fromイーハトーヴ  ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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若い俳人達(「むじな」と「てくり」)

2018年12月16日 | 日記
          
  
 先日「童子」の仲間、松本てふこさんから、「むじな」という俳句誌と「てくり」という文芸情報誌(という言い方でいいかな?)をいただきました。文フリで買ってきましたというお手紙つき。
 この「文フリ」もtwitterではよく流れてくる言葉ですが、私にとって未知の場。文学フリーマーケットの略なのでしょう。他によく耳にするのは、「コミケ」ですね。これは何の略だろう。どちらも、同人誌や個人で作っているものをブース代を払って、売る。そして交流する場なのかなと思っています。

 さて。

 「むじな」は、東北の若い俳人達が集まって立ち上げたものです。まずネーミングに拍手! いいですね。東北人らしさが漂っています(笑)。
 2017年が創刊、年に一度のペースで、今年2号が出ました。このペースもいい。この方達は、他にも地元の結社に入って句会をされているようなので。

 創刊号では、座談会「今、東北で俳句を詠むということ」が掲載され、若き俳人のトップランナーでもある神野紗希さんがスカイプで参加もされています。東北の俳句の特徴として好きな俳人の句を揚げ、震災俳句についてもかなり言及しています。
 この辺、とてもとても興味深かったです。特に震災については、私も俳句、そして児童文学の中での描き方に、非常に思う部分もあり、今も自分の中でもんもんとしているところなので。
 紗希さんのコメントは、さすがだなと感じ入りました。
 関西に「奎」という若手の雑誌があるとのことです。皆さん、頑張ってらっしゃる。

 2018年の号も、充実していました。正直言って、俳句自体はそんなにぎょっとするものはなく、まだ荒削りだったり大人しすぎたりですが、
 うにかわえりも さんが岩手の小学校で子ども達に俳句を教えるレポートが私的にはとてもよかったし、及川真梨子さんの総論「みちのくにいる」で、俳句甲子園において「高校生らしさ」ということについて書かれている文章もよかった。「高校生らしくていい」と思ったら、「今の気持ちがよく読めている」(ここは、「詠めて」にしてほしかったけど)と置き換えてほしい。というのも、なるほど! でした。

 他の評論も、私の頭ではきっちり理解できないほど(笑)、高度で、よく勉強されているなと感じ入りました。
 実は東京に引っ越してきて、「童子」に入った漣波瑠斗さんもこの「むじな」のメンバー。句を載せています。

 青林檎退屈を飼ひ慣らせない   岩瀬花恵
 辞令書をさくらつぽいきもちでもらう  うたがわえりも
 曖昧を溶かしに水母水槽へ   工藤凱門
 雪催本を一冊売りにゆく    佐々木萌
 不知火に匙のババロア揺れてをり 漣波瑠斗
 なめくぢの心を残しつつ進む  佐藤友望
 囀にくづさるる煙草の煙    佐藤里香
 寒月や人は足から死んでゆく  高橋 綾
 夕暮れの遠いところに生ビール 千倉由穂
 炎天に骨と銅貨を拾ひけり   天満森夫

「てくり」は、盛岡在住の工藤玲音さんが高校生と対談したり、芥川賞を受賞した盛岡の小説家沼田真佑さんと木村紅美さんの対談があったり、さわや書店(ユニークな本の売り方で全国的に有名な盛岡の書店)の皆さんの座談会があったり、多様で質の高い文芸情報誌でした。これは、たまたまこの号が文学を特集したってことなのか? ちょっとよくわかっていません。

 ただ、このように地方の頑張ってる文芸誌を読んで、寂しかったのは、秋田山形の人達がいないことでした。やっぱり太平洋側に日が当たってるなあ的に思ってしまい。いないのかな、秋田の若い俳人。そんなことないですよね。あ、青森も入っていないか。
 ぜひ、参加していただきたい。
 
 ということも含めて、「むじな」の皆さん、全力で応援しておりますので! 

 追記 「てくり」は、調べたら、やはり盛岡の情報誌で、今号が文学の特集ということで、文芸情報誌ということではないようでした。

『むこう岸』安田夏菜(講談社)

2018年12月11日 | 日記


 帯に、「ひこ・田中氏がイッキ読み!」とある。
 私もでした!!

