天命を知る齢に成りながらその命を果たせなかった男の人生懺悔録

人生のターミナルに近づきながら、己の信念を貫けなかった弱い男が、その生き様を回想し懺悔告白します

1,300回記念:映画『天国と地獄』で田崎潤は石山健二郎に”天の配剤”の妙と言うべきと三船敏郎を批判

2013-01-20 10:04:41 | 日記
今日の日記は、投稿1,300回記念版の今久しぶりにDVD鑑賞している映画『天国と地獄』(1963年製作 黒澤明監督 脚本:黒澤明・菊島隆三・久板栄二郎・小国英雄 三船敏郎 仲代達矢 山崎努主演)のことです。
私の最近の日記は、その更新回数がめっきり減ってしまって、1,200回(2012年7月6日)から1,300回(2013年1月20日)まで到達するのに、6か月半もかかってしまいました。以前は毎日更新していたのですが、最近は2日に一回の更新ぺースになってしまいました。
更新ペースがダウンした理由は、私の昔の趣味であった特殊な舞踏エンターテーメント世界に全く絶望した事と、公開されている新作映画をあまり鑑賞しなくなった為と、私自身は思っています。それでも、懐かしい旧作映画の鑑賞は今まで通りに行っています。
今回のその鑑賞は、黒澤明監督の『天国と地獄』です。このDVD(添付した写真を参照の事)をレンタル店から借りて、今お茶の間鑑賞しています。
そして、このDVD裏面の映画解説に、配役の設定記述に大きな間違いがあるのを、私は発見しました。以下にその間違った記述を引用・掲載します。
『ワンマン社長・権藤の息子が何者かによって誘拐されるが、被害にあったのは実は運転手の子供だった。犯人は人違いをしていたのだ。(以下省略)』
この映画の主演者三船敏郎が演じる権藤金吾は、”社長”ではなく製靴会社「ナショナル・シューズ」の工場担当”常務”です。彼は、16歳で見習い工として入社した叩き上げの無学歴者で、良質な靴作りに生きがいを感じている人間です。単なるワンマンな企業人ではなく、製作工場の現場監督(東野英治郎)が語っているように”仕事に厳しいが彼を悪く言う人はいない”温情の人です。そして、常務の彼は、その社長になろうと画策し、会社内での権力闘争を勝ち取ろうと株の買占めを図る野心家でもあります。
だから、このDVDでの解説では、三船敏郎が演じる人間の地位や性格を正しく表していません。是非、その校正を至急製作会社の東宝に私は御願いしたいです。
そして、映画では、その三船敏郎の権力闘争の相手方の営業担当専務(伊藤雄之助)・デザイン担当重役(中村伸郎)・宣伝担当重役(田崎潤)らが、誘拐によって窮地に陥った彼に関して、冷酷な言葉を誘拐事件の捜査員に投げかけます。
重役の一人の田崎潤は、捜査している神奈川県警の田口部長刑事(石山健二郎)に
『罰が当たったんですよ ありゃ 密かに株を買い集めて会社を乗っ取ろうとした その時も時だ あいつにとっちゃ命取りのあの事件が起こった まさに”天の配剤”の妙と言うべきだね!』と痛烈に批判しています。
この言葉を聞き、貝塚茂樹(1904年~1987年:文化勲章受賞の中国歴史学者)が「論語」(中公文庫)で書いている『挫折したことも、また人力以上の”天の配剤”であったと悟った』を、私は思い出しました。この脚本を書いた黒澤明ら4氏も、この著名な歴史書の記述に触発されて、この言葉”天の配剤”をシナリオに書き加えたのだと、今推察しています。
でも、私は、その企業を悪くする重役3人組に加担するような意味で、この”天の配剤”を用いて欲しくなかったです。逆に、誘拐犯(山崎努)を逮捕する絶妙な切っ掛けシーンで、私は黒澤明監督に用いて欲しかったです。だから、私は今、とても残念な思いを抱いています。
コメント
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