天命を知る齢に成りながらその命を果たせなかった男の人生懺悔録

人生のターミナルに近づきながら、己の信念を貫けなかった弱い男が、その生き様を回想し懺悔告白します

山田監督は笠智衆を誠実勤勉寛容で家族愛し道理重んじ慎ましく穏やかな人生過ごす無欲で謙虚な美しい日本人

2010-09-04 21:26:44 | 日記
今日の日記は、今読んでいる笠智衆の米寿記念出版・自伝『あるがままに』(著者:笠智衆ほか1992年世界文化社刊:)に寄稿した山田洋次監督の「美しい日本人」のことです。添付した写真は、第14作『男はつらいよ 寅次郎子守唄』の御前様で出演した笠智衆です。
この寄稿文は、笠智衆の人柄を多くの映画製作を通じてよく知っている山田洋次監督ならではの名文です。これを読んで、私は深く感銘しました。以下に、その名文の一部を引用し掲載します。
『・・誠実を画に描いたような、駆け引きとか追従などの卑しい感情は爪のあかほどもない笠さんの表情と、この偉大な俳優から言葉をかけて貰った、まだ新人監督だった頃の僕の幸福な感情を、今でもまざまざと想い出すことができるのだ。・・無器用な役者ほど大成するという例に、僕は失礼ながら笠さんを引き合いに出して説明することがある。・・芸域が広いとか、どんな役柄でもこなす、というような言葉が役者の褒め言葉によく使われるが、笠さんの場合、それはまったく通用しない。こんなに役柄の狭い人はまずいないのではないか。・・笠さんの演ずる役は決まっている。誠実で、勤勉で、寛容で、家族を愛し、道理を重んじ、慎ましく、穏やかな人生を過ごしている、無欲で謙虚な、美しい日本人である。そして、笠さんがこの役を演ずるなら、他の役者が束になっても、つま先立ちしても、まったくかなわないのだ。・・』
私は、この山田洋次監督の寄稿文「美しい日本人」に深く共感しました。山田洋次監督が製作した『男はつらいよ』の御前様役の笠智衆は、どこまでが演技なのかまったく判らないとても自然な古老の和尚さんになっていました。彼は熊本のお寺の次男坊として生まれ、一時は生家の住職も経験しているから、なおさらその感じを抱いたのでしょう。
この添付した写真の笠智衆の台詞『ああ なるほど 寅が大黒柱か・・・こりゃ困った』にも、寅次郎の問題行動を知りながら、寅次郎への深い愛情を感じさせる御前様の人柄を彷彿させる優しい言葉です。
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『東大講義 人間の現在①脳を鍛える』立花隆氏はキルケゴールで一番有名な本「死に至る病」東大生に勧める

2010-09-04 14:36:56 | 日記
今日の日記は、私の2010年2月14日付日記『OR嬢が好きなキルケゴール思想:自己は他者と関わる関係で認知、絶望は他者の関係を忘却し自我の殻の状態』で書いた「ある真意」の疑問のことです。
その私の日記の一部を、以下に抜粋し掲載します。
『2006年6月に引退された劇場演技者女性OR嬢の好きな本だった「キルケゴール」のことです。私は、その彼女のプロフィールに書かれた好きな本「キルケゴール」の真意が、約3年半も経た今でもまったく判りません。・・蔵書の中にある「人と思想 キルケゴール」(工藤綏夫著:1971年清水書院刊)を今再読しています。・・でも、何故キルケゴールが好きだった劇場演技者女性OR嬢が、劇場で私にあのようなことを行なったのか?そのことの真因までは、この著書を再度熟読しても、私にはまったく判りません。・・』
そして、今私は、立花隆著『東大講義 人間の現在① 脳を鍛える』(2000年新潮社刊:添付した写真はその表紙)を読んでみて、2010年2月14日に抱いていた私の「ある真意」の疑問が、完全に氷解しました。以下に、その立花隆氏著書から該当する一部を引用抜粋します。
『・・(キルケゴール「死に至る病」斎藤信治訳・岩波文庫を東大生に示して)これを読んだことがある人、どれぐらいいますか?(聴講生で手を挙げた人なし、ほとんどゼロ)キルケゴールは実存主義の開祖みたいな人で、これがその一番有名な本です。僕はこの本を、大学に入ったその月に買いました。これは汚れているけれど、その時の懐かしい本なんです。僕の友人で、書棚のこの本を見た時、「死に至る病って、何だ?ガンの本?」と言ったのがいましたが、教養の有無って、そういう一言で簡単にバレちゃうものなんです。・・』
私が過去に言及した『劇場演技者女性OR嬢が、「好きな本は?」との質問に、その著書名でなく、何故作家名を答えたのか?』との疑問が、昨日の私の日記で紹介したバグダッシュの名言に照らし合わせてみても、完全に氷解されます。
昨日の日記で、バグダッシュの名言『世の中に飛びかっている情報ってものには必ず「ベクトル」がかかっているんだ。つまり、誘導しようとしていたり願望が含まれていたり、その情報の発信者の利益を図る方向性が付加されている。それを差し引いてみればより本当の事実関係に近いものが見えてくる。』を私は紹介しました。
このバグダッシュの名言と、立花隆氏が自著で『「死に至る病」はキルケゴール著書の中では一番有名な本』と語った事実を、劇場演技者女性OR嬢の不可解な回答に、照らし合わせてみれば、ある隠された真実が私にははっきりと推測できます。
それは、劇場演技者女性OR嬢は、自己の教養の高さを観客にアピールしようと、自己の情報(キルケゴールが好きな本)を発信したのでは?との、私の個人的で確固たる根拠のある推測です。OR嬢がほんとうにキルケゴールの著書が好きだったら、立花隆氏が東大生に読書を勧めた一番有名な著書「死に至る病」を回答していたはずです。OR嬢は読んでもいない著者名をあげて、読み手観客に偽証された自己の教養高い女性イメージに、発信情報を誘導しようとしたのでしょう。
こんな情報を巧みに操作する悪知恵に長けたOR嬢なら、私が深く悩んだ「劇場で私にあのようなことを行なったのか?」の真意などまったく存在しておらず、単なる客への憎悪の所業だったと、今私は得心しました。
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