 父は医者。必死に勉強して有名私立中学に入ったものの、優秀なクラスメートについていけず、中三で公立中学に入りなおした和真。父が死に母は鬱病になり働けず、生活保護を受けている樹希。幼い妹の面倒をみてもいる。
 この二人の視点でそれぞれが交互に描かれ絡んでいく。
 
 章タイトルは 挫折、苛立ち、忍耐、哀れみ、羨望、逃避、共鳴、落胆、探求、希望、喪失、不安、脱出、旅立ち・・・。

 樹希が妹に夕飯を食べさせてから行くのが、「居場所」という名前のカフェの二階。小学校時代に野球のコーチだった人がやっている店。そこには彼女を慕うアベルというハーフの子もきている。小学校レベルの算数ができないアベルに、和真は勉強を教えることになる。樹希に脅されて嫌々だ。
 
 と、あらすじはここまでにしないと。なぜなら、私は読み始めてからすぐに(この二人の行き所のなさを、ラストまでどう展開させるのだろう)という気持ちを抱いてたからだ。この二人のぎりぎり感に安易なラストは許されない。

 安田さんは、落語を題材にした物『あしたも、さんかく 毎日が落語日和』、お笑い芸人を題材にした『なんでやね~ん』(どちらも講談社)などがある。ご本人も落語をやってらっしゃる楽しい方だ。その方がまさかこのような現代社会に目を向けた意欲作を書かれるとは。

 書かずにはいられなかったのだろうという気迫が伝わってくる本だ。
 重いテーマなのに、読後感がいい。ここ、書き手として大いに見習いたいところだ。
 
 この物語の子達に「つまらない大人」と思われないようにしなくてはと思わせてもくれた。

 

「DAWN」第26号(第24回児童文学ファンタジー大賞発表号)

2018年12月09日 | 日記
  児童文学ファンタジー大賞は、今年も大賞なしでした。
  佳作は、二度目のご受賞。本田昌子さん。おめでとうございます。出版されて本になるのが楽しみです。(きっと出版されることでしょう)
  奨励賞は、森川聖子さん。 おめでとうございます。こちらも、出版されるといいな。読みたいです。

  毎年送っていただいているこの冊子は、選考委員の先生達の評が載っています。これがもう、厳しくて、かつ優れたファンタジー論として読めます。

  記録のため、心に響いた部分を抜粋させていただきます。

  登場する大人たちは、みな地に着いた暮らしを送っていることを伺わせ、作品に暖かさと落ち着きを与えています。(松本なおこ →「つきのはなさく」)
  主人公の唯子は常に受け身で、深く悩んだり不思議さにおののいたりする様子は伝わって来ず、主人公としての役割を果たしていません。(松本なおこ →「はるか」)

  高村薫は鼎談「平成という時代」(毎日新聞2018・9・1)で、「文学の世界でも以前はこんな表現をしたら編集者に即はねられたという文章が平気でまかり通って、文学賞の候補作として出てくるようになりました」と述べている。(中略)
  雑な日本語表現に満ちた候補作を読まされるとイライラが募る。文学表現が持ってしかるべき「プラスアルファ」が失われたと高村は嘆く。日本語に立ち向かう書き手の姿勢の問題かと思う。大げさに聞こえるかもしれないが、私の文章は切れば血が出るという感覚が必要なのだ。(中澤千摩夫)

 知を楽しみ、知にたゆたうことをこの物語は教えてくれる。 (中澤千摩夫 →「つきのはなさく」)

 大雑把に述べれば、古代の日本における自然信仰では、八百万の神々は天地を自由に彷徨していた。時々、神々の顕現を願った人々が、磐座や大木を信仰し、そこに神々が時々訪れる、という感覚。歴史が進み、中国や朝鮮半島の影響を受け、また時の大王(天皇の称号は天武朝から)や豪族の権力誇示と自らを守護(怨霊鎮護)するために大規模な「神社」が建てられてきた。これは神々が神社に閉じ込められたことを意味する。神々の機嫌をとるために「神楽」が始まったことは事実。自由を奪われた神々の世界と現代の子どもたちの世界には共通項がある。そのようなファンタジーを読んでみたかった。 (工藤左千夫)

   

 こういう厳しい選評にさらされた一つの作品が、『しゅるしゅるぱん』(福音館書店)でした。

 そして、私の原点でもあります。毎年この時期、「DAWN」を読んで、気持ちを引き締めています。でも、あまりとらわれると、カチカチになって自由に書けなくなってしまいそう。
 行きつもどりつ、頑張りたいと思います。

 
 

