まりっぺのお気楽読書

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『帰郷』田舎の美しさは分かるけど・・・

2008-09-26 22:08:42 | イギリス・アイルランドの作家
THE RETURN OF THE NATIVE 
1878年 トマス・ハーディ

里帰りしてないなぁ・・・
でも里に帰っても、別に風景は変わらないのよね
両親がいるだけで、あとは東京(神奈川)と一緒なんですよね。

しかし、『帰郷』の主人公クリム・ヨーブライトは故郷の自然や風景が忘れられず
華やかなパリも仕事も捨て英国の荒野の村に帰って来ます。

その頃村では、居酒屋の店主デーモンと、クリムの従妹でもあるトマシンの結婚が
話題になっていました。

デーモンには、実は愛し合った女性ユウステーシアがいました。
なんとなく不安を感じた、トマシンの後見人であるクリムの母は
一度二人の結婚に意義を申し立てます。

ユウステーシアもなんとか二人の結婚を阻止しようとしていましたが
クリムを見た瞬間から、彼と彼の後ろに控えるパリでの生活に惹かれてしまいます。

結局、クリムとユウステーシア、デーモンとトマシン、の二組は結婚しますが
ユウステーシアを諦めきれないデーモンと、
パリへは発たず村でつましい生活を続けようとするクリムに業を煮やしたユウステーシアが
再び不穏な行動をとるようになっていきます。

いまひとつ分からないのは、クリムの頑さです
たしかに、田舎は爽快だろうし、都市の煩わしさを忘れさせてくれるとはいえ
そこまで固執する意味がよく分かりません。

たいした産業もなく、従って働き口もありません。
もともと農業で食べていた人たちならいざ知らず
都会で商業を生業としていきてきた人たちが得られるような仕事はないのです。

だからクリムも、故郷に学校を作るという夢はおいといて
エニシダ刈りという労働で生活を支えようとします。

しかしユウステーシアは、自分が描いていた将来とあまりに違う境遇に
焦燥感と敗北感が募っていきます。

そうさなぁ・・・
エリートサラリーマンだと思ってたのに
いきなり脱サラして田畑を耕しだしたり、道を造り始めたら驚くね!
って感じでしょうか?

村の緑や、村を吹き抜ける風、大地に根ざした花々など
帰りたくなる要素があるのは分かります。
でも都会に住み慣れた人が、いきなりそんな環境に慣れるものでしょうか?
一週間ぐらいいたら飽き飽きしてくるんじゃない?

しかし、ハーディが自分の故郷をとても大切に思い
その自然を愛しているというのはとてもよく分かりました。

フローベールの『ボヴァリー夫人』と比較されることが多いというこの物語。
そうですね、似ているような気もします。
国と時代は違えど女性の(わがままでなく)向上心と探究心は変わらないのだ!

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2 コメント

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Unknown (まなまなかなかな)
2010-01-30 00:16:02
その頑さは、責任感や愛情の表れです。現在、日本でも帰って家と店を継いげば良いのに帰らない人は大勢います。
自分に託されたバトンは次の代に渡す責任があるのです。女性の向上心は知りませんが、愛情や責任感は無いといけないと思います。
返信する
そうですね (まりっぺ)
2010-01-30 17:36:48
まなまなかなかなさん、こんにちわ

そうですね。
愛情や責任感は必要ですよね。
それらを持っていて発揮できる故郷があるというのは、ある意味幸せなことかもしれませんね。

でも、そこに経済が成り立っていなくて、夢破れてきた人を何人か知っているものですから…つきあわされた嫁の嘆きも。
私はかなり嫁サイドからこの感想文を書いていますね。

もう少し公平に書けるといいのですが…
返信する

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