まりっぺのお気楽読書

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『虚栄の市』世間を渡る鬼娘

2008-07-19 18:06:39 | イギリス・アイルランドの作家
VANITY FAIR 
1847~48年 ウィリアム・M・サッカリー

あの手この手で上流社会にのし上がる、身寄りのない貧しい娘の半生と
裕福な家が落ちぶれてしまい貧しい身の上になっても、愛する夫を信じ
何もかも受け入れて貞淑に暮らす娘の半生を、対比させながら進んで行く物語です。

レベッカ・シャープという女は、今で言うなら
デート商法のトップセールスレディというところでしょうか?
あらゆる人に取り入り、丸め込み、嘘をついて
力ずくで自分の望む物を手に入れていきます。
そのために親切にしてくれた人が破産しようと死のうと平気なのです。

女学校時代、たった一人自分に優しくしてくれたアミーリアの兄まで騙して
搾り取った挙げ句死に追いやります。

一方、アミーリア・セドリの方は、優しく慎ましいのが売り。
夫のジョージという人は、男気を見せて落ちぶれた彼女と結婚したものの
実は生活力のないどうしようもない男性でした。
遊び好きでレベッカにも言い寄る始末です。
最後にはちょっと勇気をみせて立派に戦死しますが。

彼女にはドビンという熱烈な信奉者がついていて、彼が常に彼女を見守り
陰ながら助けたおかげで、様々な危機を乗り切っていきます。
もちろん、彼女はそうとは知らずに…です。

そりゃあ、アミーリアが幸せになって、レベッカがとことん不幸になりゃ
万々歳というところですが、それじゃあねぇ…という結末です。

それにしても長いのよ
この当時イギリスでは、“1ページいくら” というふうに新聞社が小説を買っていて
作家はむりくりエピソードを入れ込んだらしいけど
確かにどうでもいい “ くだり ” が多々ありました。
しかし、ページを稼ぐために次々とエピソードを考えだせるっていうのも
スゴいことではありますね。

完全に大衆小説だと思います。
連載なので「次はどうなる?」とハラハラドキドキさせる展開に
ちょこちょこ盛り込まれる小ネタなど、読者を飽きさせないように必死です。

だから、長い物語ですが比較的だれずに面白く読み通すことができました。
心に残ることはありませんし、ためになる教訓もないと思います。
でも新聞を待ちこがれていた人々にとって、まさに娯楽! といえる偉大な物語だと思います。

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4冊のはずなんだけど・・・まぁいいか。

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