第4回児童ペン賞 企画賞 ~『なみきビブリオバトル・ストーリー 本と4人の深呼吸』(さ・え・ら書房)

2018年12月08日 | 日記
        

 昨夜は、中野サンプラザにて贈呈式が行われました。

 クリスマスも近くて華やか。
 
  

 大賞   『たぬきのたまご』・内田麟太郎・銀の鈴社・2017-10
童話賞   『ブルちゃんは二十五ばんめの友だち』・最上一平・新日本出版社・2017-9
詩集賞   『漢字(かんじ)はうたう』・杉本深由起・あかね書房・2018-5
絵本賞   『クマと少年』・あべ弘士・ブロンズ新社・2018-5
企画賞   『なみきビブリオバトル・ストーリー』・ さ・え・ら書房・2017-6
       赤羽(あかはね)じゅんこ・松本聰美(さとみ)・おおぎやなぎ ちか・森川成美(しげみ)
少年小説賞 『四重奏(カルテット)デイズ』・横田明子・岩崎書店・2017-11  
少年小説賞 『こんとんじいちゃんの裏庭』・村上しいこ・小学館・2017-7 

 おめでとうございました!!
そして、ありがとうございました!!

 あべ弘士さんは、旭川からいらっしゃいました。スピーチでは、自分も来週からは冬眠するとユーモアを持って話されて。受賞作はなんと40年の構想の後形になったものだとか! 
 臨席にあたりまだ読んでなかった作品は読んででかけたのですが、『クマと少年』はアイヌの山を目の当たりにしたところにおすまいのあべさんならではのすばらしい作品でした。

 もちろん、他の作品、どれもさすが! 
 自分もなかなか形にならずにいる作品を抱えていますが、じっくり取り組みたい、あきらめずに向き合おうと思いました。

  

 たくさんの方にお祝いしていただいて、嬉しかったです。
 
 児童ペン賞新人賞の皆さんの受賞作が載った冊子もいただきました。これから読ませていただきます。おめでとうございました。

   

 『めざせ、和牛日本一!』堀米薫(くもん出版)

2018年12月04日 | 日記


 5年に一度、全国から選びぬかれた500頭もの和牛と農家が集まり、競いあう「全国和牛コンテスト」があります。

 宮城県仙台市で開催された第11回大会では、農業高校から柴田農林高等学校が、メス牛「ゆうひ」を連れて挑みました。(初めて農業高校生部門が設けられた)
 柴田農林高等学校の平間君の挑戦を、堀米さんは、牛農家として、そして作家として見守り、応援し、この本になりました。
 和牛は、食肉になる牛。(乳牛はホルスタイン)黒毛です。
 
 ベタな言い方ですが、私達が口にする肉がどこから来ているのか。食育ということになると思います。スーパーで薄切りにされた肉、ブロック肉、骨つき肉。どれも生きていた牛たちです。
 いずれ殺されて肉になる。その牛を、農家や高校生達は、ていねいにブラッシングをし、心をこめて育てています。だからこそ、私達はありがたく「いただく」のです。コンテストまでして、その姿の美しさ、強さを競い合います。

 堀米さんは、コンテストのシーンなどまさに、平間君の気持ちになって書いています。きっとずっと見守っていらしたのでしょう。

 牛たちの姿はもちろんですが、農業高校というところで学ぶ高校生達の姿もまた、私達は普段目にすることはできません。
 この本には出てきませんが、今年活躍した、秋田の金足農業もいい。神奈川の相原農業校には、吟行で行ったことがあります。(リニアモーターカーがすぐ近くを通る予定)高校生が丁寧に説明してくれました。賢治がかつて教えた花巻農業もありますね。
 いいなあ、彼ら。地に足のついた学びをしています。それを伝えてくれる本は、嬉しい。

 まだまだ牛は尽きることがない。きっとまた牛の本を出されることでしょう。

二つの映画 「ボヘミアン・ラプソディ」と「華氏119」

2018年12月03日 | 日記
          

 私の周辺、ざわついています。
 70年代から80年代の伝説のバンド、クイーン。私が聴いていたのは、70年代。高校生の時でした。ものすごいファンというわけではないけれど、当時ベイシティローラーズというアイドル的なロックバンドも人気で、でも私はクイーンのほうが好きでした。

