1924-1925年 谷崎 潤一郎
男性の方々は13歳年下の少女の言うことなら
なんでも聞けるものなんでしょうかっ?
読んでてイライラしちゃうくらい女に翻弄される主人公の河合。
これは特殊な例なのか、それともありがちなことなのか?
平凡な毎日を真面目に送っていたサラリーマンの河合は
カフェで女給をしているナオミに目を留め、引き取って教育することにします。
河合が甘やかしたためにすっかり贅沢と怠惰を覚えたナオミですが
二人が成る可くして深い関係になってからは、加速度的にわがままになり
男友達を引き入れたり、家事もせずにダンスホールに通ったりと奔放さが増していきます。
結局、何人もの男性と関係を持っていたことを知った河合がナオミを追い出すんですけど
その後が女々しいのよ~っ
探しまわったり、彼女の家を訪ねたり、果ては彼女と関係があった
男にまで電話をかけて、しつこくしつこく帰って来るよう伝えてくれと頼んだり。
ナオミが外人の男の家に行ったことを知った河合は、とうとう別れる決心を
しますが、なにかにかこつけてやって来るナオミの魅力には抗えず・・・
河合さん、もう、マンマとやられちゃってます。アチャー です。
ナオミの目的も手段もミエミエなのに、どうしても彼女には逆らえないんです。
これが“ 究極の愛 ”なのだろうか?
私は“ 過剰で満たされない恋心 ”と見ます。愛じゃないと思う。
だいたい15才の女の子を連れて来てさあ、
「ナオミちゃん、なんにもしなくていいんだよ」
「ナオミちゃん、好きなものは買ったら良いんだよ」
「ナオミちゃん、お風呂に入れてあげよう」
なんてやってて、思い描いていたような淑女に育つわけないじゃないか!!
男にチヤホヤされる女のことを、女が嫌うのは当たり前ですけど
男から見てもかなり下品な女に見えると思うんだけどなあ、ナオミ。
どんだけ魅力的な女だったんでしょうかね?
それならもっと大物をねらってみたらどうか?
若旦那とか社長とか議員とか・・・
その世界じゃあトップクラスの女性になれたかもしれません。
『マイ・フェア・レディ』や『光源氏』、ドストエフスキーの『白痴』などをはじめ
いい歳した男が “ 少女を教育する ”って物語は枚挙に暇がありませんけど
男のロマンなんでしょうか? それとも下心なんでしょうか?
謎ですわ
余談です
私は『痴人の愛』の西洋版が『ロリータ』だと勝手に思い込んでいたのですが
どうやら違うらしいんですよね。
『ロリータ』は買ってはいるんですけど、短編で読んだナボコフが
ものすごっく苦手で、結局読めずにいます いつかトライします。