田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

ふくしまの今を知りたいと思ったが…

2017-12-10 16:04:39 | 講演・講義・フォーラム等
 講演や講座の講師を依頼した際、主催する側が思い描いていたような内容であれば主催した側としては意味があるのだが、もし思惑と違っていた場合は思わぬ臍を噛む結果となってしまう。今回の場合もその一例のような気がするのだが…。 

 12月6日(水)午後、道立消費生活センターにおいて12月の「くらしのセミナー」が開催された。
 今回のテーマが「ふくしまからはじめよう『ふくしまの今を語る人』」というテーマに興味をもったので受講を決めた。
 テーマを見たとき、2011年3月11日のあの大震災から間もなく7年、特に原発被害に泣かされた福島は今どうなっているのだろう、その現状を少しでも知りたいと思い、福島の方から直接聞いてみたいと思ったのだ。
 
 講師は、福島で米作を営む伊藤俊彦氏という方だった。伊藤氏は米作農家というよりも農業を企業化してジェイ・ラップKKという会社を経営する社長という肩書の方だった。
 外見も農家のおやじさんというよりは、オーナー経営者といった感じの60歳のナイスシニアである。
 講師は、福島県の産物に原発の影響はもはやないことを全国にPRする県外派遣事業の一環として派遣された方のようだった。

               

 伊藤氏の話は難しい放射能の話から入っていった。曰く「生物の放射線に対する感受性は動物が最も耐性がなく、植物は耐性がある生物である」とか、チェルノブイリにおいて原発事故後70年間の推移を見ると、「事故後1~2ヵ月の間に70年間の40%の被爆線量が放出される」(この部分は私が分かった部分)等々、延々と放射能についてのいわば専門的な話が続いた。
 伊藤氏にとっては、生業である米に放射能が与える影響について、真剣に学んだのであろうことは容易に想像がつく。しかし、それはにわか仕込みの知識であり、生煮えの感は否めない。その知識を延々と聞かされる私には辛さしか感ずることができなかった。

 受講者は主婦層と私のようなシニア世代ばかりである。
 私が聞きたかったのは、福島の被災者たちがいかなる被害を被ったのか? そしてそこからどのようにして再起を図ったのか? そして今福島の人は、福島の産品は? といった話を聞きたかった。
 もちろん話が情緒的に流されることは避けなければならないが…。

               
 
 伊藤氏の話の後半は、氏の会社が福島だけではなく、遠くヴェトナムまで進出して米作をしていることを誇らしげに話された。

 果たして主催された道立消費生活センターは、今回のセミナーを成功と位置付けるのだろうか? まあ、私ほどの思いはないにせよ、思惑との違いを感じられたのではないだろうか?
 数多く講演や講座を受けていると、こうしたケースにあたることもままあることである。