まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『分別と多感』世間は狭かったのだ

2009-01-28 22:17:33 | イギリス・アイルランドの作家
SENSE AND SENSIBILITY 
1811年 ジェーン・オースティン

訳者(真野明裕氏)によるところが大きいのかもしれませんが
他作と比べて、会話にあまりもってまわった感がなく、ちょっと現代風かな? と
思わないでもないですが、テンポがあって読みやすかったです。

オースティンの作品にでてくる登場人物はだいたい構成が決まっていますね?
知的で分別のある主人公女性と、寡黙だけど教養豊かな男性
(だいたい主人公の恋のお相手ですね オースティンの好みでしょうか?)
ハンサムだけど軽薄な男性、意地が悪い恋敵の女性、おバカな娘たち
思慮深い友人、おしゃべりな老人、退屈な婦人連、といったところでしょうか。

『分別と多感』でもお決まりの分かりやすい面々が顔をそろえているわけですが
相変わらず各人の性格描写が細かくて、それだけでも面白く読めてしまいました。

物語は、まさにオースティン型主人公ともいえるエリナと
彼女の妹で、感受性が強く熱烈な性格を持つマリアンの恋の成り行きを
対比させて進んでいきます。

デボンシャーで幸福だったマリアンはロンドンで深く傷つき
エリナは不安だらけの恋の成り行きを静かに受け入れようと努めます。

他の登場人物もオースティンン作品らしい以下の面々。
エリナに好意を寄せていると思われるのにハッキリ態度を示さないエドワード
マリアンをもてあそんだ浪費家の好青年ウィロビーに加え
慈愛に富んでいながら詮索好きなジェニングズ夫人や
嫉妬に燃えながら親友ぶってくるルーシィと姉のアン
エリナの良き相談相手ブランドン大佐、利己的な義兄夫婦などなど…

会いたい人だけでなく会いたくない人にもなぜだか会わずにおかない当時の事情
うざったいわぁ。

同じ時期に田舎で過ごし、同じシーズンをロンドンで迎える社交家たちは
だんごのようになって移動して、同じ顔ぶれで集まってばかりで飽きないか?
こういう中の上流、上流のサークルは、はいて捨てるほど存在したと思われますが
イギリスにおける(当時の)階級社会の根深さを感じましたね。

物語はオースティンらしく、幸せになるべき人たちは幸せになって
幸せになってほしくない人たちも(皮肉たっぷりですが)幸せになった様子が紹介されて
終わりを迎えます。

本当は不幸になってほしいなぁ、と思う人物も数人いるのですが
そんな凡庸なことを、オースティンが書くわけないですね

分別と多感 筑摩書房


このアイテムの詳細を見る

文庫にすれば良かった…

余談です
たぶん映画かドラマになったのでしょうが、この表紙、大嫌いなんですけど…

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« スコットランド女王 メアリー | トップ | フランス王ユーグ・カペー妃... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

イギリス・アイルランドの作家」カテゴリの最新記事