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人権教育指導者研修会

2017-12-05 23:31:17 | 講演・講義・フォーラム等
 “人権”について考える機会を持つことができた研修会だった。“人権”……改めて考えてみると、難しい概念である。世界中の全ての人の“人権”を保障し、護るということは、人間の理性を最も求められることではないのだろうか? 

 12月4日(月)午後、かでる2・7において北海道心の教育推進会議が主催する表記研修会が開催され、門外漢ながら勧められたので参加した。
 今回の研修会のテーマは「子どもの人権を考える~学校・家庭・地域でできること~」と題して、講演とワークショップからなる二部構成だった。
 参加者のほとんどは人権擁護委員をされている方や学校の教員などであった。
 
 講演は筑波大名誉教授で(公財)人権教育啓発推進センターの上級特別研究員である福田弘氏「子どもの人権といじめ問題」と題されて講演された。
 福田氏は、世界が戦争によって著しく“人権”がないがしろにされたという事実の上に立って各種の宣言、条約(世界人権宣言、子どもの権利宣言、人種差別撤廃条約、女性差別撤廃条約、etc.)、発布、発効され、それに日本も追随していった歴史をまとめられた。
 つまり人間の“人権”が声高に語られ始めてせいぜい60~70年程度しか経っていないということに改めて気づかされた。
 その“人権”が、世界において、そして日本でもないがしろにされる状況が生まれつつあることに危機感を募らせたのが印象的だった。

 福田氏の話は、子どもの人権、そしていじめの問題に論及していった。
 子どもの人権は今さまざまな社会的な状況の中で危機的状況にあり、そのことが起因となっていじめが蔓延する状況にあり、さらに多様化・陰湿化の一途を辿っているとした。だからこそ「人権教育」の重要性があると述べられた。
 そして人権教育の指導原理は、自分で「考え、感じ、行動する」という主体的で実践的な学習が不可欠であるとした。

               

 続いてのワークショップが興味深かった。私は、石狩市から参加された二人の人権擁護委員の方と話し合いを持った。お二人ともに、年間を通じて各学校を回って人権教育を進められている方で、非常に問題意識の高い方だった。
 そして、教育現場で直接子どもたちと接触するからこその悩みも抱えられているようだった。そうした方々に対してコメンテーターとして道教育大札幌校の平野直己准教授のアドバイスが私にはとても説得力あるアドバイスとして聞こえてきた。
 曰く「判断する大人になるな」
 曰く「割り切れない思い、モヤモヤする思いを共に悩み、抱える大人でいたい」
 曰く「子ども同士が仲良くできないことがあっても、いかに排除せず、共に生きていく方法を考え続けることを、考えていくことが大切だと諭したい」
 曰く「人は、迷惑をかけたり、迷惑を受けたりせずに生きていくことができないものだとしたら、どう皆で生きていく工夫をしていくかを考えることでもあります」

 今、世界的に民族を排除したり、“人権”を制限したりしようとする動きが顕著になってきている。そのことに私たちの思考や言動は影響されていないだろうか? そして、子どものいじめがそうした世相にも敏感に反応しているとしたら恐ろしいことである。
 「先ず、隗より始めよ」という言葉を思い出した…。