 映画「ボヘミアン・ラプソディ」は、最初、今さらまたクイーン? と思っていました。でもネットで、ちらほら、そしてぐいぐいと「よかった」という声を読み、行ってみました。
 もう、最高! 現代の若い人が演じているとわかっていても、本物のような気持ちで見ていました。そして終わったら、売り場へ直行でCD購入。ずーーーーーーーーっと聴いています。
 
 音楽の力はすごい。あの出っ歯もかっこよく見えます。栄光と孤独の表裏一体が、悲しい。
 
 児童文学作家の加藤純子さんもブログに書かれていて、BSでやっていたクイーンの番組をUチューブで見て、よかったというので、早速私も。こちらは、本物の映像。ゲイであること、エイズで死んだこと、全てがまさに伝説。でもこうして、気軽に家で彼の声を聴くことができる幸せ。

 それから、「華氏119」。これはマイケルムーア監督のドキュメンタリー。政治にうとい私も、孫の世代が平和であることを願う気持ち。それ政治家にだまされないようにしなくては、という気持ちに繋がっています。
 この映画も(観ておかなきゃ)という予感で行ってきました。

 なにしろクイーンの映画を観たあとなので、出てくるトランプ大統領やヒラリーが、(あれ? そっくりさん?)なんて、思ってしまって・・・。いえいえ、本物の映像でした。 トランプ大統領のあれこれは予想がついていたけれど、トランプ政権を作ったのは、オバマ前大統領でもある・・・という流れには、ドキっとしました。彼の偽善的なパフォーマンスには、あんぐり。
 何を信じたらいいのでしょう。
 今の日本では? 

 そして、またクイーンを聴いています。

牧康子さん、藤本義一文学賞受賞!

2018年12月02日 | 日記
       
 

 「童子」同人の牧やすこさん、(小説では、牧康子さん)が、このたび、第4回藤本義一文学賞で、藤本義一の書斎~Giichi Gallery~賞をご受賞されました! 

 やすこさんは、短編小説で数々の賞をご受賞されています。
 このたびの作品は、夢がテーマ、康子さんの作品は、「家出志願」。出版社勤務の女性が妻のいる同僚に抱いた恋を扱っています。なにしろ康子さんご自身、長年編集者をされていた方、その世界を描くとリアリティがあります。そして、恋もまた、康子さんの作品では常にテーマとなっています。

 他の受賞作品も読みましたが、どれがぬきんでているというのはなかったように感じました。逆にいえば、このくらいの長さで、読者をうならせるような作品を書くのがどれほど難しいか。
 作品集は、年が明けてから、たる出版から発売になるとのことです。

 
 見開きに印刷された、藤本義一の肉筆。「淡々と~」の一連の言葉。2行目は「淡々と歩む」でしょうか。
「淡々」を調べると、①あっさりしたさま。執着のない様。淡泊なさま。②水の静かに動くさま とあります。
 ②の意味は、初めて知りました。
 私も、水が静かに動くかのように、書きたいものです。この本のおかげで、この言葉の一つの意味を知ることができました。


 改めて、康子さん、おめでとうございます!! 

 月に一度更新される康子さんのHPは、おしゃれな月刊誌のようです。左のブックマークから、ぜひ訪れてください。

 

第2回かわせみ句会

2018年11月30日 | 日記
 児童文学作家&作家志望の方が集まって始まった「かわせみ句会」。
 先日、第2回がありました。場所は、国分寺南口、おばあさんの知恵袋 という絵本屋さんです。久しぶりに行ったら、コーヒーや軽食、夜はお酒も出るようになってましたよ! 

 なにはともあれ、皆さんの俳句、読んでください。

 稲刈るや案山子も我も体操着   むつみ
 鹿啼くやたそがれ時のその時に  穂波
 月まるく死にゆく人を抱き眠る   真理
 あれやこれや縁を切りたし秋夜長  お遊
 天文台のドーム越え来る秋の蝶   耕実
 病癒えやせたる腹に柿届く     湖魂
 立冬や風呂場のお湯がたまる音   朋
 深海から猫鮫が見るあれが月か   朋
 どんぐりを握りはなさぬ小さな手  結
 コスモスが揺れて近づく君の肩   あこ
 今年もねあなたとつつく紅葉鍋   あこ
 紅葉かつ散る影さへも光をり    昌扇
 嘘ひとつしのばせ書くや年賀状   ふくね
 落葉掃くかなわぬ願い掃くように  ふくね
 くるくるとフォークにからむしめじかな  不埒
 パソコンのごみ箱開く神の留守   あぶみ


