そして私は待っていた
こんなに寒い夜だけど
冷たいままの部屋にして
ほんの少しのぬくもりで
私の決意がゆらぐなら
手足が冷えてもかまわなかった
街で私は見てしまったの
私にくれたことのないような
やさしさ いたわり あのしぐさ
知らない誰かの肩を抱いていた
だけど私は信じない
時折り吹いた風のせい
舗道を急ぐ人の波
若い頃なら問いつめて
泣くだけ泣いたらすんだけど
今でははぐれるわけにいかない
やがて時計は0時を過ぎる
靴音だけを夜にひびかせて
合鍵 くらやみ しのび泣き
したたる涙の音を聴くだろう
たぶん私は黙ってる
戻ってくれた それだけで
許してしまう 愚かしさ
待つということ あてのなさ
嫌なら出てけ と云うほどは
私を裏切る人じゃないから
私を裏切る人じゃないから
よもやま:『今日が誕生日の歌手』シリーズ、1日早いが
森昌子サンは10/13が誕生日。
彼女を想定した過去4篇は、私なりに想いの込もる書き下ろ詞ばかり。
・北の大地をテーマに生きること、愛することの感謝を謳った「鳥に還り花と咲き」
・病からの復帰と彼女の歌に対する愛着を、めいっぱい表現した「歌 在りて」
・控えめに楚々として咲く花を彼女にかさね合わせて書いた「鷺草」
・惚れた男のもとを去る女の心情を、ちょっと刺激的に「いなずま」
今回はふとしたことで亀裂が生じる男女の愛憎。
愛するがゆえに信じ、受け入れ、自分のもとへ帰ってくる男を待つ
女性のひたむきさ。まるでモノクロの映画を見るような…。
『この歌手のお勧め曲』1.幸せ灯り 2.二人づれ 3.銀のライター
ちなみにタイトル画像にも使ったが、いっときほとんど聴かなかった「銀のライター」は
猪俣公章/作曲のMyベストを作っていたら、あらためてその良さに気づいた次第。