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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

木質バイオマスの可能性

2013-10-17 20:41:09 | 講演・講義・フォーラム等
 木質バイオマスは資源として相当な優等生であるらしい。らしいとしか表現できないところが素人の悲しさであるが、木質バイオマスの研究家からその素晴らしい可能性について話をうかがった。 

 「バイオマス」とは、いろいろな定義があるようであるが、ここでは「生物由来の資源」と定義して話を進めることにする。そして「木質バイオマス」とは、木材からつくられる再生利用が可能なエネルギー源を指すことはご存じのとおりである。
 その木質バイオマスが資源としてはバイオマスの中でも最大の蓄積量(地球上の森林資源)を誇るという話なのである。

 10月12日(土)午後、北大博物館の土曜市民セミナーに参加した。テーマは「木質バイオマスの総合利用とその今日的意義」と題して、北大大学院農学部講師の幸田圭一氏が務められた。

          

 バイオマスの資源としての優位性は、エネルギー資源としても、工業資源としても活用できる点にある。バイオマスと同じように両方の資源として活用できるのは他には化石資源しかないということだ。
 そして前述したようにそのバイオマスの中でも「木質バイオマス」は地球上に相当量の蓄積があるという優位性がある。さらに木質バイオマスを活用した場合は化石資源と違って、カーボンニュートラルの考え方から環境に負荷を与えないという利点がある。但し、化石資源と比較した場合に液体で移動が可能な化石資源に対して、バイオマス資源は固体での移動となる点が一つの隘路ということである。

 講座の中で「資源のカスケード利用」という言葉を聞いた。
 カスケード(cascade)とは、「階段状に水の落ちる滝」という意味から、「カスケード利用」とは、資源を価値の高いレベルから活用し、だんだんと低いレベル段階においても有効活用を図ることだそうだ。つまり資源を1回だけで使い切るという考えではなく、使って性質が変わったものも資源として考えたり、使う際に出る廃棄物を別の用途に使用したり、使用の後も更に別の用途に使用する、というように資源を極限まで有効活用するという考え方である。
 例えば、木質バイオマスの場合、森林の樹木を伐採した後、住宅や木製家具などに利用し、その残渣やその後の廃棄物を粉砕し木質ボードや紙・パルプ原料に利用する。さらには、活用を終えたものを最後には燃料に利用するなどといったことが考えられる。

 一見、いいことづくめのような「木質バイオマス」であるが、前述したように輸送のコストがかかるとか、資源が豊富であるとは言っても地球上に広く分布していて、それらを化石資源の代替として考えるにはあまりにも効率が悪いという問題があるということである。

 現状においては化石資源と比較すると、その収集にコストがかかり過ぎ、経済的に見て化石資源の代替資源とはなり得ていないのが現状である。
 幸田氏は最後に強調した。
 「現在は資源として化石資源には太刀打ちできないが、やがて枯渇すると云われている化石資源である。その時には必ずやバイオマス資源に脚光が当たるはずである。その時のためにも木質バイオマスの研究をし続けることが重要である」とした。

 木質バイオマス資源(エネルギー)は、再生可能エネルギーのエースとして、また 木質バイオマス資源(エネルギー)は、再生可能エネルギーのエースとしてカーボンニュートラルなエネルギーとして、その注目度は高い。
 さらなる研究の進展によって、化石資源(エネルギー)に一日も早く取って代わる日が来ることを期待したい。