万福寺 大三島のつれづれ

瀬戸内・大三島 万福寺の日記です。
大三島の自然の移ろいと日々の島での生活を綴ります。

加藤正さんが暮らす大下島(おおげじま)

2011年03月08日 | Weblog
築地本願寺内の伝導史料センターが発行されている
「唯 yui」
という雑誌に、同じ今治市の大下島・法珠寺のご住職
加藤正さんの文章が掲載されていました。

加藤さんは、絵描きでもあり、同雑誌の表紙を時々画いておられます。
万福寺でも夏の音楽会のフライアに絵を描いてもらったり
私が関係してて、京都で開催しているメリシャカライブ、メリシャカナイツというイベントでも
イラストを提供してもらっています

加藤さんのお寺のある大下島は、大三島の宗方から目の前に見える島です。
掲載されている文書には、その大下島での暮らしが、加藤さんの視点から紹介されています。
とても、すてきで、またいろいろと考えさせられる文章でしたので、ここで紹介させていただきます。

以下「唯 yui」から転載)


加藤正さんが暮らす大下島(おおげじま)

本誌『唯 yui』の表紙の絵を描いていただいている加藤正さんは、愛媛県今治市の瀬戸内海に浮かぶ周囲7.2キロの大下島にある法珠寺の住職である。 このたび、お寺や島の様子、ご自信のことを紹介していただいた。


私が暮らすお寺は、瀬戸内海に浮かぶ島、大下島にあります。
大下島は、一時間歩けば一周出来るような小さな島で、人口100人です。橋は掛かっておらず、島から出る交通手段は船です。現在定期便のフェリーが、愛媛県の今治港との間を一日4往復してくれています。
子供の頃、月に一度、母に連れられ、フェリーに乗って今治の街にいくのが楽しみでした。フェリーの中では、子供同士で遊んだり、話をしたり、将棋をしたり、本を読んだり、横になって眠ったり、皆思い思いに、今治までの1時間を過ごしておりました。当時を思えば、乗る人も少なくなり、あの頃にような穏やかな賑々しさは無くなったように感じますが、それでも島の人々が、船の時間に合わせて港に出てきて、フェリーに乗り込んで出掛けて行く風景を、私は好ましく思っています。
「何も無い島で退屈だろう」と言われる事がありますが、「何も無い」なんて事はありません。
確かに、JAの小さなマーケットと2,3軒の個人商店意外、お店はありません。コンビニはもとより食堂も娯楽施設もありませんが、目を凝らせば何処にいたって好奇の対象はあると思います。
 本堂と庫裡(くり)を囲む庭を回るだけでもなかなか楽しいもので、飽きるものではありません。年末、庭の千両を正月の仏花にお供えしようと思い、その実が朱く染まるのを楽しみに見ておりましたが、正月を迎えるまでにメジロに食べ尽くされました。それもまた楽しみです。
 絵を描く事を学び始めたのは、京都での学生生活最後の年でした。
 思うところがあって、住んでいた古いマンションの近くにあった画塾の門を叩いて絵画教室に通い始めたのです。そこで初めてデッサンというものに出会い、物のカタチを捉える難しさと楽しさを知りました。
 地元に帰ってからは、約4年間、月に一度、地元愛媛の画家の先生の美術教室に通い、やはりデッサンを学びました。デッサンが教えてくれたのは「モノを視る」という事です。
 「視る」という事は「じっくり向き合う」という事でもあります。絵を描く場合、描く対象と向き合う事は勿論、紙、絵具、筆とも向き合い、そして描く行為自体とも向き合います。それはそのまま自分と向き合う事に繋がっていると思います。
 昨年、新聞社の方が、島に取材に来ました。
 昨今、「家族葬」や「直葬」といった規模を小さくした葬儀が増加する中、大下島では、葬儀社に頼まず地元の住民自身で葬儀を執り行い、式には島民のほとんどが参列するという事で、島の葬儀についての取材でした。「頼む葬儀社が無い」というのが実際のところなんでしょうが、そんな島だからこそ、島民自身がお互い助け合う事ができているのだと思います。
 不便だからこそ生まれる大切なものがきっとあります。現在、50歳以下で島で生活しているのは、私と妻の2人だけです。同年代は島に仕事が無いので帰ってこられません。私が帰ってこられたのもひとえにお寺のお陰です。お寺を支えてくださる島の人々のお陰で、私は島に住んでおります。私は、島に住む職を与えられた「住職」です。



加藤正(かとう ただし)
プロフィール
浄土真宗本願寺派法珠寺住職
1976年愛媛県生まれ。
龍谷大学文学部仏教学科卒業。
瀬戸内海の大下島で住職をしながら絵を描く。
妖怪をモチーフとした木版画作品で展示会を過去3回開催。
装画を担当した書籍に、青江覚明著『正信念仏偈意趣』
京極夏彦著『妖怪の理 妖怪の檻』がある。

http://foomin.net/
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侘助椿の大樹

2011年03月08日 | Weblog
                   

 口総郵便局の近くの木村留美さん宅の庭によく繁茂し成長している椿の木があります。遠くから一杯咲いている赤い花を見てい

るとどうも侘助のように見えるので留美さんが来られた時その話を伝えると一昨日お花を持ってきて下さいました。正しく侘助

椿、多分「紅侘助」だと思います。昨日お邪魔して撮影いたしました。30年くらい前に植えられたものだそうですが日当たりが

良いせいか随分と成長が早いようで高さ8尺くらいに繁茂していて旺盛です。


                   

 境内の端に植わっている「紅卜半椿」が蕾を膨らませていました。その様に魅了されて撮影いたしました。

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