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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

そらちフットパスウォーク 16 新十津川町 後編

2013-10-24 16:21:12 | フットパスウォーク & トレッキング
 新十津川縦断ルート

 夕暮れが近づいていた。しかし先は長い。ルートは来た道を折り返し、新十津川町市街地を縦断するようにして「ふるさと公園」とは正反対の方向にある新十津川唯一の酒造会社「金滴酒造」を目ざした。 

 「ふるさと公園」を後にし、来た道をそっくり折り返すコースである。これが辛い。同じ景色をもう一度見ながら歩かねばならないのだ。初めて訪れた者としては、できるだけ
たくさんのその街の表情を見てみたいのだ。新十津川のルートは残念ながら後半にも折り返しのルートが用意されていた。マチの構造上いたしかたないとはいえ少々残念である。

 私は近づく夕暮れに背中を押されるように少し急ぎ足になりながらも淡々と歩いた。そんな中で唯一レポートするとすれば、行きの道で目にした大豆を収穫するコンバインのところで、コンバインを操作する方の奥さんに出会ったことだ。
 コンバインで刈り取り、脱穀した大豆を運搬用にトラックに移し替えるために、奥さんがトラックを畑のところに用意していたのだ。私は奥さんに声をかけた。
「今の収穫作業は一人で出来ちゃうんですね」と…。すると奥さんは「今収穫している大豆は小さい粒なのでいいんですが、大きな黒大豆の場合などはそうはいきません」という、豆が割れてしまうことがあるそうだ。詳しくは聞けなかったが、大粒の大豆の場合はコンバインにもう一人乗って、細かな操作をしなければならないということのようだった。
「今年の出来はいかがですか?」と問うたところ「まだ分からない」という。それは、これから大豆を乾燥させ、集荷施設に運び込んで審査(検査)を受けて、等級が判定されて初めて今年の収穫の良し悪しがきまるということだった。

          
          ※ 前編で掲載した写真を再び登場させました。

 それ以外は市街地中心部まで約4㎞を黙々と歩いた。市街地近くになって「新十津川中学校」があった。こちらの方面をウォークしていて感ずるのは、敷地が豊富に取れるためか、どこの町の中学校もグランドが広々としていることだった。

          
          ※ 広々とした新十津川中学校のグランドは高校のグランドを思わせます。

 市街地に入って気付いたことが一つあった。街路灯をよく見ると、その一つ一つに「新十津川物語」という表示がされていたのだ。新十津川の人たちが川村たかし著の「新十津川物語」に対して強い思いを抱いていることをうかがい知れた。

          
          ※ ご覧のように街路灯には「新十津川物語」の文字と、主人公「さき」の像が描かれています。

 ルートはその昔よく通った国道275号線に導かれ、これもよく渡った「新十津川橋」を初めて歩いて渡った。橋が架かる「徳富川(とっぷがわ)」は石狩川の支流だが思い他流れの豊かな川だった。

          
          ※ 車では何度も渡った橋ですが、今回初めて歩いて渡りました。

          
          ※ 「徳富川」の意外に豊かな流れです。

 徳富川を渡り、しばらく行くと石狩川の近くに歴史のありそうな(明治39年創業)レンガ造りの「金滴酒造」があった。時計はすでに午後4時近くになっていたので、中は見られないだろうと思っていたのだが、商品が陳列してある売店は開いていた。
 売店に入ったからには何か購入せねばなるまい。アルコールが嫌いな方ではない私だが、日本酒は普段からまったく嗜まないので分からない。展示してある小さなおしゃれそうな瓶に目を付けた。青色の瓶も、「新十津川」というネーミングもいいではないか。すると、それは「蔵元限定販売」で他では販売していない酒だという。ラベルには「蔵元限定販売 特別本醸造 生詰原酒 新十津川」と印刷されていた。500mlで1,000円は安いのか?高いのか?
 帰宅してから味わってみたが、正直言って私の口にはあまり合わなかった。(どの日本酒も同じなのだが…)

          
          ※ 歴史を感じさせてくれる「金滴酒造」株式会社の建物正面です。

               
               ※ 売店で購入した「蔵元限定販売 特別本醸造 生詰原酒 新十津川」です。

 「金滴酒造」の直ぐ前にある石狩川堤防をよじ登り、対岸の滝川市を望む風景を写真に一枚撮り、ゴールへ向けて再び来た道を折り返した。
 ルートは「新十津川橋」を渡り、徳富川河畔の遊歩道に導かれる。時計を見ると午後4時を回っていた。遊歩道には私の影が長く伸び、秋も深まり落日の早さを実感させてくれた。

          
          ※ 川向うはもう滝川市の住宅街です。

          
          ※ 堤防上に長~く伸びた私の影です。

 ルート上にあった「出雲神社」、「開拓記念館」、「新十津川農業高校」、「新十津川役場」をカメラに収めながら日没前になんとか「新十津川駅」に着いた。ゴールをしたとき、私の時計は午後4時25分を指していた。

          
          ※ 新十津川の鎮守(?)の「出雲神社」です。

          
          ※ 時間が遅く入館がかなわなかった「開拓記念館」です。

          
      ※ 小中学校が比較的郊外にあるのに、「新十津川農業高校」は中心街に位置していました。歴史の違いかな?

          
          ※ 街の中心に位置していた「新十津川町役場」です。

 「新十津川駅」に着き、「JR札沼線(学園都市線)」の終着駅ということで、列車止めの設備があるだろうと思い、線路に出たところなんと駅舎から200m近くも離れていた。疲れきった私にはこの距離さえも長く感じられたがしっかりとカメラに収めてきた。

          
          ※ JR札沼線(学園都市線)の線路の列車止めです。

 コース上に二か所も往復するルートがあり、そこは若干不満であったが、見どころが多い新十津川のフットパルートだった。と同時に、奈良県十津川村から集団で移住し、ここまで豊かな農村に育て上げた先人の素晴らしさとご苦労を偲ぶフットパスでもあった。

《フットバスウォーク実施日 ‘13/10/19 距離 約12.8㎞》