田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

北海道の海を探る

2016-06-17 18:31:11 | 講演・講義・フォーラム等
 “探る”とは正しい言い方ではないかもしれない。正しくは“調査”と称する方がイメージ的には正しい。北海道の水産試験場が所有する三隻の調査船で北海道海域全体の調査を実施して解明したことについて講義を受けた。

          
          ※ 道の水産試験場が保有する試験調査船の一つ「北辰丸」です。

 今日(6月17日)のお昼、道立総合研究機構(道総研)が主催する「ランチタイムセミナー『おひるの科学』」が道庁1階ロビーで開催され受講した。
 今回は道総研の水産研究本部が担当して「北海道の海を調査しています!」と題して、研究主幹の奥村裕弥氏が講義した。

 北海道の海を調査するために、道内の水産試験場は現在三隻の試験調査船を保有しているという。稚内水産試験場に「北洋丸」、釧路水産試験場に「北辰丸」、函館水産試験場に「金星丸」がそれぞれ配置されているとのことだ。
 
 それらの試験調査船がそれぞれ海域を分担し、およそ2ヶ月に1度の割り合いで調査を継続している。
 その調査の内容は大きく二つに分けられるが、一つは「海洋観測」である。これは中長期的な海況の変化を観測したり、深さ方向の水温やプランクトンの状況を観測したりすることだという。
 もう一つの調査が「魚種調査」である。これは魚の資源を管理したり、魚の生態を調べたりすることだそうだ。

          
          ※ 講義をする研究主幹の奥村裕弥氏です。

 「海洋観測」の説明の中で、新しい知見を得ることができた。それは南から北上する対馬暖流が、津軽海峡のところで一部が分かれて津軽海峡内に流れ込むのを「津軽暖流」と称するそうだ。また、さらに北上して宗谷海峡からオホーツク海に流れ込む海流を「宗谷暖流」と称する、ということを初めて知った。
 さらに対馬暖流には次のような特徴があることもはじめて知ることができた。それは(1)流れは海底を感じて、地形に沿って流れる。(2)岸に近いところでは、岸に捕まってしまう。(3)夏に流れが強く、冬は弱い。その割合は2対1ほどの違いがある。

 今回の講義で私が理解できたのは、表層面においては対馬暖流やオホーツク海の流氷の影響を受けて、塩分濃度や水温に季節の違いが出てきたり、温暖化の影響も見られるとのことだった。
 一方、水深が250mを超える海面下では塩分も水温も一年を通して安定しているとのことだった。

               
               ※ 試験調査船が採集したプランクトンのオキアミです。

 さらに私が注目したのは、近年の調査で釧路沖に暖水塊が常駐しているとの話に興味を覚えた。というのも、釧路港といえば往時は永らく水揚げ全国一を誇っていたが、最近の凋落ぶりは著しい。その原因はイワシの資源量が激減したことによるのだが、その原因の一つが暖水塊にあるのではないか、と私は思ったのだが…。

 理系ものに弱い私であるが、道総研の「おひるの科学」は講義する方が噛み砕いて説明してくれるからか、私にも理解できるところが嬉しい。これからも定期的に開催されるようなので、できるかぎり足を運びたいと思っている。