田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

映画 106 田んぼ de ミュージカル 続編3部作

2013-10-19 22:24:37 | 映画観賞・感想

 「田んぼ de ミュージカル」で自信を得た穂別町のお年寄りたちは、「田んぼ de ファッションショー」、「いい爺ライダー」、「赤い夕陽の爺julie」と次々と映画を創っていった。それらを私は今回一挙に4本全てを観たのだった。

          
          ※ 上映会が行われレンガの館ホールです。レンガの壁がツタの葉に包まれてしまっています。

 第二作「田んぼ de ファッションショー」(2005年制作 40分)は、第一作の「田んぼ de ミュージカル」とは趣きをガラッと変えたドキュメンタリータッチの作品だった。「穂別の田んぼの中でお年寄り向きのファッションショーを行おう!」というコンセプトを基に、札幌のアパレルメーカーとコラボして、実際にファッションショーを開くまでの経緯を追い続けるというドキュメンタリータッチのもので、お芝居的要素が少ないために不自然さを感じない映画に仕上がった。

                      

 第三作の「いい爺ライダー」(2008年制作 55分)は、その題名がふるっている。あのピーター・フォンダ主演の「イージーライダー」をもじった題名であることは言うまでもない。本編と同じようにバイクは出てくるが、ヒッピーとは何の関係もない町村合併を巡る問題をパロディタッチで描き上げた作品である。穂別町はこの映画ができる2年前の2006年に隣の鵡川町と合併し「むかわ町」となっている。合併を巡ってはいろいろと論議があったのではないだろうか?そんなシリアスな話題をパロディとして取り上げているところにお年寄りたちの懐の深さをみる。
 お爺ちゃんたちがジージャンを羽織り、メットにサングラスでバイクを乗り回すところがなかなかサマになっていた。

          

 第四作の「赤い夕陽の爺yulri」(2011年制作 60分)となると、ヒントはおそらくマカロニウェスタンとして一世を風靡したイタリア映画の「夕陽のガンマン」あたりが思い浮かんだのではないだろうか。それに小林旭主演の「赤い夕陽の渡り鳥」が加わり、「爺」を入れるために沢田研二の愛称だった「ジュリー」をもじったのではないかと思われる。ここまでくると題名の付け方も秀逸というか、醜悪というか…。
 映画は戦後間もない頃の穂別の村づくりの苦労を西部劇仕立てにし、酒場のシーンや火事、拳銃の打ち合いなどもあり本格的です。しかし、そこここに笑いがあり、見ていて微笑ましくなる作品だった。

          

 この日は、二作目と三作目の間に、全四作の脚本を担当された斉藤征義さんのトークショーが間に入った。斉藤さんが語るには、映画づくりをすることで何よりお年寄りたちが元気になったことが一番だという。マチづくりも何もない。いかに楽しく生きて、死ぬかが問題だと…。「生ききる」ことが大切なんじゃないか、と斉藤さんは語った。
 これが最後といいながら4本も作ってしまったが、今度は本当に最後の映画として第五作の制作の準備を進めているそうだ。(題名は「紅い花白い花 咲き乱れ」という題らしいです)

          
          ※ 約30分、映画制作にまつわるあれこれを話してくれた斉藤征義さんです。

 地域においてお年寄りが元気だということは、マチ全体に活気が漲ることに繋がることではないだろうか。お年寄りが元気だというむかわ町穂別地区を訪れてみたくなった。