FAMILY DANCING
1983年 デイヴィッド・レーヴィット
ふんだんに調味料を使ってこってりの味付けにした料理みたい…
胃もたれがしてます。
発売された当時は絶賛されているし、O.ヘンリー賞もとっているだけあって
文章は悪くないんだし、静かなタッチの筆運びも好きです。
どちらかと言えば、家庭内の小さな事件や他人にわかりづらい不幸を描いた話しは
キライじゃない、むしろ大好物なんですが…
この本はちょっと盛り込み過ぎなのよぅ。
9篇入った短篇集で、けっして長くはないひとつひとつの話し、つまり一家族の物語に
こんなにもイヤ~な思いがたくさんつまっていていいのだろうか?
イライラする会話、夫の身勝手な言い分、わかったようなことを言う子供…
あー! キーッとしてきちゃう。
完全に崩壊した家庭の惨状をバイオレンスフルに書いてくれたほうが
気分的にはスッキリするんじゃないかな? 私は読まないと思うけど…
比較的好きだったお話しを…
『失われた別荘』
マークの両親リディアとアレックスは、アレックスの浮気が原因で離婚しました。
しかし、今年も毎年恒例の別荘での休暇に、家族全員が集まるように言われました。
滞在中、アレックスはことさら明るく振る舞い、リディアは張りつめています。
マークの兄ダグラス、姉エレンは二人の扱いに手を焼きます。
『犠牲者』
ダニーと母親のエレインが伯父ニックの家に来てから2ヶ月になります。
エレインは父アレンが家を出たあと、心ここにあらずの毎日を送っています。
ダニーはこの家に来てから、わがままを通すためにヒステリーを起こすようになりました。
ニックとキャロルの夫妻はこっそりアレンを呼んでエレインと話し合わせようとしました。
『巣立ち』
グレッチェン、カローラ、ジルの三姉妹は、父親の遺品の整理のために集まりました。
その家は父の再婚相手の家で、三人にはなんの思い入れもありません。
グレッチェンの夫レナードは三姉妹があまりによそよそしいと思います。
他の姉妹に一番怒りを感じているのはカローラのようです。
さら~と書いてしまいました。
上二篇は浮気と離婚がメイン、最後の一篇は姉妹の確執がメインなんですけど…
テーマそのものが不幸である、と言っているわけではなくて
書いているうちに不幸が上積みされちゃってるような状態になってるんです。
主人公は圧し潰されちゃう。
例えば離婚なんて、見方によっちゃハッピーにとらえることだってできるんだけど
登場人物はどよーんと沈んじゃってまわりを巻き込んでます。
さらに、不治の病、精神の病、反抗する子供たち、などが随所に盛り込まれて
読んでるだけで気が滅入ってきます。
で、最大のポイントが、同性愛についてなのね。
作者はゲイで、もちろん経験を盛り込んでいるんだと思います。
しかし、一話目の『テリトリー』は同性愛がテーマだからいいとして
ほぼ全ての話で、気の重い家族にさらにワンポイント…ってな感じで
あんまり本筋と関係ないエピソードが入れられてます。
最後の方は「またそれ?」と飽きてしまいました。
自分の人生や嗜好を作品に反映するのはぜんぜんかまわないんだけど
あんまりそればかり書かれてもなぁ…
同性愛者の方々はこんな扱われ方で共感できるんだろうか?
当時のアメリカ文壇では若者の無気力さがクローズアップされていたようでして
そう言われれば、各物語の主人公たちの受け身でローテンションな有様は
時代にフィットしていたのかもしれません。
それが作者が絶賛を受けた要因のひとつとも考えられます。
生意気を言わせていただければ、テーマを1話につき1~2個ぐらいに絞ってくれれば
もう少し読みやすかったんですけどね。
1983年 デイヴィッド・レーヴィット
ふんだんに調味料を使ってこってりの味付けにした料理みたい…
胃もたれがしてます。
発売された当時は絶賛されているし、O.ヘンリー賞もとっているだけあって
文章は悪くないんだし、静かなタッチの筆運びも好きです。
どちらかと言えば、家庭内の小さな事件や他人にわかりづらい不幸を描いた話しは
キライじゃない、むしろ大好物なんですが…
この本はちょっと盛り込み過ぎなのよぅ。
9篇入った短篇集で、けっして長くはないひとつひとつの話し、つまり一家族の物語に
こんなにもイヤ~な思いがたくさんつまっていていいのだろうか?
イライラする会話、夫の身勝手な言い分、わかったようなことを言う子供…
あー! キーッとしてきちゃう。
完全に崩壊した家庭の惨状をバイオレンスフルに書いてくれたほうが
気分的にはスッキリするんじゃないかな? 私は読まないと思うけど…
比較的好きだったお話しを…
『失われた別荘』
マークの両親リディアとアレックスは、アレックスの浮気が原因で離婚しました。
しかし、今年も毎年恒例の別荘での休暇に、家族全員が集まるように言われました。
滞在中、アレックスはことさら明るく振る舞い、リディアは張りつめています。
マークの兄ダグラス、姉エレンは二人の扱いに手を焼きます。
『犠牲者』
ダニーと母親のエレインが伯父ニックの家に来てから2ヶ月になります。
エレインは父アレンが家を出たあと、心ここにあらずの毎日を送っています。
ダニーはこの家に来てから、わがままを通すためにヒステリーを起こすようになりました。
ニックとキャロルの夫妻はこっそりアレンを呼んでエレインと話し合わせようとしました。
『巣立ち』
グレッチェン、カローラ、ジルの三姉妹は、父親の遺品の整理のために集まりました。
その家は父の再婚相手の家で、三人にはなんの思い入れもありません。
グレッチェンの夫レナードは三姉妹があまりによそよそしいと思います。
他の姉妹に一番怒りを感じているのはカローラのようです。
さら~と書いてしまいました。
上二篇は浮気と離婚がメイン、最後の一篇は姉妹の確執がメインなんですけど…
テーマそのものが不幸である、と言っているわけではなくて
書いているうちに不幸が上積みされちゃってるような状態になってるんです。
主人公は圧し潰されちゃう。
例えば離婚なんて、見方によっちゃハッピーにとらえることだってできるんだけど
登場人物はどよーんと沈んじゃってまわりを巻き込んでます。
さらに、不治の病、精神の病、反抗する子供たち、などが随所に盛り込まれて
読んでるだけで気が滅入ってきます。
で、最大のポイントが、同性愛についてなのね。
作者はゲイで、もちろん経験を盛り込んでいるんだと思います。
しかし、一話目の『テリトリー』は同性愛がテーマだからいいとして
ほぼ全ての話で、気の重い家族にさらにワンポイント…ってな感じで
あんまり本筋と関係ないエピソードが入れられてます。
最後の方は「またそれ?」と飽きてしまいました。
自分の人生や嗜好を作品に反映するのはぜんぜんかまわないんだけど
あんまりそればかり書かれてもなぁ…
同性愛者の方々はこんな扱われ方で共感できるんだろうか?
当時のアメリカ文壇では若者の無気力さがクローズアップされていたようでして
そう言われれば、各物語の主人公たちの受け身でローテンションな有様は
時代にフィットしていたのかもしれません。
それが作者が絶賛を受けた要因のひとつとも考えられます。
生意気を言わせていただければ、テーマを1話につき1~2個ぐらいに絞ってくれれば
もう少し読みやすかったんですけどね。