北海道内の民放各社が渾身の思いを込めて制作されるドキュメンタリー番組のほとんどは放送が深夜とか、早朝など目に触れる機会が少ない時間帯のことが多い。そうした番組に光を当てようという試みの会に参加した。
12月18日(水)午後、「北海道民放クラブ」が主催する「名作ドキュメンタリーをもう一度」という催しがウィスティリアホール(南1西14)で開催されたので参加した。この催しは今回で4回目ということだったが、私は興味があったもののスケジュールが合わなくて今回が2回目の参加だった。
「名作ドキュメンタリーをもう一度」というのは、道内民放各社がこれまで制作・放送して好評を得たドキュメンタリー番組にもう一度光を当てようという試みである。
今回取り上げられた番組は次の三つである。
◇「けいざいナビスペシャル 検証・拓銀破綻20年~今伝えたいこと」2017年TVH制作
◇「ニセコルール ~ 守りびとの闘い」2017年TVH制作
◇「風の音は聞こえない…少年竜二 空を飛べ」1908年STV制作
会は番組制作に関わったプロデューサーなどが上映前に番組制作のねらいや裏話などを披露してくれる。この日は、TVHとSTVのプロデューサーが登場して語ってくれた。
TVHのプロデューサーはご自身が拓銀社員だったという方だっただけに、番組にかける思いは人一倍だったようだ。「けいざいナビスペシャル 検証・拓銀破綻20年~今伝えたいこと」では拓銀破綻から20年を経て、当時の拓銀の中枢にいた方が重い口を開いてくれたのだが、どこまで真実を語ってくれたのか?私からみると「たら、れば」的に語っていたようにも思えた。救いは、破綻時に拓銀社員だった方々が破綻を糧として逞しく人生を切り開いている姿を描いていたことだった。
「ニセコルール ~ 守りびとの闘い」は、ニセコを愛する冒険家でありスキーヤーでもあった一人の男が、ニセコの山々で発生する雪崩から人々を守ろうと奮闘する姿を描いたものである。一人の男とは新谷暁生という73歳の高齢の方である。新谷氏の志を受け継ぐ人が現れてほしいものである。
※ 18歳前後の高橋竜二選手です。
この日最も感動したのが「風の音は聞こえない…少年竜二 空を飛べ」である。番組の主役:高橋竜二は聾唖者でありスキージャンパーである。番組は竜二9歳の時から15年間にわたり竜二の成長を追い続ける。耳が聞こえないというジャンパーにとっては決定的なハンディを父親やコーチの支援でジャンパーとして成長を続け、長野五輪の年には(竜二24歳)国内の優秀選手が勢ぞろいする中で優勝するまで成長した。長野五輪には実績が足らずに代表を入りを逃すが、テストジャンパーとして大ジャンプを披露する。竜二の不断の努力、それをサポートする家族や周りの人…。高橋竜二さんの存在については知っていたが、今回彼の生い立ちの全てを知り、竜二の意志の強さと不断の努力に改めて竜二の人間性の素晴らしさを見た思いだった。
※ 長野冬季五輪のテストジャンパーとして131mの大ジャンプを披露した高橋選手です。
「北海道民放クラブ」が主催する「名作ドキュメンタリーをもう一度」はドキュメント好きの私に言わせれば“素晴らしい企画”である。一応今回で終了を迎えたが、主催者はできれば今後の企画を模索したいと語った。是非とも今回取り上げられなかったドキュメンタリー映像を観る機会を作ってほしいと願いたい。