まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
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『乾し草小屋の恋』恋心の先にあるものは…

2009-04-30 00:35:57 | イギリス・アイルランドの作家
LOVE AMONG THE HAYSTACKS 
デイヴィッド・ハーバート・ロレンス

寡黙で不器用な恋の物語4篇が収められた短篇集です。
素朴で無邪気なようにみえて、男と女がお互いを求め合うという本能が
そこかしこに漂っているあたり、ロレンスらしい1冊だと思います。

『春の陰翳(The Shades of Spring)/1914年』
都会へ出て結婚した後も、田舎でぞっこんだったヒルダに手紙や本を送り続けていた
サイソンは久しぶりに彼女に会いに来て彼女が工場の番人と結婚したことを知りました。
ふたりの会話はいつしか過去へと遡っていきます。

女性の方だっていつまでも男性のノスタルジーの対象になってるわけには
いかないですからね。
たぶん、今も昔も女性の方が現実的に生きてます。

『乾し草小屋の恋(Love Among the Haystacks)/1913年』
内気で神経質なジェフリーは、恋しい女性パウラが
陽気な弟モーリスに惹かれていると知ってムシャクシャした1日を過ごします。
その夜、ジェフリーは乾し草小屋で寝ずの番をするモーリスを手伝いに行きますが
そこにはパウラが一緒にいました。
ジェフリーが物置小屋で横になっていると夫にはぐれた浮浪者の女が忍んできます。

晩生だった兄弟がそれぞれの恋を見つけた一夜の話です。
降って湧いたような恋なのですが、恋に落ちるのに時間は不要ということですね。

『桜草の道(The Primrose Path)/1912年』
ダニエルは、一家の鼻つまみ者で妻を捨てて女とオーストラリアへ逃げたサットン叔父に
ロンドンで会います。 叔父はタクシーの運転手をしていました。
ダニエルは誘われるままに瀕死の最初の妻を見舞う叔父について行き
続いて、新しい女が暮らす家を訪れます。 相手は繊細そうな若い女性でした。

男の魅力ってなんでしょう?
サットン叔父は横暴で分別なしの無頼漢にしか思えませんが…
アウトローというと魅力的に響きますね、たしかに。

『牧師の娘たち(Daughters of the Vicer')/1914年』
気位が高い牧師リンドリー家の娘たちは上品に、村人から疎外されて成長します。
姉メアリーは人として愛するに値しない牧師と結婚して気が滅入る毎日を送り
妹ルイーザは愛に生きようと炭坑夫の青年デュラントに近づいていきます。
デュラントはリンドリー家に求婚に行くことになりました。

前々から思っていたのですけど、牧師ってそんなに偉いんかい?
ロレンスもハーディーも、オースティンでも田舎の上流階級には牧師が君臨してるけど
聖職者がこんなに差別主義者でいいのでしょうか?

ちなみに、ここでもロレンスお得意の炭坑夫がからだを洗うシーンが登場します。
ロレンスってもしかして…? と思いましたが、熱烈な恋愛をしたようだし。
モームにおける船旅、オースティンにおけるおしゃべりな老婦人のように
外せないアイテムなんですかね?

突然に訪れた恋に身を焦がすのと、静かに育んできた恋が花開くのと
どちらが幸せだろう? どちらがドラマチックでしょう?
って、どっちでもいいんだけどさ…今となっては

乾し草小屋の恋 福武書店


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