『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

ジュリアナから墓場まで・・・。森羅万象を語るブログです。
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[映画『終戦のエンペラー』を観た]

2013-07-29 23:59:25 | 物語の感想

☆不思議な映画であった。

 日本人にとっては拘りどころの、先の大戦における天皇陛下の存在の意義だが、果たして、この作品を作ったアメリカ人にとって、如何ほどの興味があるのか、と言う問題がある。

 そんなにも興味があるとは思えなかった。

 日本人の民族的なメンタリティは、「日本に興味がある欧米人」と言うマイノリティにのみ効果があると思うのだ。

 日本以外では、商業的に成り立つとは思えなかった。

 話も、地味ではあった。

 大時代を舞台にしているのだが、事後、マッカーサーの指示で「天皇に戦争責任はあるか・否か」の調査官に任命された知日家のフェラーズ准将(マシュー・フォックス)が、焼け野原の東京を捜査する物語である。

 派手なドンパチはない。

 地味ではある、が、ハードボイルド物語としては、見事に成立している。

 戦火の中に消えた異国の恋人を想いつつ、米軍によって家族を失った男を助手とし、捜査は続く。

 私的には、思考作業ではなく、とにかく「人にあたる」のがハードボイルドと考えているのだが、

 捜査に挫折しつつ、暴漢にボコられるシーンなども含めて、ハードボイルドの王道をいっていると思う。

 主人公の恋人が、回想の中でしか出てこない設定もいいし、演じる初音映莉子は、蒼井優にも似た繊細さに、欧米人の考える日本人的な凛々しさを兼ね備えていてよかった。

 捜査の過程で、フェラーズ准将は、多くの、日本の中枢にいた男たちと出会っていくのだが、それぞれの人物に会い、それぞれの人間性に直面し、「日本人」への理解を深くしていく。

 が、同時に、日本人の心の中心に据えられている「天皇」への謎は最大級に深まっていく。

 フェラーズ准将はもとより、欧米人が、この問題に、最上級のテーマ性を求めたのが、私には不思議でたまらない、が、・・・日本人として、その興味は、ちょっと嬉しい。

 最終的に、マッカーサー(トミー・リー・ジョーンズ)は、自らが天皇へと面会することになる。

 ・・・このシーン、静かなシーンなのである。

 しかし、私は、意外にも、ビシビシビシビシーッと、身体中に鳥肌が立つほどに興奮してしまった。

 なんで、そんなにも興奮するかのかはわからない。

 神聖とかカリスマなんて言葉では済ませられない。

「為すべきことを為し続ける存在」の姿に、私はこうべを垂れるしかない・・・。

                                                             (2013/07/29)


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