まりっぺのお気楽読書

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『エゴイスト』父権の大きさに驚く ( ̄. ̄;)

2008-09-26 23:17:54 | イギリス・アイルランドの作家
THE EGOIST 
1879年 ジョージ・メレディス

たぶん、喜劇なんですよ

内容はそこそこ面白いんだけど、なにしろ引用とか比喩とかラテン語とか
複雑な言い回しで書こうとしてるもんだから
「誰のこと言ってんの?」「何言ってんの?」っていう文章が多くてさぁ
も少しさっさと展開してほしかった。

それはさておき、
自らを人より抜きん出た賞賛と尊敬に値すると人物と思い、
人にもそれを期待する若き貴公子、サー・ウィロビー・パタンが
信じ難いことに、三人の女性に求婚して次々と拒否されるという物語。

最初の絶世の美女コンスタンシアは、結婚直前に家を出て他の男と結婚し
二人目の若く美しいクレアラは、婚約後ウィロビーの館に滞在するうちに
自由を望みだし、彼女を放そうとしない彼に憎しみまで抱き始めます。
最後の砦だったリチシアは、長年一途に愛してくれていると思ったのに
いざ求婚すると断固として拒みます。

では何故、容姿は良い、金と土地はある、貴族で家柄は良い、
ゆき届いた礼儀と物腰で社交界の人気者の彼が、次々とそんな目に
遭ったんでしょうか?

それは彼が、自分を崇めてくれる人たちの中でしか暮らしていけず
自分が所有する者たちには、彼への感謝と服従を要求する
“エゴイスト” だからでした。

ウィロビーの虚栄心への執念は凄まじく、まずはクレアラをつなぎ止めるために、そして
それがだめとなると、体面のためにリチシアと結婚しようと、あちこちで策を弄します。
結局はそれが彼の命取りになるんですけどね

しかし、父親の権威ってすごいもんです
クレアラもリチシアも父親が(ちなみにコンスタンシアは母親が)
いやがる娘の意志などそっちのけで、ウィロビーと結婚するようせまるんです。
クレアラのパパは、ウィロビーの館の心地よい書斎と
素晴らしいワインコレクションのそばに居たいため、
リチシアのパパは、みじめな境遇から抜け出て安泰な老後を送るため・・・
呆れるね
今となっては、少しぐらいはパパの権威って必要かもしれないけどね

ウィロビーは言うに及ばずですが、登場人物の誰も彼もが
大なり小なりエゴイストであることが分かります。
でも当たり前かも。
誰だって自分の思いどおりにしたいことって、少しはあるはずだもの。
それがぜんぜん無いなんて、人生じゃないもの。

エゴイスト〈上〉 岩波書店


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