まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『ポールとヴィルジニー』エデンのふたり

2009-04-25 02:16:03 | フランスの作家
PAUL ET VIRGINIE 
1788年 ベルナルダン・ド・サン・ピエール

恋愛を語る場面で、かなりの頻度で引用されている『ポールとヴィルジニー』って
いったいどんななの? と思って読んでみました。
これは王道ですね 言わずもがなですが…

フランス島という植民地の片隅にある荒れ果てたふたつの小屋の前で
長い間島で暮らしている男性が哀しい思い出を語るところから物語が始まります。

隣り合うふたつの小屋には人目を忍ぶふたりの若い婦人が暮らしていました。
貴族に弄ばれて子を宿してしまったマルグリットと
駆落ち同然に国を捨ててきたのに夫に先立たれてしまった身重のラ・トゥール夫人です。

マルグリットにはポールという男の子が生まれ
ラ・トゥール夫人はヴィルジニーという女の子が生まれます。
母子たちと忠実な奴隷ドマングとマリーの6人は、美しい自然に囲まれた
楽園のような島で、慈しみ合いながら穏やかに暮らしていました。
ポールとヴィルジニーは小さな頃からお互いを愛するようになり
母親たちもいつかふたりが結ばれることを望んでいました。

お幸せそうでなによりですね。
でもこのまま終わってしまったら物語になりませんよね。

案の定ポールとヴィルジニーは離ればなれになってしまい、数年の月日が過ぎて
やっとふたりが再会できる日がやってきたというのにぃぃぃ…
という分かりやすい悲恋物語です。

エデンの園の外には恋人たちを惑わす様々なできごとが待ち受けているものですが
この物語ではあまりそういう場面はありません。
楽園を出たヴィルジニーの辛そうな様子が少し垣間見えますけれど
他の人々は彼女がいなくなってから明るさを失った地でひたすら彼女を待っています。

『ポールとヴィルジニー』では、恋人たちが愛を貫いて結ばれる寸前だっただけに
悲しみは一層募ります。

当時書籍を購入して読書の時間を持てるのはほとんどが裕福な人たちだったでしょうから
自分の叶えられなかった恋と重ねながら涙した女性も多かったのではないかしら?
「金のためにこんなじい様と結婚してしまって…」とか
「お父様にむりやりこの男と結婚させられて…」などと思いながら愛人を待つ…
って感じかな?

それ以外にも南の島という見知らぬ異国の地が舞台になっていたことも
当時の読者の心をくすぐったのではないかと思います。

このパターンの物語は遥か昔からあると思うのですが、時代にマッチした悲恋物語が
繰り返し繰り返し書かれるのもむべなるかな…と思います。
世の中は複雑になってきたけれど、愛し合う者たちの悲しい物語は、みんな好きだもの。
すぐ映画化されちゃうものねぇ… もういいっていうのに。

引き裂かれる要因としては、昔なら家柄が主流だったようですが今はなんでしょうね?
親の反対なんかたいしたことないし…やはり不治の病とかですか?

悲恋って若い人たちだけのものじゃないと思うんですが、主人公はやはり若者ばかりね。
それがちょっと気に入らない…ひがみですね。
あ~、そういえば『マディソン郡の橋』ってありましたね
読んだけど忘れてしまいました、つまんなくて。

ポールとヴィルジニー 新潮社


このアイテムの詳細を見る


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« スペイン女王 ファナ | トップ | スペイン王カルロス1世妃 イ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

フランスの作家」カテゴリの最新記事