 どお? いいでしょ? いいでしょ?
 句会も和気あいあいとして、楽しくて。いやー、皆さんさすがです。
 やりがいがあります。

 今回、ノスタルジーはダメ! 俳句らしくという気持ちが働いたようなのはダメ。とはっきり言ったので、次回はますます期待大です。

  これは、岩手の散歩コースにいた小さな鳥。調べたらエナガかなと思うのですが・・・。

『この川のむこうに君がいる』濱野京子(理論社)

2018年11月28日 | 本の紹介

 

東日本大震災から三年後、当時小学校卒業間近だった梨乃は、埼玉に引っ越し、東京の私立高校に進学した。中学で転校したときは、被災者であることが知られ、「かわいそうな子」という扱いを受けたことが嫌で、高校では東北出身であることを伏せ、吹奏楽部に入部。しかし、そこには福島出身の遼がいた。

 濱野さんは、何度も東北を訪れていらっしゃる方。そして『トーキョー・クロスロード』(ポプラ社)のように、高校生を描くことのできる方です。その濱野さんの手による、震災を扱った小説。
 もうすぐ平成も終わります。
 震災直後はノンフィクションこそ出版されても、フィクションはなかなか難しいという風潮でした。数年が経ったころからぼちぼちとフィクションも出て、私も『オオカミのお札』の三巻「美咲が感じた光」で、震災を書きました。
 昨年の芥川賞では、候補作のひとつが、一度も被災地を訪れずに書かれたものということ、ノンフィクションからの引用について問題になりました。
 
 そろそろ、いいのか。
 まだまだなのか。

 私の中では、はっきりした結論は出ていません。

 東京近辺に引っ越した子達、たくさんいると思います。
 梨乃のように、被災したことを隠している子もいるかもしれません。また遼のように、あえて明るく振る舞っている子もいることでしょう。
 そんなことを考えると、やはり胸が苦しい。

 そうなんです。読み進めているうち、やはり胸が苦しくなっていました。
 濱野さんの筆力によるものかもしれないし、震災にまだ区切りをつけられずにいるからかもしれません。
 特に私は、実際に被災したわけではない。でも東北出身で、あの日は岩手(内陸部)にいた。その中途半端感が、実は私にはあるのです。
『オオカミのお札』(三)を書いたとき、自分の中で一区切りつけられたような気持ちがしました。でも、この本を読んでそうではなかったことに気づいてしまいました。

 本のレビューなのに、変な方向にいっています。すみません。

 『この川のむこうに君がいる』の梨乃が、葛藤に区切りをつけるかつけられないか、どういう気持ちで東京の高校に通うか、ぜひ読んでみてください。

本は読んでいただけてこそ。買っていただけてこそ。

2018年11月27日 | 自作紹介
   
       
 
 やはり本は読んでいただけてこそ。
 もっとはっきり言えば、買っていただけてこそ。です。

 動きが悪いと、返本という悲しい憂き目にあいます。どうか、書店で見かけたら手を伸ばしていただいて、家につれていっていただきたいと思います。

 先日の講演会は高校生が対象だったので、『どこどこ山はどこにある』のことはあまり話しませんでした。一番最近に出た本なので、本当はこれをもっとも宣伝するべきなのですがね。

 ということで、改めて、『どこどこ山はどこにある』(フレーベル館)、よろしくお願いいたします。小学生中学年向けですが、小説を書いている70代の友人に、今までの私の本で「一番好き」とも言っていただけました! 

 つまり、大人の人にも子供にもお勧め! 

     

 11月10日の毎日小学生新聞でも、紹介されていました。
  
 先日秋田に行ったさいには、駅前のジュンク堂秋田店では、面陳で出していただけていたし、少しずつでも広まってもらえるといいなと思います。
  
 

講演会無事終了そして、岩手へ、そして東京へ

2018年11月25日 | 日記
       

 秋田県高等学校文芸祭にて、講演をさせていただきました。「恋に落ちる瞬間をどう描くか」と題して、描写やタイトルのことをお話し、でもそれはスキルであって、スキルも大事だけれどもっと大事なのは、自分の内なる世界を掘り下げること。というのが話の流れ……のつもりだったけど、どうだったでしょうか? このように、人に自分の考えをわかりやすく伝えるためには、改めて自分も考えなくてはならず、勉強になります。人前で話すのは相変わらず苦手ですが、高校生達、聴いてくださって、ありがとう!!

