天命を知る齢に成りながらその命を果たせなかった男の人生懺悔録

人生のターミナルに近づきながら、己の信念を貫けなかった弱い男が、その生き様を回想し懺悔告白します

『男はつらいよ葛飾立志篇』渥美清は小林桂樹に「この人の幸せ為なら命いらない俺は死んでいいと思うが愛」

2010-09-25 23:56:38 | 日記
今日の続編日記は、16日に86歳で逝去された小林桂樹さんが出演された松竹映画『男はつらいよ 葛飾立志篇・第16作』(1975年製作 山田洋次監督 渥美清 倍賞千恵子主演 樫山文枝 小林桂樹共演)のことです。
私が9月21日付の日記で紹介した東宝映画『裸の大将』に添付した主演者・小林桂樹と特別出演・三木のり平は期せずして二人共、山田洋次監督の寅さんシリーズに出演しています。(私注:小林桂樹は第16作で、三木のり平は第19作『寅次郎と殿様』)山田洋次監督は、俳優としての二人の力量を高く評価していたから自分の製作映画にキャスティングしたのでしょう。今日の映画はその小林桂樹さんが扮した田所教授と寅次郎の「恋愛に関しての一つの考察」です。そして、添付した写真は、たまたま寅次郎が居た「とらや」を訪れた小林桂樹です。そして、独身者同志の田所教授と寅次郎が「愛について」話し合います。以下にその会話を引用掲載します。
・(小林桂樹)『いや、僕が結婚をしない理由はそのー・・(「独身主義者」との教え子の言葉に)いや違う、そうじゃないよ。つまり・・つまりなんですよ。愛の問題、男と女の愛情の問題が、実に難しくて、まだ、け、研究し尽くしておらんのですよ!』
・(渥美清)『研究しちゃうのかい?もっと簡単な事だろう』
・(小林桂樹)『簡単?』
・(渥美清)『常識だよ!・・いいかい?あーいい女だなあ、と思う、その次には、話してみてえなあ、と思う、ね。話しているうちに今度は、いつまでもそうやっていてえなあ、と思う。その人の傍にいるだけで、なにか、こう、気持ちが柔らか~くなってさ、あーもうこの人を幸せにしたいなあ、と思う。もう、この人の幸せのためなら、命なんかいらない、もう俺は死んじゃってもいい、とそんなふうに思うようになる。それが愛よ。違うかい!?』
・(小林桂樹)『(しばらく黙っていたが、感動したように頷いて)なるほどねえ・・君は僕の師だよ!!』
大学教授とか権威にひれ伏すことにまるで無関心な自由人の寅次郎に、逆に謙虚で誠実な知識人がその言葉に跪くことがあります。寅次郎の含蓄ある名言に、大学教授の田所は『僕の師』と高く評価し、寅次郎を「人生の達人」と真摯に思っているのです。そして、男女間の恋愛は、学門から学んだ知識より実践から生まれた体験が貴重なエキス・源泉だと山田洋次監督は語っています。
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男はつらいよ寅わが道をゆく渥美清は武田鉄矢に振られた時はじっと耐え一言も聞かず黙って後姿見せ去るが男

2010-09-25 15:04:32 | 日記
今日の日記は、松竹映画『男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく・第21作』(1978年製作 山田洋次監督 渥美清 倍賞千恵子主演 木の実ナナ 武田鉄矢 竜雷太共演)に出演している武田鉄矢のことです。
前年に同じ山田洋次監督作品『幸福の黄色いハンカチ』で現代の若者・花田欣也役で出演した武田鉄矢が、このシリーズ第21作にゲスト出演しています。映画での彼の役どころは、ほとんど花田欣也と同じようなキャラクターでした。添付した写真は、浅草国際劇場の裏口で、渥美清と木の実ナナの後ろで、好きになったその所属踊り子とパンフレットを見せながら楽しそうに話をする武田鉄矢の映画シーンです。
その劇場通いをする二人の馴れ初めは、九州の温泉にやってきた寅次郎(渥美清)が、その温泉地で、若者後藤留吉(武田鉄矢)が幼ななじみの地元の娘(岡本茉利)にふられて、ガックリしていたところをたまたま励ましたのがきっかけです。その時の若い二人の会話と寅次郎が留吉にかけた言葉は、以下に引用掲載します。
・(岡本茉利)『ウチね、木村さんを好きになったと・・怒らんとってね。怒らんとって・・』
・(武田鉄矢)『木村っておまえ・・、あげな男のどこがよかかおめえ~、男は面かァ~!』
・(岡本茉利)『留吉さん、木村さんはよか人よ。ウチあの人に会うて、ほんとに良かったと思ってる。あの人はウチに夢と希望ば与えてくれた・・。あんた何くれた!?』
・(武田鉄矢)『(一瞬声が出なくなって・・)「鶴屋」のデパートでネッカチーフとか、買うちゃったろーがーァ!』
・(岡本茉利)『あとでみんな返す!』
・(武田鉄矢)『ちょっと待てて!ちょっと待てて、あた!』
・(岡本茉利)『ね、うちたちのこと、美しか思い出にしよ!(こう言い残して駆け去る)』
・(武田鉄矢)『ちょっと待ててぇ~!ツヤつけんな、このバカたれがおまえ!おまえと木村の結婚式に、肥たごにほりこんだるけんね、ほんのこってがあ!・・アタ・・またじゃが・・ウウウウ(と泣きじゃくる)』
そこへ、脇で聞いていた寅次郎がすっと出てきます。
・(渥美清)『青年・・・女に振られた時は、じっと耐えて、一言も口を聞かず、黙って後ろ姿を見せて去るのが、男というもんじゃないか?』
留吉は、この寅次郎の言葉に感激し、すっかり寅次郎を気に入ってしまいました。私もこのシーンを観ていて、地元娘の岡本茉利が振った男の武田鉄矢にかけた言葉、『あとでみんな返す!』に、とても実感が湧いてました。と言うのも、私はその言葉通りの若い女性の行動を、過去に劇場で目撃していたからです。
私は2008年年末の都内某劇場で、某劇場演技者女性が、その常連応援リボンに大きな紙袋を手渡している光景を目撃しました。その時の常連応援リボンの彼女にとった態度は、見事に渥美清が武田鉄矢に語った名言そのものでした。そして、それ以降この常連応援リボンの姿を、この女性が出演している劇場でまったく見かけなくなりました。
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