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田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

Greenerフォーラム 後編

2011-01-24 12:27:36 | 講演・講義・フォーラム等
 Greenerフォーラムの後半は旭山動物園園長の坂東元氏の講演だった。氏の話を聴くのは昨年末に続いて2回目であるが、一度目の印象とは違い氏の動物に対するゆるぎない信念を見た思いがした…。


          
          ※ フォーラムのポスターを再登場させました。

 昨年末の坂東氏の話は、テレビディレクターが坂東氏の話を引き出す形で進められたので、旭山動物園の名声を高めた創意工夫した点や今後の方向性についての話だった。 だから私は動物園長として園を経営する立場の坂東氏に対して若干の危惧する点を指摘した。(そのときのブログはこちら

 今回は坂東氏にとって動物園本来の在り方を訴えるという、氏にとってあるいは得意とする分野の話だったような気がする。
 氏は人間が進める地球温暖化阻止の視点とは別に、動物の視点からいろいろと問題提起された。
 まず動物園の原点は、生命観を養う、相手を知る、思いやる点にあると言う。そのためにワンポイントガイドという方法を思いついたと…。
 旭山動物園の代名詞ともいえる「行動展示」は、お客さまのためというより動物が生き生きとする彼らの故郷の環境に近い形を再現しようと努めた結果であるとした。

        
        ※ 大変な早口で講演する坂東氏です。

 氏は一時話題となったレッサーパンダの風太くんを引き合いに出し、動物を「かわいい」という視点でしか見ない人間に警鐘を鳴らした。
 「かわいい」から野生動物の本質・共存の道は見えてこないと…。
 芸を仕込まれた動物たちを見て、人間は「かわいい」とか「素晴らしい!」と喜ぶが、それは人間の都合の良い動物への接し方でしかない。
 干渉しないで、そっと見守る愛し方があるはずだし、旭山動物園はあくまでそうした方法を追求したい。

 その上で、氏は生物界の食物連鎖について触れ、命を終わらせる仕組みの中で、命が溢れているのが「自然」であるとし、愛護と保全は違うものと主張した。
 また、人間が絶滅させた北海道のオオカミ、現在増え続けるエゾシカを引き合いに出し、ヒトは共有できない占有したがる動物だと、人間社会を痛烈に批判した。

 そして「エコは、たくさんの命を繋ぎ続ける未来のためのはず…」と話した。このことは人間だけが生き延びるための地球温暖化阻止ではなく、全ての生き物が生き延びるための地球温暖化阻止の視点を忘れないでほしいという坂東氏のメッセージであると私は受け止めた。

 最後に、「動物園は娯楽のためにあるのではない。『知る』ことからできることを極めていきたい」と締めくくった。

 今回の講演で坂東氏の動物に対する、動物園に対する揺るぎない信念を垣間見たような気がした。旭山動物園の入園者数が例え多少の減少傾向にあったとしても、揺るぎない信念をもちながら理想の動物園づくりに邁進していただきたいと思った。