 私は講演会後、岩手へ帰りましたが、午後からは、短歌、俳句、詩、小説などの分科会に分かれての勉強会があり、指導者として、それぞれ秋田で活躍されている俳人、歌人、詩人、語りをされている方などいらしていて、初めてお会いできて嬉しかったです。みなさんの雑誌も頂戴いたしました。

 このごろ、岩手や秋田では、容量限定のネットをしているので、写真のアップがままならず、数枚、まとめて記録的に。

  友人宅でいただいた、きりたんぽ。おいしかった。
 
  秋田、岩手は23日が初雪でした。これは、25日の岩手の朝。霜が降りた落ち葉。秋田と岩手の県境の山、木々の雪景色、素晴らしかったけど運転中で写真撮れず。
 今の時期、朝の空気がキーンと冷えているけれど、外に出るのが嫌というほどではなく、体に冷たい空気を入れる心地よさがあります。

 
 岩手は雲や空がいい!

 
 

 最後は大谷翔平選手。アメリカで新人賞をとり、帰国しているから、ふるさとに帰ってないかな? なんて、水沢江刺駅前の伝統工芸館へ行き、握手をしてきました(笑)。お土産屋さんにきいたけれど、帰っているという情報はないそうです。
  
 

母校訪問&講演会

2018年11月22日 | 日記
 高校の時の同級生である、児童向けノンフィクション作家池田まき子さんといっしょに、母校、秋田県立秋田北高等学校をご訪問させていただきました。

  
 校舎は、近代的。フローリングに高い天井、重厚な扉。立派でした。

 校長先生をはじめ、教頭先生、文芸部の先生、そして生徒さん達が、歓迎してくださって、感激。ちょっとご挨拶をして、図書室を見て、本を寄贈して帰るつもりだったのが、気づいたら2時間半も滞在していました。ありがとうございました。

  教室は昔の雰囲気で。

  図書室 一般の方への公開もしています。

  美術室も見せていただきました。

 文芸部の「灯」もいただきました。わー、小説書いてる!! そりゃあ、文芸部だものね。
 皆さん、しっかりしていて、頼もしいです。

 実は二人とも卒業以来。40年以上たってるんですからね。
 女子の制服は当時と全く同じ。これは嬉しい。そして当時は女子校だったけれど今は共学、男子もいます。新鮮でした!!
 
 そしてあしたは、秋田県の高校文芸部のコンクールがあり、そこで講演をさせていただきます。どきどき&楽しみ。
 
 

テーマ(『しゅるしゅるぱん』のレビューから、考えたこと)

2018年11月15日 | 自作紹介
  この作品のテーマはなんなのか? これは大事なことです。
  ただ、面と向かってその質問をされた場合、本音としては「それ、読んで感じてくださいよ」って言いたくなります。(言わないけどね)
  私の場合、最初にテーマありきではないんです。
  何か自分の中にあるものをひとつ(それはワンシーンだったり、ひとつの台詞だったり、舞台のイメージだったり、いろいろです)から手探りで書き進めるというタイプの作家です。なので、いつまでたってもプロットができない。全体が見えないうちに書いているのです。
 地図を持たずに知らない土地を歩くようなもので、時に迷子になり、入り口にもどらなくてはなりません。

 話がずれました。テーマ。
 なので、書き上げてから(ああ、この作品のテーマは○○だな)と思ったり、編集者さんとの会話でその点に触れることもあります。営業の方と直接お話する機会はほとんどないのですが、営業をしていただくために「テーマ」は大事というのは理解できるので、できるだけキャッチコピー的なテーマを用意します。

      
 『しゅるしゅるぱん』の場合、岩手を舞台のファンタジー。命の繋がりを描いた。とか。
この命の繋がりというテーマは、いみじくも『オオカミのお札』でも『どこどこ山はどこにある』でも、言っています。自分の中にそのテーマがあるんでしょうね(しょうねっていう言い方、どうよ? ですが)

 でも読者がどう読むかは、自由。自分が考えたテーマをはるかに越えた読みをしてくださるレビューに出会うと、これはもう存外の喜びです。
 そんなこともあり、私はちょくちょく「読書メーター」というサイトをのぞきます。『しゅるしゅるぱん』は発売3年をすぎたのですが、このレビューサイトにいまだに、新しいレビューが時々アップされるのです。そのレビューの素晴らしいこと!! ここにレビューを書く方はかなりの本好きです。本当に嬉しい。
 tuitta- では随時ご紹介しているのですが、ブログではしてません。というわけで、きょうはその喜びをお裾分け。ぜひ、素晴らしいレビューを読んでみてください。

