fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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『はくさいぼうやとねずみくん』堀米薫文・こしがわかおり絵(新日本出版社)

2021年05月09日 | 本の紹介
          

 「わーい、ぼく、いま、うまれたよ!」
 この声の主は、はくさいです。
 お腹がすいていたねずみくんは、農家のビニールハウスにしのびこみ、白菜が生まれた瞬間の声を聞いたのです。しかも、はくさいぼうやときたら、ねずみくんに、
「はじめまして! きみ、ぼくのともだちになってくれる?」と言うのです。
 ねずみくん、「う、うん、いいよ……」。
 ねずみくんは、お腹がすいていたけれど、がまんして帰り、だいじにしまっていたイナゴのあしをカリカリとかじります。そして、そのよるは、「はくさいぼうやが、ぼくをともだちっていったよ」とくちもとがにやけてしかたがなかったのです。

 それから、はくさいぼうやは畑に移り、ねずみくんも畑に通います。

 白菜は玉を巻いてくると、わらでしばられます。よく売られている白菜の形にするためです。
 はくさいぼうやは、「えっへん、すごいでしょう!」とはちまきを自慢します。
 
 白菜の旬は冬。他の白菜達は、だんだんとられていきますが、はくさいぼうやは残っています。
 
 さあはくさいぼうやは、それからどうなっていくのでしょう。ねずみくんは?
  
 畑仕事をしてらっしゃる堀米さんにしか書けない作品。堪能しました。
 
 こしがわさんの絵が、また素敵なんです。こしがわさんも、畑に白菜を育てながら描かれたとのこと。
 きっとロングセラーの絵本になるでしょう。なっていただきたい。

 ところで、私はこの絵本を読んで、俵万智さんの短歌を思い出していました。

 白菜が赤帯しめて店先にうっふんうっふん肩を並べる  俵万智

 堀米さんの絵本とは、関係ありません。ごめんなさい。こっちは、どこか下町の八百屋さんですね。