天命を知る齢に成りながらその命を果たせなかった男の人生懺悔録

人生のターミナルに近づきながら、己の信念を貫けなかった弱い男が、その生き様を回想し懺悔告白します

映画『幕末太陽傳』旅籠湯♪三千世界の鴉を殺し主と朝寝がしてみたい謡うフランキー堺を晋作・裕次郎が制止

2011-07-11 21:00:07 | 日記
今日の日記は、今お茶の間鑑賞している日活映画『幕末太陽傳』(1957年製作 川島雄三監督 フランキー堺 金子信雄 山岡久乃 左幸子 南田洋子 石原裕次郎主演)のことです。
私は昨日の日記で、映画『私が棄てた女』河原崎長一郎と一緒にお風呂に入った浅丘ルリ子を紹介しました。そして、私がこの映画で紹介した浦山桐郎が助監督を務めていた川島雄三監督の名作『幕末太陽傳』でも、主演のフランキー堺と日活映画デビュー2年目の石原裕次郎が、品川宿の遊郭旅籠の風呂に入っているシーンを私は思い出して、久しぶりに鑑賞したくなり、今私はそれを確認しています。
添付した写真は、無銭飲食した旅籠(相模屋)に居残ってそこの仕事を切り盛りする佐平次役のフランキー堺(左)と長州藩士・高杉晋作役の石原裕次郎(右)が、一緒に旅籠の朝風呂に入っているシーンです。
この映画は、作品の冒頭に「日活製作再開三周年記念」と表示されているように、日活にとって特別な作品でした。だから、当時の日活の青春スターが大挙この映画に出演しています。以下に、その出演者とその役を掲載します。
(1).石原裕次郎:相模屋に逗留している高杉晋作
(2).南田洋子:相模屋が抱えている遊女・こはる
(3).二谷英明:長州藩士の志道(井上)聞多
(4).小林旭:長州藩士の久坂玄瑞
(5).岡田真澄:相模屋の手代:喜助
しかし、川島雄三監督は、彼ら青春スターをまったく特別扱いせず、その役柄に使い切っています。映画の題名だけは当時の流行した「太陽族」を彷彿させていますが、彼ら若き藩士がこの映画の主役ではなく、あくまでも町人佐平次役のフランキー堺です。だから、当時の日活上層部意向と違うプロットを巡り大きな軋轢を生じ、川島雄三監督はこの作品を最後に日活を去っています。
この映画では、高杉晋作(石原裕次郎)が一人で入っていた旅籠の朝風呂に、佐平次(フランキー堺)が後から入ってきます。そして、佐平次が湯船の中で気持ち良さそうにある都々逸を謡い始めます。
♪三千世界の鴉を殺し、主と朝寝がしてみたい♪
それを聞いた晋作は、突然「止めてくれ!」と叫びます。佐平次が「何故?」と問うと晋作は「俺が作った唄だからだ!」と答えます。脚本も手がけている川島雄三監督らしいとても印象に残る考えられた笑いです。
しかし、この名作を創った川島雄三監督は、1963年45歳の若さで亡くなってしまいます。そして、彼がもっと長命ならば、日本映画界はもっと変わったものとなっていたと、私は今確信しています。
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