
お手数ですが、1つ削除してください。
申し訳ありませんでしたm(__)m。
>>私も、蘭さんと同様(生真面目さ故かどうかは別として)何度か仕事を変わった経験があります。
生真面目であることは「エゴ」なのだとも、私は思っています^^;
ただ、私に正社員の口があり続けているのは、運が良いかもしれません。
>>この映画の恩地が生きた時代であったら、できなかったかもしれません。
あそこまでの仕打ちを受けながらの就業は辛いですね。
>>私なぞは恩地が再びケニアに行く歳にはまだ程遠いのですが、蘭さんがおっしゃった「諦観」的な感覚が少しずつ出てきて、「まずいなぁ」と思っています・・。
諦観も、会社などの秩序維持に大事だとも思います。
大なり小なり、理不尽は会社組織にあるでしょうし、私など、怒り癖がついてしまい、困っている次第です^^;
行天君、最後成敗されてましたよね?
お母様には物足りなかったかしら?^^
原作があまりにも面白かったので、それこそ全体的に物足りなさがありました。
謙さんの熱演は光ってましたけどね♪
P.S コンカツがんばってくださいね。でも、がんばってる感は絶対に出さないのがテクかなぁ
コンカツ日記もUPしてください!
>>行天君、最後成敗されてましたよね?
おそらく、恩地がさっぱりと勝利者になれなかったのが、母親にはいやだったのでしょう。
私は、読書家のつもりでしたが、ここ数年、本を読む時間がありません。
昔は、一日文庫本一冊ペースだったのに。
インターネットも、本を読めなくなった原因の一つです。
まあ、今は吸収の時期でなく、放出(自己主張)の時期なのかもしれません。
>>がんばってる感は絶対に出さないのがテク
でも、ガツガツ行かなきゃ駄目って言う人もいるんですよねぇ。
もっとも、私は、恋愛に関しては、今は控え目な態度ですが・・・^^;