 上の「読書メーター」をクリックでも見られますが、新しいレビュー2つをコピペさせていただきます。

 他の人の感想を読んで、この話が伝えたかったのは「やり場のない思いはどう消化するのか?」だったんだと分かった。そして、その思いに「気づいてますよ」と呼びかける。決して叶うことはないけれど、届いていることを伝える。たとえその思いは忘れ去られようとも、名前だけは心に刻まれる。『ごんぎつね』のごんと同じく、やり場のない思いはいたずらとして表れる。「僕はここにいるんだよ」って。事切れる時に見つけてもらえる。命と引き換えにしても、やはり「見つけてもらいたい」。見つけてもらえることで、その思いは心に帰っていくのだろう。(シントーさん)

 岩手県の田舎町を舞台とした親子4代にわたる話。 自然の山や川には、古くから神や精霊やあやかしも住んでいるのだろう。そういったものを迷信と言って片付けるのは簡単だけど、人の誰かを想う気持ち、喜びや悲しみは誰の心にも存在している。 ただ、何かしらの事情で行き場を失った感情は、生み出した人を離れその場にとどまるのかもしれず、時を超え姿を変えてふと現れるのかもしれない。 そんな不思議で少し怖くてとても美しい物語。(oyasumiさん)

 『オオカミのお札』『どこどこ山はどこにある』のレビューもしかり。感謝です!!

『クルルちゃんとコロロちゃん』松本聡美作・平澤朋子絵(出版ワークス)

2018年11月14日 | 本の紹介
            小学校中学年以上

 背が高くて丸いめがねをしているクルルちゃん。
 ころりとふっくら。ツインテールをしているのが、コロロちゃん。

 二人は、仲良し・・・ではありませんでした。
 でもある日、広場でものさし売りのおばさんに手をはかってもらったら、クルルちゃんの手は16センチ、コロロちゃんの手は14センチ。ふたり合わせると30センチということがわかります。
 さあ、それから、二人は、手を合わせていろいろなものをはかります。

 身体スケールとでもいうのでしょうか。算数ってこういうことだよなと、楽しくなります。
 
 かわいいかわいい。帯をひっくりかえすと、ステキなしかけにもなっています。これは図書館ではわからないぞ。

 松本さんは、『なみきビブリオバトル・ストーリー』でご一緒している作家さん。この本は、あと赤羽じゅんこさん、森川成美さんと私の4人の共著ですが。この秋、全員がそれぞれ新刊を出しました。そんなことも、喜んでいる私です。

『日本児童文学』2018・11・12月号に寄稿しました

2018年11月12日 | 本の紹介
         

 特集 子どもの本の作家になろう! -新・創作入門-

 たくさんの作家さん達が創作について語っています。村上しいこさんは「デビュー前に知っておくこと」、他に《私の創作方法》、《対決、創作作法》《エッセイ 上達のヒケツ!》

 私は《上達のヒケツ!》のコーナーで「ヒケツは俳句なりけり……かな」として書かせていただきました。ヒケツなんてあったら聞きたい。と書きだそうかなと思ったけれどやめてよかった。他の作家さんがやっぱりそのスタンスでした。私に求められているのは、こういうことかな? と私なりに考えて書いた文章です。
 まあ、結局結論は……ですが。

 読んでいて、皆さんさすがと思いましたよ。やる気が出ます。

 つい最近、野間児童文芸賞が発表になり、安東みきえさんの『満月の娘たち』が見事ご受賞されました。安東さんも《上達のヒケツ!》を書いてらっしゃいます。飛ぶ鳥を落とす勢いのいとうみくさんも! 私はこのお二人の本をじっくり読むこともまた、勉強になると思っています。みくさんの新刊を最近は続けて読んでいたので、今は安東さんの本を読み直しています。
 普段購読されていない方も、この号は購入の価値があると思います。

 また、この雑誌、毎年表紙の絵の書き手さんが変わりますが、この一年は、岡山伸也さんでした。子ども達の生き生きとした姿、自然、動物たち。どの号も好きな絵でした。次号からは違う方になるのかな? 
 
 左のブックマークにある日本児童文学者協会のサイトからお申し込みいただけます。書店さんにご注文という方法もあるかな。