まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『アドルフ』重い!重すぎる愛 (>_<;)

2008-10-20 22:52:34 | その他の国の作家
ADOLPHE 
1816年 バンジャマン・コンスタン

激しい愛は疲れるね・・・

作者が旅先で出会った男性の手記という形で紹介される
ある男女の愛のお話しですが、ほとんど甘い語らいはありません。

あるのは、嫉妬、憐憫、焦燥、諍い、絶望・・・
こんな思いするなら一人で平穏に暮らしたいわ と思っちゃうわ。

裕福で前途有望でいながら、厭世的で皮肉やのアドルフが「愛されたい」と思い
旅先で出会ったエレノールと激しい恋に落ちます。
エレノールはある伯爵に囲われている、国を追われた高貴な婦人でしたが
伯爵に尽くし、自分の境遇をおとしめないように努めている女性でした。

しかしアドルフと愛し合うようになると、子供も伯爵も捨ててアドルフを追いかけ
前途を保障してくれる全てをアドルフといたいがために断ります。

アドルフは、自由を望みながらもエレノールの幸福を奪ってしまったという自責の念から
彼女と離れられず、無為の日々を過ごし、断ち切られそうな未来を恨みます。

アドルフの思いは愛か? 同情か?
エレノールの思いは愛か? 執念か?

別れちゃえばいいのに~ って思う私は凡人です。
でも一緒にいたっていいことない二人に見えるんですもの。
お互いがお互いを、自分を縛りつけている、あるいは陥れた張本人だと思って暮らす毎日が
楽しいと思います?(でも夫婦なら多かれ少なかれそういうことってあるのよね)

作者は最後に、一方的にアドルフが悪いと結論づけています。
彼の“虚栄”と“弱さ”が一人の女を滅茶苦茶にしたと・・・

でもなぁ、エレノールも涙という女の武器をふんだんに使い
「死んでしまう」「生きていけない」って、離れないんだもんなぁ
少しでも姿が見えないと探しに来ちゃうのよ。
ちょっと重くないですかね?

作中、父の友人T男爵が諭すようにアドルフに言った
「恋人に “あなたなしでは生きていけない” と言わない女はいないし
 実際にそうした女もいない」
というのが少し納得で笑えました

余談
コンスタンはスイス出身ですが、ドイツに亡命してたみたいです。
逆の方がありそうだけどね・・・
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ピサロ展に行ってきました

2008-10-20 01:29:18 | もろもろ
日曜日、1週間ほど滞在していた主人のお母さんを見送りがてら
東京大丸でやっていたピサロ展を見に行きました。

印象派好きの私ですが、ピサロのような点描の絵はあまり・・・と
思ってたんですけど、目の前で見るとけっこう良かったですね

点描画はカミーユ・ピサロ後期の作品みたいで、息子のリュシアン・ピサロの方が
激しく点描でした。

しかしピサロは子だくさん!!
そして半数が画家になってます。
才能って遺伝するのか、環境がそうさせるのか分かりませんが
やはり親の影響って大きいんですね。

大丸のギャラリーはそのほどよい広さといい、すき具合といい
見やすくって心地良かったです。

ついでに・・・
          

お母さんのリクエストで、土曜日に巣鴨の地蔵通り商店街に
行ってまいりました。 いやはや・・・

赤い下着のある店、つくだに屋、そば屋、甘味屋の多さに加え
すぐ座れるように椅子が置いてあって、お年寄りにやさしいですね。
しかしあんなに長い商店街だとは思わなかった・・・疲れた
全部歩いたら結構いい運動になりますな。(私たちは途中で引き返しました)

とげぬき地蔵様もちゃんと洗ってきました。
御利益がありますように・・・
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『本町通り』開拓者の末裔たち

2008-10-20 00:52:03 | アメリカの作家
MAIN STREET 
1920年 ハリィ・シンクレア・ルイス

裕福な有閑夫人の悩み、といってしまえばそれまでなんですが
それだけではないような…

完全に自分の進む道と居場所を間違えてしまった女性、
妻になるべきではなかった女性、一時代早く生まれてしまった女性、
自分を過信しすぎる女性、口ばっかりの怠け者女性、
主人公のキャロルをどう考えたらいいんでしょう?

キャロルは都会の大学を出て、都会で働いてきた女性。
進歩的な考えを持って、自分の仕事は、美しく近代的な町を造ることだと考えます。

自分の考えを理解してくれそうな医者ウィルと結婚して
彼が暮らすゴーファー・プレアリィーに移り住んだキャロルは
その町並みにも、旧弊な考えを持つ町民にも幻滅します。

新しい事を始めようとするキャロルの試みは、ことごとく失敗し
いつしか彼女もけむたがられるようになってしまいます。

様々な事件を経て町を出た彼女ですが、2年のワシントン暮らしの末
町へ帰る決心をします。

おおまかにいえばこんな物語ですが、20世初頭のアメリカにおける
田舎町が本当にこんなものだったのか?
ちょっと信じ難いものがありますね

『大草原の小さな家』から50年あまり、都会はすでに発展著しいのに
ちょっと離れた田舎町が、こんなにも閉鎖的で旧態依然としているなんて

例えば、この物語に黒人やインディアンは出てこないんですが
スウェーデン人やドイツ人に対してかなりの差別意識があります。
それから、小さな町の中でも階級意識がしっかり根付いています。

自由を求めてアメリカに渡って来た人々が、後からやって来た他国の移民に
こんなに冷たいなんて…

それに、なぜキャロルをはじめ“上流”の妻が働いちゃいけないんでしょうかね?
そして、上流階級と下級階級の境目はいったいどこなの?
同じ職業でも仲間に入れる人と入れない人の差は? 謎です。

主人公のキャロルに目を向けてみれば、志や考えは立派なんだけれども
安定している生活を壊すほどの情熱は持てないという、女性にはかなり多いタイプの人物。
「自分はもっとできるはず」「こんなはずじゃなかった」と思いながら
毎日が過ぎ去ってしまうという・・・

キャロルと対照的に書かれているのが、女教師ヴィーダ。
彼女は地道に静かに何年もかけて町を良くしようと働きかけ
新しい校舎を建てさせることに成功します。

“急いては事をし損じる”ってことでしょうか?

キャロルは、自由だ権利だとうるさい忌み嫌うべき人物か?
それとも自分の主張を貫く、新しいタイプの女性だと崇めるべきか?
作者がどう見せたいのかわかりづらい物語でした。
多分、後者だと思いますが、少し自己中心的すぎるようだし・・・

キャロルの夫ウィルはかなり年上で、辛抱強く仕事熱心ですが
現状に満足しきっている凡庸な夫。
賛否両論分かれると思いますが、私はこの旦那さんじゃなかったら、
キャロルはこんなに(ある意味)幸せではいられなかったと思いますけどねぇ・・・

夢や野望が叶わずに悶々とする女性は多いと思いますが
キャロルの望みは大きすぎたかも。
町を1個、自分好みにしちゃおうってんだから

ドバイの王様ぐらい財力がなくっちゃあね

本町通り 上 岩波書店


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まずは上巻から…

 ちょっとひと言
この本、最初に解説がついてるんですけど
ざっと読んでたらだいたい内容が分かっちゃったという・・・
困るわぁ、これから読むって時に。
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